<松阪市議のブログより>
■かたちにならない議員間討議
松阪市議会の議会基本条例に議員間討議を位置付けましたが、機能していません。
本会議で議員間討議をおこなうのは、議案の採決の前の賛否の討論の前です。
賛否の討論は、それぞれの議案に対する賛成や反対の意思を表明し、その理由を述べるもので、いわば、判決前の最終陳述。賛成ないしは反対の理由を述べることで、賛否を決めかねている議員の気持ちを動かすための役割があると考えられます。しかし、実際には、それより以前に会派で“申し合わせた”賛否にかかわる意思を、採決直前に動かすことのできる議員は少ないと見え、賛成・反対理由の言い合いセレモニーに等しい現状があります。
これに対して、議員間討議は、議員個々が、賛成や反対と言う前に、市長や担当部長らへの質疑によって浮かび上がってきた争点・論点を洗い出し、互いに議論をする唯一の機会です。
議会は、議員間で議案を審議する場で、審議には必要な質問と討議が欠かせないはずですが、戦後、憲法と地方自治法が施行されたすぐの時代を除いた60年ほど、議員間の討議はなく、市長・部長らに質問をすることだけが“審議”となっていたきらいがあります。
それは、地方に限らず、国会でもほぼ同じであると想定しています。
それでは、審議機関としては不十分です。
審議には、たんに質問をして答えをもらうだけではなく、議論をする必要があるのにそれをしてこなかった。
だから、議員間討議を位置付けましたが、機能しません。
■通告制の議員間討議
議員間討議を制度化したのに発言者がいないから今年から通行制としました。
議員間討議の前日までに、議員間討議をしたい議員が、該当の議案と項目、発言の趣旨を前もって各議員にお知らせし、議員間討議までに準備を促すものです。
今回の平成25年度決算の認定議案では、3人の議員(海住恒幸・久松倫生・前川幸敏)から、議員間討議の通告がありました。しかし、だれも、この討議に応じる議員はなく、3人とも言い放しに終わりました。
■賛否の討論
議員間討議が終了すると、賛否の討論があります。
議員間討議では発言しなくても、争点のある議案に対しては賛否の討論に参加する議員はそれなりに増える傾向にあります。
しかし、と思うときがあります。
賛否の討論は一人、1回のみ。いったん、発言すると2度目の発言はありません。
たとえば、自分が条例案や議案の修正案、動議を提出し、自ら賛成討論したとしましょう。
そのあと、反対者が、その中味に対して、理解が不十分であるか、意図的に事実に反するデータや意見を開陳しながら反対討論をしたとしても、提出者本人はそれへの反論ができません。
議員間討議の段階で発言しておいてくれれば、誤解を解いたり、反論したりすることが可能ですが、この段階ではそれもかなわず、ひじょうに不本意です。
松阪市議会の議会改革は、日経グローカル誌(21位)や早稲田大学マニフェスト研究所(27位)の調べで全国1800議会の中で上位にランクされ、各地から視察が相次いでいますが、いま改革は止まっています。
本来であれば、ここに書いたような事象を検証し、その問題を改善し、克服していこうとする検討がなされるべきですが、その議論を「必要ない」とする空気が広がっている気がします。
◇ホームページ http://gikaikaikaku.web.fc2.com/
※当会は「不偏不党」です。
※当会のメールマガジン登録(毎月1回の発行予定)及びお問い合わせはこちらへ
0 件のコメント:
コメントを投稿