2018年4月7日土曜日

議員質問に聞き返す「反問権」 OKは半数

<朝日新聞より>


【議会はいま】

 議会は通常、議員が質問し執行部が答える一方通行のやりとりだ。それに対し、議会活性化を目指し、執行部が議員に聞き返す「反問権」を認める動きが各地である。県内で反問権を認める議会は半数あるが、聞き返す範囲は「議員の質問の趣旨確認」に限っている。反問権の実情を探った。

◇多くは趣旨のログイン前の続き確認に限定

 「一方的に言われるだけでなく、こちらからも指摘をさせてもらわないと議論にならない」。大阪市長だった橋下徹氏は2012年、市長が議員に逆質問できる反問権を認めるよう要望したことがある。
 議会では、議員が首長ら執行部に質問するのが「当たり前」で、執行部が議員に質問したり言い返したりすることはほとんど行われていない。反問権は、議会改革を訴える人の間で指標の一つにみなされ、2000年代初頭から各地で動きが出てきた。だが、それが議会活性化の切り札にはなり得ていない状況が見えてきた。
 朝日新聞さいたま総局と埼玉大学社会調査研究センター(松本正生センター長)が実施した共同調査では、反問権を「認めている」としたのは県内で31議会。うち4議会は反問できる内容に制限はないが、議員と執行部が激しい議論になる機会はほぼ見られないという。にもかかわらず、大半の議会は反問できる範囲を「議員の質問の趣旨確認」に制限している。
 なぜ、「反問権」に制限を加えているのか。
 所沢市議会で議会基本条例の制定に取り組んだ桑畠健也市議は「反問権は両刃の剣だ」と話す。同条例では「議員から質問を受けたときは、その論点を整理するため、当該議員に対し反問することができる」と、歯止めをかけている。
 桑畠市議は「執行部と議会は議論を戦わせるべきだ」としつつ、反問権が「反対派への攻撃道具として利用されかねない」と懸念する。「反問されたことに答えないと、『じゃあ我々も答えない』という理由付けを執行部に与えることになりかねない。気に入らない質問への時間稼ぎにも使われかねない。一定のルールは必要だ」

◇「中途半端 『煩悶』するだけ」「受けて立てば改革進む」所沢市長

 執行部は反問権をどう考えているのか。
 所沢市の藤本正人市長に聞くと、ペンで「煩悶(はんもん)」と書いた。議員の質問の趣旨確認に限られている現状をあげ、「中途半端な反問権は、もだえ苦しむだけだ」と話す。「市民の前で丁々発止しながら議論が深まっていくことを目指しているのだろうが、そうなっているのか」と疑問視する。
 「そもそも議会では発言の自由が保障されている。だから議員の理不尽な質問に『ではこういう場合はどうなると思うのか』と執行部が問い返すことはできる」との立場だ。「ただ、議員にはそれに答える義務はない」と付け加え、質問に答える必要がある執行部との違いを強調する。
 反問権を趣旨確認に限っていることについて、議員には「執行部とは情報量が圧倒的に違う。執行部から反問されると言い返せるのか」と懸念する声がある。藤本市長は「議員も『反問に受けて立つ』となって、初めて議会が目指してきた議会改革が進むのではないか」と主張する。(有近隆史)

https://www.asahi.com/articles/CMTW1803311100002.html

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