2015年2月28日土曜日

地方議員は年85日だけ議会に出て、議員提出議案は全体のわずか10%<データから見る地方議会の実態>

<中央大学特任准教授のブログより>

◆年間84.8日勤務。本会議はわずか年間21.4

全国には、議員や首長など、37,302人の地方政治家がおり(2011.4時点)、この内42.5%にあたる15,841人が、20114月に行われた前回の統一地方選挙で選ばれた。

来年20154月にはまた、この4年に1度の地方政治家を一斉に選ぶ統一地方選挙が行われる。

先日、『地方議会改革元年へ! 地方議員の「給料」全国ランキング』<http://blogos.com/article/103647/>として、地方議会の月額報酬についてのコラムを書いた。

最も報酬の多い東京都の月額は102万2千円、全国800自治体の議員報酬の平均月額は414千円になる。年額で考えれば、この12倍のほかボーナスに当たる期末手当まで加えると、かなりの額になる事が分かるはずだ。

こうしたコラムを書いていると、議員報酬の額が高過ぎるといったステレオタイプのご意見を多数もらう。

しかし、仮にこの議員報酬の引き下げや議員定数の削減という形で、議会に関する税金の支出を少し減らしたとしても、実際にはその歳出に対する価値が上がらなければ、本質的な問題解決にはならない。

統一地方選挙まであと2ヵ月。

こうした報酬に見合った議会活動とはどういうものなのか、また実際の地方議会の仕事ぶりはどうなのかと、皆さんにもチェックしていただきたい。

こうした観点から今回は、まだまだ知られていない地方議会の実態について、紹介していきたいと思う。

 

図表: 自治体規模別平均会期日数と本会議日数

       自治体数 平均会期日数 平均本会議日数

   5万人未満 257市   75.7    19.2

 510万人未満  270    84.8       21.6

1020万人未満  156    91.9       23.3

2030万人未満   46    89.5       21.6

3040万人未満   26    87.1       24.4

4050万人未満   23    94.3       24.9

   50万人以上   14   100.1       21.9

    指定都市 20   112.5       25.7

     全市 812    84.8       21.4

 

まずは、地方議員が議会活動を行う日数からだ。

国会議員に国会での本会議や委員会などでの活動がある様に、地方議会にも本会議や委員会での活動がある。

通常国会が1月から6月まで行われ続け、さらに秋から冬にかけて臨時国会を行っている国会は、実質、年がら年中議会活動を行っている様な感じだが、これに対し、地方議会は、3月、6月、9月、12月と年4回定例会が行われる形のところが多い。

地方議員が実際にこうした形で議会に拘束される日数は、全国812市の平均本会議日数は21.4日、平均会期日数でも年間84.8日しかない。

会期日数や本会議日数は所属議員の数の問題もあるのか自治体規模が大きくなるほど長くなる傾向がある様で、人口5万人未満の自治体では平均会期日数は75.7日、平均本会議日数19.2日と少なく、政令指定都市になると平均会期日数112.5日、平均本会議日数25.7平均になる。

実際に議員になると、議会での仕事以外にも様々な公務もあり、単純にこの日数だけしか働かないという事ではない。

しかし一方で、多くの議員が「仕事が忙しい」と言っているものの中には、自身の選挙に向けたための活動や政治活動を指している事も多く、どの部分が議員としての仕事なのかという線引きは難しいが、こうした部分についても有権者は、シッカリと見ていく必要がある。

  

◆地方議会の役割「二元代表制」と「一元代表制」

 
では、実際に議会で行う活動日数と報酬に見合う議員や議会の役割とは何なのかを考えていく事にしよう。

「一元代表制」と「二元代表制」という言葉を聞いたことがあるだろうか。

皆さんもご存知の通り、日本では、我々有権者は国会議員を選挙によって選ぶ事はできるが、総理を選ぶ投票ができるのは国会議員に限られる。こうした仕組みを「一元代表制」という。

一方で地方自治体では国政と異なり、市長など首長と議員が共に選挙によって選出される「二元代表制」をとっている。

多くの有権者はもちろん、現職の地方議員、地方議会関係者の中にも、地方議会を「国会の地方版」の様に勘違いしている人が多いが、「地方議会」には「国会」とは異なる役割が求められているのだ。

国会と地方議会の違いについて見ていくと、国会が「国権の唯一の立法機関」(憲法41条)である事は、多くの人に知られているが、地方議会に関しては会合して相談する「議事機関」(憲法931項)としてしか定められていない。

同様に、国会は「全国民を代表する選挙された議員」(憲法43条)で構成され、「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動」「その権力は国民の代表者がこれを行使」(憲法前文)とされているが、地方議会は「住民が直接、これを選挙する」(憲法932項)と住民の権利しか明記されておらず、特別法の制定についてなどは、「住民の投票においてその過半数の同意を得なければ」(憲法95条)と住民が直接行使する事が位置づけられているほか、住民の直接請求に基づく住民投票で議員・首長のリコール、議会の解散(地方自治法76条等)なども住民の権利として認められている。

こうした事からも分かる様に、地方自治体におけるガバナンスは、国政と異なり、議会・行政・市民との3者のバランスにより成り立つ事が、本来より想定されている。

また、法的には首長と議会それぞれにはほぼ同等ともいえる権限が与えられてもいる事も特徴と言える。

こうした事から考えれば、国会以上に議会が選曲的に機能する事、さらには、市民を巻き込んだ自治の仕組みを担う事が求められていると考えられるのではないだろうか。

 

◆議員による議案提出はわずか10.7%、市長提案の99.1%が原案そのまま通過

 
地方議会の役割についてだが、学生時代に「三権分立」と習った事を思い出すと、議会の役割は「立法府」であったはずだ。これは法律をつくる場所である事を示しているが、国会を地方議会に置き換えて考えれば、「条例をつくる場所」という事になるはずだ。

議会や議員の役割が「政策提言」などと言われてすでに久しいが、実際には、議会や議員からの議案提出など殆んどなく、実際には全体の89.3%は市長提案で、議員提出8.8%、委員会提出1.9%と合わせても10.7%しかないというのが現状だ。

