住民へアンケートを行ったら、議会はいらないが結論となってしまったことから、議会改革を進めている岐阜県可児市議会に伺い、これまでの取り組みを伺った。
ローカルマニフェスト推進地方議員連盟が主催した研修会「どうせい?こうせい?地方創生」に参加し伺ったもの。可児市議会の議会改革は、2015年のマニフェスト大賞を受賞しており全国的にも注目されている。この日は議場をお借りしての研修会だった。
■改革できるのは執行部ではなく議会
地方分権が進み、団体自治のあり方が変わった。議会は監視機能だけに落とし込まれるのではなく、監視、立法、調査、政策提案もできることを再認識するとともに、執行よりも決定権限者が力を持つ意味とその責任もあるを自覚すべき。あのまちに住みたいと思えってもらえるような変化を議会こそが作るべきとの持論を伺った。
何度も聞いていることだが、この意味が多くの議員にまだまだ伝わっていないように思う。この意味を理解すること、制度だけをいじる改革ではなく、真の議会改革につながるポイントだろうと再認識した。
北川名誉教授の講演の後、川上文浩可児市議会議員からこれまでの議会改革について、説明があった。
■改革のフロー
これまでの改革は、「気付き」⇒「ひらめき」⇒「行動力」⇒「相互理解」⇒「実施」⇒「規定」の流れで動いているとされていた。
確かに、ひらめきだけであったり、議員個人が発言しているだけで、多くの議員への理解ができるように伝わっていないこと。やってみないことには分からないのに規定を作ることだけに関心が高まり、結局何も動かない例があることを考えると、このフローは参考になる。議会としての問題意識の共有とまずやってみることが大切ということだ。
気付きから始まった例として、決算審査は何のためにやるのか? の疑問から始まった決算審査の改革も参考になった。
■全員一致で提言する決算
民間での決算とは、いいところを伸ばし、ダメなところは縮小、廃止にする。気がついたところへ次年度予算に反映するよう提言することを行なうのに、議会は何をしているのかの疑問から、次年度の予算へ提言を行なうようしている。提言が予算に反映されない場合は、否決や修正がありうるとの姿勢で行なっているとされていた。
長い時間をかけて、決算審査を行なっても、何に活かされるのか不明確なことが多いこと現実を考えると、とても参考になる。
同様のことを行なう議会はあるが、この提言を全員一致で行なうことにしているのが特徴だろう。全員一致だからこそ、意味がある。多数決は手法であり、議会は合議体なので少数意見を大切にすることが必要だと説明されていた。
正論としてはそのとおりだが、目立つことを目的にひとりだけするような議員がいないのか。自分の意見が100%反映されないとヘソを曲げて賛成しない議員がいないのか疑問が残る。このことを質問してみると、議員全員が自覚を持って議会活動をしているので、そのようなことはないとされていた。
可児市議会は、議員全員の意識高く、普段の研修が充実しているのだろうか。自覚を持ち活動できる秘密を聞きたいところだが、この課題は別の機会に聞いてみたい。
■議会報告会はグループワークで
また、武蔵野市議会でもテーマとなっている議会報告会についても参考になった。
以前は、130人来てもしゃべるのは5人ぐらいで、勝手なことを長々と言うので残りの125人は話せなくなり、次回からは来なくなってしまった。そのため、グループワークにして参加者全員が話せるようにしているという。他の議会でもこの手法は広まっており、武蔵野市議会でも参考にしたい事例だ。
他にも議会研修会を周辺の議会と一緒に行なっている。互いにやれば回数は増えることや主権者教育として高校と連携し、地域課題解決のための懇談会を開催していること。議員の改選で改革が終わってしまってはダメ。次期議会へ申し送りをするなど、続けていくことが重要性。議場で使っていたプロジェクターとスクリーンは、90万円で設置できた。スクリーンは庁内で使われていなかったもので、大型のディスプレイを設置するのではなく、このようなことでも十分できることなど、盛りだくさんの内容どれもが参考になることばかりだった。
特に全員が一致する大切さは特に印象的だった。伺った内容を武蔵野市議会へと反映させていきたい。
◆
可児市議会の入り口には、「市民に信頼される議会をめざして」と書かれたボードが設置され、議会改革を解説していた。視察が多いためとは思うが、何よりも市民に理解してもらうこと、信頼されることが重要だ。このような取り組みも参考にしたい。
http://blog.livedoor.jp/go_wild/archives/52450613.html
0 件のコメント:
コメントを投稿