2017年6月22日木曜日

7割の議会「議員提案条例制定なし」議員支えるには“力弱い”地方議会事務局

<niftyニュースより>
7割の議会「議員提案条例制定なし」議員支えるには“力弱い”地方議会事務局
[イメージ]執行部に比べ、大幅に少ない人数で議員活動をサポートする議会事務局はさまざまな業務を抱えています。本来の二元代表制を支えるバックヤードとしての機能強化が求められています(写真:アフロ)

 議会事務局は、地方自治法(第138条)で、議決機関である地方議会全体の活動を補助する事務を行うために設置されています。しかし、議会答弁の文字起こし、資料のコピー、お茶くみといった、議員の雑務を引き受けているイメージをもたれ、地方議会でどのような仕事をしているのか、あまり知られていません。地方議会改革の調査を実施している早稲田大学マニフェスト研究所(http://www.maniken.jp/gikai/)は、議会のバックヤードの強化の視点から、議会事務局の機能がどのような現状になっているか、注目しています。
議員が最大価値の働きができるサポートをするところ
 同研究所の中村健事務局長は、「議会事務局の機能は本来とても重要」といいます。マクドナルドを例に、「何時に何個ハンバーガーが売れたとか、あるエリアの店はどんなものが何時によく売れるというデータの分析機能は本社に集約される。それをもとに商品開発したり、戦略を立てたりして、その情報やサービスをフロントに戻す。これが議会事務局、バックヤードの役割」と説明します。

 「住民や議案と向き合って議論をする、そうしたフロントである議員・議会が、常に最大価値の働きができるような仕組みや機能、サポートをするのが、議会事務局」だからです。ところが、議会事務局は、議会に条例を提案する首長のいる役所職員(執行部)と比較してスタッフ数の規模が小さく、「村だと1人」、首長がいる執行部の「100分の1」という体制の自治体も多いのが実情だといいます。
政策型議員提案条例 提案も制定実績も「なし」7割
 その結果、地方議員が十分な力を発揮できていない一例として、政策型議員提案条例の実現が挙げられます。同研究所の「議会改革度調査2015」(http://www.maniken.jp/gikai/2015_data4.pdf)では、全国の地方議会が「3年間で制定した政策型議員提案条例の数」について尋ねました。すると回答があった議会のうち、「制定実績も提案したこともなし」と答えたところは68.9%にのぼり、「1件」が12.4%、2件以上は計5%未満しかありませんでした。「過去(3年以上前)に制定の実績がある」と答えた議会も1割にとどまっています(グラフ1)。

 議会事務局の強化・議会事務局改革も質問しています。こうした政策型議員提案条例や執行部からの議案チェック、対案づくりのサポートに欠かせないとみられる「法務担当職員を配置」している議会は6.9%しかありませんでした。

 最も多かったのは「事務局職員向けの研修会参加」(75.5%)で、次いで「他自治体の事務局と連携」(33.7%)。一方で、事務局自身が、「運営方針」(8.1%)、「行動指針」(3.2%)を設けているところはそれぞれ1割に届かず、自らの向上につながるような「事務局内で横断的な業務改善のための会議がある」(8.3%)、「事務局内で横断的に政策テーマの研究」(1.2%)、「事務局職員の育成マニュアル」(1.9%)もわずかでした。組織の機能強化につながる「長期配置を可能」(3.9%)、「事務局職員を増員」(3.5%)という議会事務局も非常に少ないです(グラフ2)。
外部とネットワーク広げること重要
 中村事務局長はこうした現状から、「議会が二元代表の機能を果たすには、いまは議会事務局の力は弱い」と指摘します。そこで提案するのが、AIの活用や外部との連携です。

 「費用も限られるのでたくさん雇えばいい、という話にもなりにくい。例えば、法律だったら弁護士や大学の研究者、議会図書室だったら図書館司書やデジタルベースの活用など、議会事務局は積極的に外部とのネットワークを広げていくことで、議会事務局の機能強化、執行部と張り合うためのサポート体制作りに貢献するのではないかと思う」と話しています。



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