とくに問題に感じるのは、立法府とも言われる議員による提出件数の減少であり、2002年時点では1市当たり19.0件あった議員提案は、多少上下しながらも減少傾向にあり、2013年には12.1件にまで減ってしまっている。

こうした指摘をすると、ベテランの地方議員などから必ず、「議会の役割は政策提案だけではない」という声をいただく。総理が国会議員から選ばれる国政と異なり、市長も議員も選挙によって選ばれる地方自治現場では、「行政と議会は車の両輪である」とも言われる事も多く、議会側からの提案だけでなく、行政をチェックする事もまた議会の重要な役割だとされているからだ。

そこで、地方議会の「行政チェック」の実態を調べるため、市長提出による議案の議決態様について見てみる。

議会によって修正されて可決した割合は、市長提案議案の内わずか0.3%しかなく、全体の99.1%は、市長提案を原案そのままで可決しているのだ。

何でも反対すればいいという事ではもちろんなく、市長提案の中でも、良いものは、そのまま原案可決すればいい。しかし、99.1%もがそのまま原案可決している状況では、議会の「行政チェック機能」とは、どういうものかと考えざるをえない。

 

◆議会内での議員の質問回数さえ減少傾向
 

議員活動の問題は、こればかりではない。

最も象徴的な議会活動である議会での質問ですら減少傾向にあるのだ。

2002年からの議会データを調べてみると、1自治体あたりの議会での質問回数は、2006年までは増加傾向にあったのだが、この2006年からは減少傾向に転じ、最新2013年データでは、個人質問は2006年以来最少の50.0回、代表質問に至っては、データを調べ始めた2002年以来最低の8.8回となってしまっている。

これらは、本会議だけの質問回数だが、議員全員の1年分を合わせた回数だと考える、一人ひとりの議員の議会での質問回数がどれだけ少ないかが分かる。

しかし一方で、こうした中でも人知れず市民のためにと熱心に活動している議員も全国にいる。

冒頭にも書いたが、前回の統一地方選挙では、15,841人が有権者から選ばれた。

4年に1度しかない地方政治家を一斉に選ぶ、言い換えれば地方議会を大きく変えていく貴重なチャンスである。

国政の様にメディアで大々的に取り上げられる事は少ないが、是非、地元の地方議会にも関心を持ってチェックをしてもらいたいと思う。 

http://blog.livedoor.jp/ryohey7654/archives/52015323.html

2015年2月27日金曜日

社説:地方議会選挙 政党は女性候補増やせ

<毎日新聞より>

 春の統一地方選が近づいてきた。地方議会は41道府県議選をはじめ、全国約750の自治体で議員選挙が予定されている。

 安倍内閣は女性の進出推進を掲げているが、地方議会で女性議員が占める比率はいまだに低い。政党こそ先頭に立ち、女性候補の擁立に全力を尽くすべきだ。

 地方議会でも女性議員の活躍は次第に浸透している。神奈川県大磯町議会は2007年以来、女性議員が過半数を占める。現在は議員13人(定数14)のうち女性が8人と全体の約6割だ。再生可能エネルギー推進条例を議員提案で制定するなどの政策活動や、情報公開による議会改革に積極的に取り組んでいる。

 他の議会でも、地域の保育所問題に関心を持った母親が待機児童に関するサイトを設け、その活動の延長として地方議会に進出したようなケースが目立つ。分権が進む中で自治体は超高齢化や子育て支援など多くの生活に密着した課題に直面している。女性が地方議会で多様に活躍していく機運の高まりを歓迎したい。

 だが、地方議会全体でみれば女性の占める比率はまだまだ低い。政府の集計によると13年末時点で都道府県議の8.8%、市区町村議で11.8%と1割前後にとどまる。12年末時点で全国の市議会の8%、町村議会で4割近くが「女性議員ゼロ」という現実は壁の高さを物語る。

 女性議員の動向に詳しい「市川房枝記念会女性と政治センター」によると、統一選における市区議選挙当選者で女性が占める比率は1983年に3.5%だったのが99年に11.2%となり、前回11年は16%と約30年がかりで2割が射程に入った。このペースでは政府が社会の指導的な地位に女性が就く比率として目標に掲げる「20年に3割」の水準はとてもおぼつかない。

 昨年、東京都議会で女性議員に対する議場でのセクハラやじが批判を浴び、他の議会でも女性議員に対する非常識な言動が絶えない実態が指摘された。地方議会の古い体質も進出を阻んでいるのではないか。

 だからこそ、政党の責任は大きい。女性の地方議員を党派別に見た場合、無所属を除き公明、共産両党が目立つ。その一方で、多くの政党は候補擁立の段階で立ち遅れている。

 今統一選は自民、民主両党も道府県議選などでの女性候補の積極擁立を強調する。候補者数が前回を大きく上回らないようでは本気度が疑われる。道府県議、政令市議選などは候補者に占める比率で数値目標を示すくらいの姿勢を示すべきだった。

 女性議員を増やしていくことは地方議会改革そのものだ。政党は意を決して現状を変えてほしい。

 

2015年2月26日木曜日

川内原発を再稼動せず廃炉へ 武蔵野市議会、意見書を可決

<武蔵野市議のブログより>

2月25日の武蔵市議会本会議で「川内原発を初めとする原発の再稼働を行わず廃炉とし、原発ゼロ政策への転換を求める意見書」の採決があり、賛成多数で可決した。

  賛成したのは、民主生活者ネット、市議会公明党、市民の党、日本共産党武蔵野市議会、むさしの無所属クラブ、会派に属さない議員1名の計17名。

  反対は、自由民主クラブ、市議会市民クラブ、会派に属さない議員1名の計5名。議員総数は23名だ(議長は採決に加わらない)。

  この意見書は、総務委員会で審議された陳情が採決されたことで提出されたものだが、総務委員会には、公明党、むさしの無所属クラブからの委員がいないため、本会議での賛否がどうなるか分からなかった。

  賛成討論をした公明党議員は、川内原発が安全とは言い切れない。地元同意がされたとなっているが、大飯原発訴訟で認められた原発から250km圏内の住民の同意はどうすべきかが明確ではないことなどを理由としていた。分かりやすい考え方だと思う。さらに、再生可能エネルギーの普及やさらなる省エネを進めること。効率的な火力発電にすることも求められているとしていた。私も同じ考えだ。まずは具体的にどのように廃炉にするかを考えること。このことこそ、今求められている。

