<信毎WEBより>
身を切る改革がいつまでたっても実行できなければ県議会は県民の信頼を失う。
2019年春の次回県議選で定数を削減する選挙区を6月県会で決められないまま9月県会以降に結論を持ち越した。今定例会で方向性を出すはずだったのに各会派の意見がまとまらなかった。
総論賛成、各論反対の典型だ。
選挙区や定数の見直しを議論する選挙区等調査特別委員会を設置して1年たった。
「1票の格差」については前回15年県議選の2・201倍より縮小し、2倍程度を目指すことで昨年12月に合意。人口減を踏まえ現行58の総定数を1減の57にすることも今年2月に決めた。
ところが、いざ1減の選挙区を選ぶとなると、思惑が絡んで難航している。
1票の格差を2倍程度にすることを前提にすると、1減の候補は二つある。
一つが中野市・下高井郡区(定数2)と飯山市・下水内郡区(同1)を合区して定数2とする案。もう一つが飯田市(同3)と下伊那郡(同2)を合区して定数4とする案だ。
それぞれ▽市同士の合区は前例がない▽選挙区の面積が広大になる―という課題はあるものの、県民世論調査では定数1減の合意を7割が評価している。
決められないのは、候補選挙区に議員を抱える会派が身を切ることに慎重になっていることもあるようだ。
下伊那郡区を単独で残し、定数1に削減する案も飛び出した。
1票の格差2倍程度の合意に反し、2・592倍に広げることになる。「死に票」が多いことなどから減らすはずの1人区を新たにつくることにもなる。議論の土台を崩し、混乱をさらに広げる。
定数や選挙区の見直しは、周知期間が不足しているとの理由で2期連続で見送った経過がある。同じ轍(てつ)を踏んではならない。閉会中審査も行い、意見の集約を急ぐべきだ。
忘れてもらっては困るのは、前回選、前々回選で多くの議員が「議会改革」を掲げたことだ。定数や選挙区だけではなく、さらなる議員報酬の削減、通年議会の導入などの課題は手付かずのままだ。県民との約束が果たされたとは言い難い。
議会改革は進まない。大北森林組合の補助金不正受給事件で百条委員会の設置を求める陳情は1年近くたなざらし。これでは怠慢のそしりを免れない。
(7月19日)
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20170719/KT170718ETI090008000.php
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