秩父市議選(4月15日告示、同22日投開票)を控え、久喜邦康市長が自身のフェイスブック(FB)で現行定数22の削減を求める投稿を重ねたのに対し、反対・慎重派の市議が14日に記事の削除などを申し入れた。定数を2減する議員提出の条例案は3月定例会初日の今月21日に採決される予定だが、「場外乱闘」の様相を帯びている。
定数減の条例案は昨年12月定例会に議員提案され、継続審議になった。市議会は、2010年と14年に定数を4ずつ減らしており、反対派は「削減した検証ができておらず、提案は性急だ」と訴えている。
市の人口は約6万4000人で、一般議員の報酬や期末手当を合わせた年収は約580万円。賛成派は「秩父市は人口比の議員数が近隣市の中で最も多い」と主張し、同調する久喜市長も昨年12月中下旬、FBで4回にわたって人口規模と歳出削減を理由に「定数を減らしていただきたい」などと発信した。
これに対し、反対・慎重派の5市議は「二元代表制の一方の市長が他方の議会の基本である定数問題について、削減へ世論誘導するのは議会に対する不当な干渉」と反発する。
久喜市長は毎日新聞の取材に「FBはプライベートな場で私的な考えを述べた」と断ったうえで、「市長にも定数条例の提案権があり、議員だけが決めることではない。市民や市民代表の考えを表明していいと思っている」と説明し、削除などに応じない構えだ。
地方自治に詳しい新藤宗幸・千葉大名誉教授は「市長が定数について発言するのは地方自治の関係法令に抵触しないし、発言を規制する条項もない」と前置きして、「二元代表制とは首長と議会がそれぞれ別々に市民の代表機関であること。首長が議員提案の定数について論評するのは、二元代表制の理念をわきまえていない。定数はあくまで議会内部で議論すべき問題だ」と指摘する。【松山彦蔵】
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