  以下は、意見書の文案

 川内原発を初めとする原発の再稼働を行わず廃炉とし、原発ゼロ政策への

転換を求める意見書

 東京電力福島第一原発の事故発生から約4年近くになりますが、いまだに事故収束に至らず、原因の究明もされていません。そのような状況のもと、原子力規制委員会は九州電力川内原発が新規制基準に適合していることを確認し、その設置変更を許可しました。今後、工事計画などの審査が進められる予定です。

  しかし、平成26年5月21日の大飯原発の運転差止め裁判での福井地裁判決では、生活に影響を受ける範囲を原発から250キロメートル圏内とし、その範囲の住民の人格権を保障することなく原発を運転することは許されないこと、大きな自然災害や戦争以外で生命を守り生活を維持する権利が極めて広範に奪われる可能性があるのは原発事故のほか想定できないこと、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失であることなどが記されました。

  この判決文の内容からも、原発事故から広範な住民への影響を回避することは政府の責任であり、川内原発を初めとする原発の再稼働に反対し廃炉を求めるとともに、原発をベース電源としたエネルギー政策を転換し、できる限り早期の原発ゼロを政策目標として、再生可能エネルギーの普及促進、電力事業の自由化、送配電の仕組みの見直しなどの政策化を図り、早急にその実行に取り組むことを求めます。

  よって、武蔵野市議会は、貴職に対し、下記事項について要望します。

 

 1 東京電力福島第一原発事故の原因の究明もなされていない状況で、川内原発を初め現在停止中の原発の再稼働を行わず、廃炉とすること。

 2 原発をベース電源としたエネルギー政策を転換し、できる限り早期の原発ゼロを政策目標として、その実行のため再生可能エネルギーの普及促進、電力事業の自由化、送配電の仕組みの見直しなどの政策化を図り、早急にその実行に取り組むこと。

  以上、地方自治法第 99 条の規定により意見書を提出します。

2015年2月25日水曜日

大学公立化:市議会委員会が市構想の問題点を指摘(福知山市議会)

<両丹日日新聞より>

 福知山市議会の4年制大学のあり方検討特別委員会が18日、市役所で開かれた。市側から13日の第3回公立大学検討会議の報告があり、この中で示された「新たな4年制大学設置基本構想(素案)」について、議員から「開設が164月というのは、あまりにも拙速。長期的に議論すべき」など、問題点を指摘する声が上がった。

 市は、成美大の校舎などを活用した新たな4年制大学の設置を検討しており、構想案では公立大学法人が大学を運営すること、現行の1学部2学科を1学部1学科制にすること-などを盛り込んでいる。

 ただし、検討会議で多くの委員から「時間的に余裕がなく、開学初年度は学部、学科名ともに現行のままとし、教学内容を見直すほうが良い」との意見が出ていた。

 このことについて、特別委の議員は「そのまま公立大学に移行することになれば、魅力ある大学になるのか疑問。成美大の救済にしかみえない」と批判した。

 市側は「このままでは募集停止も考えられ、早期対応が必要。理念や教育の中身を抜本的に改革し、新しい大学にしたい」と伝えていた。

 また国立大学法人京都工芸繊維大学が、旧福知山女子高校の校舎を利用し、北京都分校(仮称)設置の検討を進めていることについて、市議は「非常によいことだが、それとこれとは別問題」と指摘した。

 このほか「市の財政全般から見て判断すべき」「きっちりとした根拠に基づいた運営シミュレーションを示してほしい」などの意見も出された。


 

2015年2月24日火曜日

中学生が町政に提言 北島、議場で町議と意見交換

<徳島新聞より>

 北島町の北島中学生が17日、町議会議場で町議と意見交換した。生徒からは少子高齢化や町の活性化策などについて、活発な意見と質問が出された。
 意見交換会は初めてで、生徒会の1、2年生23人と全町議14人が出席。総務常任、議会改革特別など5委員会の各委員長が、町の予算や条例などをチェックする議会の役割について説明した。
 この後、生徒15人が1項目ずつ質問し、2年藤江ひかりさん(13)は「少子高齢化には、どういう対策を取っているのか」とただした。町議側は「不妊治療費の補助や子育て支援などに取り組んでいる」と答えた。
 1年伊藤ゆめかさん(13)の「議会が今、一番取り入れたいことは何か」との問い掛けには「低下している町議選の投票率がアップするよう、町政への関心を高めていきたい」などと答えていた。
 生徒会副会長の1年川田雪葉さん(13)は「議場は初めてで少し緊張したけど、議員の皆さんの考えを聞けて良い経験になった」と話した。
 

2015年2月23日月曜日

北川正恭教授の最終講義。PDCAとダイアログの大切さ

<武蔵野市議のブログより>

元三重県知事の北川正恭早稲田大学教授の最終講義が2月4日にあった。今回は自らの政治人生を裏も表も振り返りながら今の政治や行政について語っていた。とても参考になると同時に指摘されていることは今でも十分に必要なことだった。講義の最後には、初めて見る涙を見せ、聞いている方も「うるっ」ときてしまった。

  北川教授は、県議を連続三期、国会議員を連続四期務めた後、地方分権などを進めていたことから三重県知事に立候補し知事を二期務め早稲田大学の教授となっている。所属政党は、当初は自民党で後に新進党。知事時代は無党派としての立ち位置で改革派知事として注目されていたのはご存知のとおり。

  講義は、父親の県議がなくなり補欠選挙で出馬。叔父も国会議員という政治家の家系で選挙自体は安泰という状況でスタートだった。何回も選挙を行い、その時々のやり方や狙い、 中には今なら選挙違反? というような裏話をちりばめながら話され、笑いとともに話題は多方面にわたっていた。改革派知事のイメージではないことまでも話されていたが、どんな時でも重要なことは何かを示す感覚はさすがだと思えた。その中でも印象に残っているのは以下のことだった。

