<朝日新聞より>
知事と県内63市町村長が2017年に議会へ提出した議案5629件のうち、99・57%にあたる5605件が原案のまま認められ、修正や「否決」は21件にとどまったことが、朝日新聞さいたま総局と埼玉大学社会調査研究センターの共同調査でわかった。地方自治は首長と議員を別々に選ぶ二元代表制で、議会は首長の行政運営を監視する役割が求められる。チェック機能を果たしているのか、問われそうだ。
昨年、首長提出議案をすべて原案のまま可決したのは49議会。ある地方議員は「議決までに執行部とは議論している。原案可決でも問題ない」と話す。だが別の議員は「選挙では持ちつ持たれつでやっている。首長提案に『おかしい』と言うのは難しい」と漏らす。
首長提出議案を否決や、修正後に認めた割合がもっとも高かったのは北本市議会の4・84%。議案62件中、3件あった。同市の現王園(げんのうぞの)孝昭市長が、昨年の9月定例会に、市長の給料を6カ月間、10分の1減額する条例案を提出したが、一部市議から「自らを律するというのであれば、市長の職にある間を減給期間とすべきだ」と修正案が出され、可決された。
次に高いのは県議会。知事提出議案の否決はなかったが、6件が修正された。その一つが県の政策の基本指針となる「県5カ年計画」。自民党県議団が、計画案にあった「挑戦」という言葉を、「目標達成への強い意志を県民に示すべきだ」として「宣言」などに変える修正案を出した。
他会派の県議からは「本質に影響のない表現上の修正が多い」との批判も上がったが、最大会派の自民主導で可決された。
いずれも共通するのは、首長と議会の対立関係だ。北本市議会は昨年7月、市長選で掲げた政策の未達成などを理由に市長問責決議を可決。県議会も2015年の知事選で上田清司知事が自ら定めた多選自粛条例を破って4選を目指し立候補したことに自民が反発。牽制(けんせい)し合う状態が続く。
神川町議会は2年連続で一般会計当初予算案に物言いがついた。16年は否決、昨年は国道沿いに大型看板を設置する事業を「必要ない」と削除し、予算案を修正した上で可決した。町関係者は「町長のやることにいい思いをしていない議員もいるのでは」と話す。
越生町議会は昨年9月、新井雄啓町長が提案した「町平和都市宣言」の改正案を否決した。国連総会で核兵器禁止条約が採択されたことを受けて宣言文の題名を「非核平和都市宣言」に改めるものだった。ただ、「表示を変えるだけで実質的には変わりがない」と否決された。(有近隆史)
https://digital.asahi.com/articles/ASL2F004RL2DUTNB009.html?_requesturl=articles%2FASL2F004RL2DUTNB009.html&rm=486
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