2016年2月11日木曜日

「合格したら住民票移して」 埼玉大が呼びかけ

<朝日新聞より>
 
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住民票の異動は、学生の政治参加を促す起爆剤になるか=さいたま市桜区

 サクラ咲く、選挙も行く――。今年の参院選から選挙権年齢が「18歳」に引き下げられることを受け、埼玉大学さいたま市桜区)は今春から、県選挙管理委員会と連携して住民票の異動を促すチラシを作成し、合格通知書に同封する。参院選は7月に想定されており、投票権確保のため新入生に早めの対応を促す。
 チラシは「選挙は自分の居住地で。引っ越しをしたら住民票を移しましょう」などと書かれ、合格者に発送する合格通知書に同封される。
 転居後に新しい居住地で選挙権を得るには、選挙公示前に「3カ月以上」住んでいることが条件。選挙権年齢の引き下げで今年の新入生のほとんどが有権者になるが、4月の入学式で住民票の異動を呼びかけても、7月投開票予定の参院選には間に合わない恐れがある。このため、3月上旬までに集中する合格通知の段階で異動を呼びかけることにしたという。
 ログイン前の続き埼玉大によると、大学周辺で下宿する学生のほとんどは住民票を現住所に移していないのが現状だ。転居時は14日以内に住民票の異動手続きをすることが原則とされるが、「自分の出身地で成人式に出たい」「手続きが面倒」と見送る学生が多い。昨夏の知事選時の学内アンケートでも、「県民でなく有権者でもないので投票できない」という回答が目立った。
 こうした状況を打破しようと、チラシ送付を思い立ったのが、松本正生教授が率いる同大社会調査研究センターだ。18歳選挙権の付与などで若者の政治参加の機会が拡大しても、実際に投票に行かなければ新たな制度も生かされない。そこで「投票所に行ってもらうための環境づくりこそが重要」として住民票の異動に目を付けたという。
 松本教授は「高校生は地元で暮らしている生徒が大半で、学校の指導もあるから投票に行くだろう。でも、大学生になり地元を離れたら行かなくなるのでは意味がない」と懸念する。
 住民票を異動していなくても、以前住んでいたところで不在者投票制度などを利用することはできる。だが、松本教授は「資料請求に時間がかかるし手続きも煩雑。住んでいるところで、そこの代表者を選ぶのが選挙本来の姿」と唱える。
 投票啓発に向けた各大学の取り組みは活発化している。2013年には松山大が全国初となるキャンパス内の期日前投票所を設置した。埼玉大と今回の試みで連携する県選管は、県内の他の約40大学や専門学校にもチラシ同封の協力を呼びかける方針だ。
 県が学生に絞り、住民票の異動を促すのは初めてのこと。知事選でかつて全国最低を記録、ここ2回の国政選挙でも全国平均を下回るなど県内選挙では投票率の低迷が続く。県選管の担当者は「より多くの人に埼玉に根づいてもらい、ぜひ投票に結びつけたい」と期待を込める。(松本麻美)
http://digital.asahi.com/articles/ASJ1N52D2J1NUTNB00G.html?rm=372

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