■「誰のため」に視点。間違えたらやり直せばいい

 政治家としての最初の仕事は、地域の側溝を直すように行政に掛け合うことで、まさにどぶ板政治をやってきた。当時は、遠いところにある県庁に行かなくても議員にやらせておけばいいといった小間使いが議員との感覚が有権者にも議員にもあった。県庁の職員は、税金を徴収し分けるという感覚で誰のために感覚がないという状況だった。

  知事に就任し、「誰のため」が明確になる生活者起点の行政改革を掲げ、事務事業評価による行政改革を始めた。基本的な考え方は、行政も間違える、間違えたら直せばいい。そのためにPDCAサイクルを回せばいいとの発想だった。そして、県民を「納得させる」ではなく、県民が「納得できる」ようにすることが重要とされていた。生活者である県民の視点で考えてみるといった、当たり前といえば当たり前のことを始めたのだ。このことは今の行政でも十二分に参考になる発想だ。

しかし、事務事業から始めたことは失敗だった。政策や施策など理念や方向性の評価からやるべきだったと話されていたのは、現場にいる身としては参考になることだった。

■原発を白紙に

 原発の立地計画を白紙にしたことも参考になった。30年間動いていなかったため、地域を分断したままだった。そこで県の統括者として責任があると判断して、国と住民と電力会社で毎晩のようにダイアログを行い、時に県はバイプレイヤーで結論を導くことはせずに意見集約への裏方仕事に徹した。その結果、推進か凍結しかなかった当初の結論が白紙にしてくれとなったとされていた。

  この時、じつは国も全国の立地予定のなかから予定地を減らすことが必要となっており、国も喜ぶ結果となった。大切なのは、誰が県民を守るとの意識を持てるかどうかだ。立ち位置を変えればできることだ。

  このような結果を導くのは、本来は政治の仕事。行政がPDCAを回すようになっても、政治は回っていない。だから、政治家が公約としてのマニフェスト掲げ、当選した後、マニフェストを評価し改善していくことで政治も変わると話されていた。

■ダイアログ

 このなかで重要なのはダイアログだろう。最近、北川教授が所長を務めるマニフェスト研究所の研修会などでも良く行われていることで、複雑な問題に対しては、関係者が互いを尊重し互いの意見を理解したうえで、ともに考え解決策を出そうといったコミュニケーションの手法だ。参加者が自分の立場や見解に固執しないことが大前提となる。

  米国の物理学者、デヴィッド・ボーム博士が中心になって開発されたもので、語源は、「意味が流れる」ということを示す「ディア・ロゴス」というギリシャ語。「テーマを共に探求するプロセス」と定義されている(HUMAN VALUE より)。参加者が互いの意見の正当性を言い合い、説得し結論を導く「ディスカッション」とは違い、時間はかかるが、多くの参加者がより納得がいく結論を導き出せるとして注目されている。

  武蔵野市でもいろいろな課題がある。そのさい、説明したからとかすでに決まっているから、ではなく、何が問題なのか、どこに納得できないか。行政も市民も「ダイアログ」を使って話していくことで、じつは同じことを考えていたということになるかもしれない。あるいは、互いの少しだけ発想を変えることで、ベストではないかもしれないが、ベターな結論になることもあると思う。どちらかだけのベストな結果では、どちらも不幸だ。「ダイヤログ」は、武蔵野市でも取り入れていくべきことだ。

■できない理由を言うな

 北川教授とは、2003年に早稲田大学教授に就任した後、社会人向け講座を開設したさいに受講生として授業を受けて以来、お付き合いをさせていただいている。政治改革運動として北川教授が立ち上げたローカルマニフェスト推進議員連盟の事務局長として、最近では月に一回は話をさせていただいている関係だ。常に課題を突き付け、できない理由を言うと、なぜや?と言い返され、発想を変えろ、突き破れとできない理由を言うなと叱咤されている。政治や行政への考え方、具体的な取り組み方など多くをいまだに教わっている恩師でもある。

  今回、定年となり早稲田大学の教授は退官となるが、まだまだ活躍をしていただきたいし、世の中にとって必要な人だ。最終講義の後、関係者によるパーティで、塚本早大教授が、これで一線を引くのではなく、一線を超えて活躍していただきたいと挨拶していたが、同じ思いだった。

2015年2月22日日曜日

踏み込んだ改革遠く - 大和郡山市会特別委

<奈良新聞より>

 大和郡山市議会の議会改革特別委員会は平成246月に審議が始まり、これまでに15回の委員会を開いてきた。委員会では、市自治連合会による要望書提出や直接請求のあった議員定数の削減は2(現行24)することを決めたものの、それ以外は大半が現状維持。議員報酬は見直さないが、費用がかかるため、議会のインターネット配信や議会だよりの発行はしないなど、本末転倒な結果で本質的な改革はまったく進んでいない。4月の統一地方選を前に議会の果たすべき役割について考えたい。

 同委員会は、議会の使命と議員の職責、議員の政治活動▽議会だより▽インターネット配信▽傍聴の規律▽一般質問▽行政委員▽政務活動費▽議員報酬▽議員定数▽その他(議会基本条例)―の10項目を検討項目とし、その他以外の審議は終了した…


 

2015年2月21日土曜日

毎日新聞に掲載される!<川口市議選、投票率アップ作戦>

「議会基本条例を考える会」が、記者発表した<川口市議選、投票率アップ作戦>が、2月20日付毎日新聞に載りました。
これで、朝日新聞、埼玉新聞、毎日新聞の3紙が掲載してくれました。

須坂市議会〜議長に北沢雄一氏、副議長は中島義浩氏

<須坂新聞より>
 

 須坂市議会臨時会は1213日に開き、新たな任期が始まった20人が正副議長選挙などの議会人事を行った。議長に北沢雄一氏(65、当選3回、新田町)、副議長に中島義浩氏(60、当選3回、八幡町)を選んだ。任期は申し合わせで2年。

 議長選は北沢氏と関野芳秀氏(60、当選4回、上八町)の2人が立候補を表明した。投票の結果、北沢氏が11票、関野氏が9票で北沢氏が当選した。

 北沢氏は所信表明で市議選の過去最低の投票率(49.18%)に触れ、「議会の存在感を高める努力をし、市民に議会の果たしている役割をもっと知ってもらえるようにアピールしたい。議論活発な議会づくりに取り組む」とした。当選後「市の発展と市民福祉の推進に誠心誠意努力する覚悟」と述べた。

 関野氏は所信表明で「市民の意思をしっかり受け止め、適切な形で議会に届け、行政へ反映させていくことが大事。芯の強い議会を目指し、時代のニーズに沿った新生議会を目指す」と訴えた。

 一方、副議長選に立候補を表明したのは宮坂成一氏(61、当選3回、大谷町)1人だったが、選挙は立候補者に限らず投票ができることから中島氏に9票が入った。宮坂氏も9票の同数で並び、規定に基づいて行ったくじ引きの結果、中島氏が当選した。無効2票。

 中島氏は当選後「北沢新議長をしっかりとサポートする中で、活発に議論のできる議会づくりを進めていきたい」と述べた。

 宮坂氏は所信表明で出前対話型議会報告会の開催や議会改革活性化等調査特別委員会の設置、議会基本条例の制定や各議員の政策実現に向けた取り組みの推進、市民福祉の向上などを訴えた。

 各委員会の構成などは次号で掲載。

 

 

2015年2月20日金曜日

評価なき世界は腐敗する。

<敦賀市議のブログより>

【「怠け者の楽園」地方議会を放置するな!】~通信簿で議員を評価する試み~ 

相川俊英(ジャーナリスト)「相川俊英の地方取材行脚録」より引用~

評価なき世界は堕落と腐敗に塗れてしまうものだ。自律的に行動できる立派な人などそうはいないからだ。誰からもチェックされず、懸命に努力しても手抜きしても怠け放題してもそう評価が変わらないとなれば、ほとんどの人は安楽な道を進んでしまう。チェックなき状況が怠け者を増殖させるといってよい。

地方議会の世界がまさにこれで、いまや「怠け者の楽園」と化している。住民の議会・議員に対する無関心と諦め、嫌悪などがもたらしたものだ。住民が議会・議員に対するチェックを怠れば怠るほど、議会・議員の劣化は猛スピードで進む。

神奈川県相模原市に市議会議員の通信簿を独自に作成している住民グループが存在する。「相模原市議会をよくする会」(赤倉昭男代表)で、2003年からコツコツと続けている。メンバー14人が手分けして市議会の全ての本会議や常任委員会を傍聴し、議員個々の仕事ぶりを採点したうえで通信簿を作成している。4年間の議員活動の評価なので任期満了前にとりまとめ、成績を公表している。今月2日に4回目となる議員通信簿が発表された。

議員通信簿は各議員の仕事ぶりを評価するもので、政策や理念、考え方などを評価対象とはしていない。あくまでも議員活動の実態や姿勢、能力などを傍聴者の住民の視点でチェックしたものだ。不偏不党・中立を旨としており、採点者の主義主張や好き嫌いが入らないように会員同士の協議を経て点数化している。評価項目は基礎知識や予算・決算書の理解度、政策立案、質問、行政チェック度、公約達成努力、議場での態度自制、人間性、好感度など全部で20項目。各5点で100点満点となっている。今回は議員個々の合計点は明記せず、1つ星から5つ星の5段階での評価となっている。

議員通信簿には相模原市議48人の実名と顔写真、年齢や当選回数、所属会派名といった基礎情報も添付され、そこに個々の議員の成績が記入されていた。最も評価の高い5つ星は4人で、最低ランクの1つ星は2人。82歳で7期目の議員と80歳で9期目のいずれもベテラン議員だった。

通信簿には議員個々についての寸評も書かれており、読むとこれがなかなか面白い。議員にすれば何が書かれるが気になって仕方ないだろうが。代表の赤倉さんは「議員の資質向上に役立てばと思ってやっています。あくまでも市民傍聴者による評価で、行政が議員を評価したら別な結果になるかもしれません。」と語る。相模原市議会では居眠りや雑談、下品なヤジはなくなったそうだ。

議員の仕事ぶりをきちんとチェックし、問題ありと判断したら選挙での評価を下すのが、住民の権利であり、義務でもあるはずだ。「怠け者の楽園」生活を謳歌する議員先生をいつまでも放置しておく余裕など、もはやどの自治体にもないはずだ。


 

2015年2月19日木曜日

地方議会改革は、まず政務活動費を0(ゼロ)にすることから始めよう!

livedoorニュースより>

去る120日の朝日新聞の朝刊に、例の兵庫県議会の野々村議員が話題になって以来、全国で地方議会の議員に支給される政務活動費の返還運動が進められ、1億近い9,600万円の返還があったという記事が取り上げられていたのを見た人も多いだろう。

私は兵庫県議の姿をテレビを見て感ずるところがあり、地方自治体の予算のムダを削るためには、まず議員自らが身を律して定数削減と同時に政務活動費という地域住民が見て納得できないものを、個人の良心で返還するのではなく制度的に廃止すべきだと考えた。

そこで、やがて全国政党に作り上げていく国民党の統一地方選挙における最大のスローガンとして「政務活動費0(ゼロ)」を全面に押し出すことを考えている。

小林興起政経塾出身者等を中心に今回、東京の区議選に、あるいは都傘下の市会議員選挙に挑戦しようとする候補予定者はこの構想に賛同して、既に街頭に立ってこのスローガンを主張している。

調べてみると各自治体の金額はバラバラで、例えば、品川区なら228万円、墨田区なら168万円、新宿区、豊島区180万円、渋谷区240万円、練馬区252万円等々であるが、いずれにせよ、皆様方の年金以上の金額であり、給料を十分支給されている議員が、給料以外に多額のお金を税金から支給されているのを見ると、誠に違和感を覚える。

最近の国政では、国民の生活を圧迫する消費税増税を財政赤字解消のため必要だと言いながら、議員の身を律する行財政改革の声は聞かれない。

従って、この地方議会改革のための政務活動費0(ゼロ)も、既存の大政党は自分の選挙に役立つ地方議員に配慮して唱えることもしない中で、まさに既存政党の言えないことを主張して国民のために役立つ政治を訴える国民党が、この「政務活動費0(ゼロ)運動」を展開する意義は、政治を変え、政策を変えてこそ国民を幸せにできるという我々のしゅちょう姿勢を国民の皆様に理解していただくのにふさわしいテーマである。

事実、街頭で演説をしている候補予定者から、この訴えには賛同して下さる方が多く、激励の声に勇気をもらうことができるとの声が寄せられている。

この「政務活動費0(ゼロ)運動」をさらに横に広げていく中で、全国で本当に世の中を変えていきたいと願う既存の政党に飽き足らないと考える候補予定者が、この私の一文を読んでぜひ国民党本部にご連絡、お問い合わせをいただければ嬉しい限りである。


 

2015年2月18日水曜日

埼玉新聞に掲載される!<川口市議選、投票率アップ作戦>

「議会基本条例を考える会」が、記者発表した<川口市議選、投票率アップ作戦>が、2月17日付埼玉新聞に載りました。
これで、朝日新聞、埼玉新聞の2紙が掲載してくれました。


議会災害時行動計画を策定・・・鳥羽市議会

鳥羽市議会は昨年12月、災害時に議長・議員及び議会が取るべきき行動について纏めた「議会災害時行動計画」を策定した。出典:月刊ガバナンス2月号



2015年2月17日火曜日

朝日新聞に掲載される!<川口市議選、投票率アップ作戦>

「議会基本条例を考える会」が、記者発表した<川口市議選、投票率アップ作戦>が、2月14日付朝日新聞に掲載されました。



議会の1年間スケジュール

<宮代町議のブログより>

議会の年間スケジュールは当たり前

昨日、議会の議場(その他、控室なども)確保は大原則、と言いました。

他市町のことをお知らせします。近隣市議会の大部分は、議会の年間スケジュールを公表しています。

これは、議会棟、議場をもっているからということではなく、(議場を借りているから宮代町は決められないというのではないということです)年4回ある定例議会をあらかじめ決めて、それに従い執行は、政策や議案の用意などをしていく必要があるということです。

議員のほうでも直前の議会の日程しかわからないようでは、外(議場以外)の議員活動の予定も組めないという事情があります。

久喜市では、29日から2月定例会(予算議会)が始まっていますが、27年度すべての市議会定例会および一部事務組合議会の日程が公表され、議員は自分の年間スケジュールの中に組み込みました。あくまで予定だとしても、これは不可欠です。

 議会開催1週間前には議会運営委員会、同日に議会全員協議会が入ってくるのも通例になりつつあるわけで、宮代町でも、町の意志を決める最高意思決定機関との認識が、執行、議会そうほうにあれば当然、そうなるべきだと思います。

〈絵に描いた餅〉の条文

全国の議会の半分以上が議会基本条例をもっています。

 今、宮代町議会では、議会基本条例の見直しが行われていますが、おかしなことに議員自ら作った議会基本条例のなかには、実行できそうもない条文が盛り込まれています。努力規定ということですかね。

 全国を対象とした自治体議員の研究機関に所属していますが、ここでもよく話題になり、失笑ものなんですが・・。

多くの地方議会で「議会基本条例」を作っています。その中の、条文で、〇議員間での十分な討議 〇議員の自己研さん という条文が必ず盛り込まれています。が、(絵に描いた餅)状態でして、議員間(議員全員による)討議などできないし、やらないし、議案審議の前に議案の賛否は会派で決まっているようなもの。

 議員間討議で考えがまとまるというのは至難の業ということ。実は議員の多くが暗黙のうちに知っている。

それをできなくしているのは、会派。国も県も地方議会も、≪かたまり≫が決めていく。

※ 町に新しく流入してきた若い世代からの相談、意見などをいただくようになった。(生の声)(生の感想)の中から新たな施策が生まれなくてはならない。がんばり時だ。

2015年2月16日月曜日

川口市議選「投票率アップ作戦」、記者発表

「議会基本条例を考える会」では、4月26日の川口市議選の投票率アップを狙って立候補予定者へのアンケート作戦を実施することになりました。2月13日に記者発表を行いましたのでお知らせいたします。

【記者発表の内容(2月13日)】




【立候補予定者への手紙(2月6日)】


働かない議員は交代。

<敦賀市議のブログより>
 
こんにちは!

働かない議員は交代 

鍛えられる民主主義

 議員選挙の投票率が毎回、事実上100%の自治体がある。鹿児島県三島村。薩摩半島の南西約50キロの沖合、三つの離島からなる。人口は先月1日現在375人だが、定数7の村議選が無投票となったことは過去に一度もない。高投票率の秘密を知ろうと訪ねると、本土並みの行政サービスを受けられない逆境の中で、民主主義が鍛えられていた。【和田浩幸】

 3島と鹿児島港を結ぶ村営フェリーで最も近い竹島まで3時間。一番奥の黒島までは5時間強かかる。

 直近の2011年村議選では有権者279人のうち、棄権は寝たきりの高齢者ら5人のみ。投票率は98.21%だった。3期目を目指す現職2人が1票差で最下位当選と次点に沈み、新人がトップ当選するなど新陳代謝も活発だ。ちなみに07年村議選の投票率は98.33%だった。

 「おばあの具合が悪い」。今年の元日午前4時半ごろ、黒島に住む村議会議長、日高重行さん(65)の携帯電話が鳴った。駆け付けると、93歳の女性が息を引き取っていた。

 医師も警察官もいない。船は2日に1往復で、海はしけ、欠航が続いていた。急患用のヘリも飛ばせない。非常時の対応は地区長も兼ねる日高さんらに任される。遺体を保冷剤で冷やし、葬儀の手続きや納棺に追われた。正月3日、ひつぎは船に乗せられ、その船内で島を巡回する医師がようやく死亡を確認。そのまま鹿児島市内の葬儀場へ向かった。

 村役場も鹿児島市内にある。日高さんは言う。「島では当たり前の行政サービスが受けられない。全員が選挙に行くのは、切実な思いを政治に反映させたいからです」

 島は戦時中孤立し、終戦が伝わったのは3カ月後の1945年11月だった。戦後の高度経済成長からも取り残された。電化製品の普及は、24時間送電が実現した74年以降だ。

 竹島には飲食店も商店もなく、欠航が長引けば各世帯が食料を分け合う。国や県の支援なしに暮らしは成り立たない。議員は島民の声を県や国に伝える重い使命を負う。

 選挙が近づくと、島民たちはメモ用紙に候補名を書き、その下に○、△、×の印を付けて当落を予想し合う。「お前は何のために議員になったと?」「世間(本土)との違いをどげん考えとるとかっ」。硫黄島では、働かない議員を島民が取り囲み、怒鳴りつける光景もあったという。

 11年、全島に高速通信網が整い、ネット中継で本土の村役場で開かれる村議会を島で見られるようになった。60代の女性は「頼りにならない人は交代させる」と話す。投票率ほぼ100%の民意が村議会にもたらす緊張感は並大抵ではないようだ。経験者の一人が打ち明けた。「議員は24時間365日、監視されています」

 ◇現職の大山村長、島民が下す厳しい審判

 島民が村長選で下す審判も厳しい。現職の大山辰夫村長(56)は2005年に初当選したが、09年は落選。島を留守にする機会が増え、島民との対話が不足していた、と敗因を分析する。

 大山さんが返り咲いた13年11月の選挙で、鹿児島市の老人ホームに入所する91歳の女性が車椅子で親類に付き添われ、市内の役場で不在者投票に臨んだ。末期の胃がんで字は書けず、しゃべるのも難しい。掲示された2人の候補名を選管職員が指さし、大山さんの名前で指が止まると、女性は無言でうなずいた。「最後の選挙で、どうしても投票したい」と声を振り絞って親類に懇願していた。職員が投票用紙に代筆を済ませると、ほっとした表情を見せた。

 2カ月後、女性は息を引き取った。「執念の投票だった」と親類は振り返る。大山さんは硫黄島で幼いころ、女性にかわいがられていた。投票の様子を聞き、人目もはばからず男泣きした。

 「国や県に堂々と物申せるのは、こうした民意があるからだ」と大山さんは言う。不便な暮らしを少しでも改善したいという声で、高速通信網を導入。今は船の1日1往復と、港湾の整備を国に求めている。「本土との格差は大きい。声を上げ続けないと、村は無人島になってしまう」

~ Yahooニュースより引用 ~

 

2015年2月15日日曜日

議員定数、2減の24に 政務活動費も減額 鹿沼市臨時議会

<下野新聞より>

市議会臨時会が12日開かれ、議員定数を現在の26(欠員1)から24とする市議会定数条例の一部改正案や、現在月額2万8000円の政務活動費を2万5000円(年額30万円)とする政務活動費条例の一部改正案などを可決した。

議員定数は9月19日任期満了に伴い、9月に行われる次期市議選から適用される。議員提案した議会運営委員会の冨久田耕平委員長は「活発な討議を行うのは24人が必要との結論に達した」と提案理由を説明、起立採決で賛成多数で可決した。

市議会は議会改革調査特別委員会が検討を重ね、昨年12月に大貫武男議長に答申していた。

また議員定数2減に伴い、4常任委員会の定数をそれぞれ6人とする市議会委員会条例の一部改正も可決した。政務活動費の減額は4月1日からとなる。



 

 

2015年2月14日土曜日

女性の声を政治に!女性ゼロ議会の撲滅と女性議員比率50%を目指して

<政治山より>

政治山では、政策立案を行う「政策型議員」を目指す地方議員らで構成される「ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟」(略称:LM推進地議連)と連携し、連載・コラムを掲載します。地域主権、地方分権時代をリードし、真の地方自治を確立し実践するために設立された団体のメンバーが、それぞれの実践や自らの考えを毎週発信していきます。現在は、全国47都道府県の議員にご登場いただき、地域の特色や問題点などを語っていただく「リレーコラム47~地方議員は今~」を連載しています。第122回は、埼玉県八潮市議会議員の矢澤江美子氏による「女性の声を政治に!女性ゼロ議会の撲滅と女性議員比率50%を目指して」をお届けします。

八潮市は、埼玉県南東部の人口約85,000人、四方を中川、綾瀬川、垳川、大場川等に囲まれた南北に長い18.03平方キロメートルのまちです。2005824日につくばエクスプレス(通称TX)が開業するまでは「陸の孤島」と言われていた地域でした。

しかし、TX開業後は、秋葉原まで最速17分というアクセスの良さで、首都圏のベットタウンとして変貌を遂げつつあり、子育て世代を中心に人口が増えています。その結果、保育所、学童保育所はもちろん児童数の大幅増のため教室の増築などが喫緊の課題となっています。また、駅前を含めて市内5カ所の区画整理事業が進行中ですが、長期にわたる景気の低迷の影響で、保留地売却が予定通り進まず事業期間が長期化しています。

◆女性の声を市政へ届けるために

私は19979月に議員になりましたが、立候補前の八潮市議会は定数28のうち女性議員は1人(共産党)のみで、TX絡みの開発もあり、男性議員(特に自民党系会派)の中には、不動産業や建設業の方が多かったことが印象的でした。

私は、PTA活動や地域のボランティア活動の中で、市の福祉施策に触れる機会が増えるにつれ、「このまちで安心して老いることができるだろうか」と思うようになりました。「私たち女性の声を市政に反映させたい」と、是々非々で活動できる「無所属の女性議員」を出そうとなりました。

候補者の公募に失敗し、結局、私が出ることになり、地盤・看板・カバンもない中、初の市内全域候補*「八潮発!新しい風」を掲げ、多くのボランティアスタッフに支えられながら戦いました。選挙直近の6月議会で定数が2人削減される厳しい選挙でしたが、12位で当選できました。

*)特定の町会推薦ではなく、市内の様々な地域から少しずつ票をいただく候補

私は、生活に身近な地方議会には「政党や会派はいらない。議員個人が『是々非々』で活動すべき」と考えていたことと、当時は自民党系、公明党、共産党の3つの会派しかなかったため、新たに「市民と市政をつなぐ会」を作り、1人会派で活動を始めました。2期目、3期目は2人会派となったこともありましたが、2009年からは、再び1人会派で活動しています。

◆世間と議会の常識の差を実感

議員になる前から耳にしていたものの、世間と議会の常識の差を実感し、「まずは議会の実態を市民の皆様に知っていただこう」と、議会報告「やざわえみこ通信」の発行を始めました。

当初は、手刷りの3000部をボランティアスタッフと一緒にポスティングしていましたが、多くの方に読んでいただくために1期目の途中から、パソコンで作成した原稿を印刷してもらい、新聞折込みでの全戸配布(28,000部)に変えました。昨年、政務活動費の不正使用が話題になりましたが、八潮市議会の政務活動費は年額10万円なので、通信の発行は全額自己資金です。

当時の八潮では、個人で議会報告を出している議員は皆無で、町会推薦のような形で出ている方が多かったこともあり、他の議員から「何でおれの支持者のところまで・・・」と、笑えないクレームもたくさんいただきました。

その後、新人議員の中にも、ごくごく少数ですが継続的に個人通信を出す人も出て、「えみこ通信」に対する議員からのバッシングはかなり減りました。ただ、今でも私の通信の熱心な読者は議会の同僚議員であり、隅から隅まで目を通して「何かおれたちのことが書かれていないか」と、目を光らせているようです。

◆議会改革までの道のり遠く

八潮市議会では議会改革はほとんど進んでいません。むしろ、議案質疑回数を減らすなど後退している感があります。既に全国では、500を超える自治体議会で作られている議会基本条例もなく、議会報告会も未実施。議会の中継も、録画のインターネット配信も実施していません。本会議の議事録は公開されていますが、委員会の議事録は未公開で、市民からの「委員会議事録公開の請願」も意味不明の「趣旨採択」としています。

正式会派は2人以上で、代表者会議、議会運営委員会には、1人会派でもオブザーバーとして出席できるようになりましたが、発言は原則できないことになっています。最近では、1人会派でも正式会派として認めたり、会派制そのものを廃止する議会も出ているので、何度も改善を要求していますが、いまだ実現されていません。

こんな状況なので、早稲田大学マニフェスト研究所が毎年、全国規模で行う調査「議会改革度調査2013ランキング」でも821位と、恥ずかしい状況です。

何度も議会改革の必要性を訴え、ようやく協議の場を設けても、「(あり得ない)全会派一致でないと変えない」ため、また改革する必要性を認識していない議員もかなりいるため、「すべて現状通り」と、何一つ改革せずに終わったこともありました。

今年度も、同様の場を設けていますが、どんなふうに議論されていくのか注視しています。

私は八潮市議会では1人会派ですが、近隣の議員たちとの情報交換や、全国フェミニスト議員連盟、自治体議員政策情報センター「虹とみどり」の仲間たち、全国市町村国際文化研修所(JIAM)の研修仲間たちと常に連絡を取り合い、一緒に学んでいます。最近では、ローカルマニフェスト推進地方議員連盟にも再入会し、同じ志のある仲間たちとも交流を始めました。

常に、「アンテナを高くして、新しい情報を手に入れ、それを自分のまちにあった形で提案していく」、これが私の基本的な活動スタイルです。

◆クオータ制の実現へ向けて

今、一番関心があるのは「クオータ制の実現」です。

政府は、男女共同参画社会基本法に基づき「2020年までにあらゆる分野において指導的地位の女性比率を最低でも30%にする」としています。世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数では、日本は2014年度は142カ国中104位。政治分野では129位と先進国の中では最下位のグループに位置しています。

一方、地方議会では女性議員は微増していますが、前回の統一地方選の結果、県議会では女性議員ゼロの議会はなくなったものの、市町村議会では女性議員ゼロの議会が約25%もあり、特に町村議会では「女性ゼロ議会」が40%もあります。

人口の半分は女性なのに、これでは女性の声が政治に届かないと、「まずは国の政策決定に大きな役割を果たす国会議員に女性を増やす」ことを目的に、2011年秋、女性政治家、女性候補者を支援する超党派のネットワーク「WINWIN」の呼びかけに応じた国内の代表的な9の女性団体(WIN WIN・クオータ制の実現をめざす会・高齢社会をよくする女性の会・国際女性の地位協会・全国フェミニスト議員連盟・大学女性協会・日本女性科学者の会・日本BPW連合会・日本婦人有権者同盟)が集まり、「クオータ制を推進する会(通称Qの会 会長は元文部大臣の赤松良子)」(賛同団体数は現在47)を発足させ、クオータ制導入に向けて活動を始めました。

各国のクオータ制の導入状況や比較等の勉強会、ニューズレターの発行、国会議員へのロビー活動等を行っています。昨年夏にはヌエック(国立女性会館)でシンポジウムを開催したところ、多くの方の参加があり、関心の高さが窺われました。

201536日には、国際女性デ―(8日)行事として「国際女性デー2015『戦後70年、前へ!Time to Get Ahead』」を参議院会館で開催しようと目下準備中です。議連役員の国会議員のご挨拶を始め、一橋大教授中北浩爾さんの基調講演、琵琶湖成蹊スポーツ大学学長で元滋賀県知事の嘉田由紀子さん、法政大学教授の山口二郎さん等の豪華メンバーによるパネルディスカッションも予定しており、クオータ制導入に向けて大きな後押しとなるよう、多くの方々に参加していただければと思っています。念願だった超党派の(仮称)『政治分野における女性の参画と活躍を推進する議員連盟』も226日に設立される予定です。

通常の議会活動をきちんとこなしながら、こういった活動を続けるのは、正直言ってかなり負担があります。しかし、本当の意味で「女性が輝く社会」の実現は、政策決定の場に多くの女性の声が反映されなければ不可能です。(私の娘たちを含む)後に続く多くの女性たちのために、そして今後、高齢社会に生きる私自身にとっても「安心して老いることのできる社会」をつくることは喫緊の課題となっています。

今年は戦後70年、女性が参政権を得てから70年、そして北京会議から20年です。その節目の年の統一地方選で、多くの志ある女性たちに当選していただき、女性ゼロ議会を減らし、女性や子どものための政策が議会の大きなテーマとなるよう、私も微力ながら応援していきたいと考えています。これからもHPやブログ、facebookなどを活用し、いろいろな方とつながりながら情報発信もしていくつもりです。