富山市議会での政治活動費の不正使用問題で、地方議員が必要かとのアンケートが実施されているなど、地方議員自体の意義が問われる状況となっている。あらためて、議会や議会活動を考えてみた。
富山市議会のケースでは、今どきこんなことをまだやっているのかと正直なところ思った。武蔵野市議会では、10数年前までは領収書の提出が必要ない時期もあったが、適時改正され問題が起きないように政務活動費の使い方を変えてきている。
昨今では、号泣議員で世の関心が高まったこともあり改善した議会も多い。あれほど問題視されていたのだから、わが身を振り返ることは、どの議会でも行っていたと思っていたのに、今回のことが起きてしまったからだ。
真面目にやっている多くの地方議員も同じように、不正をしていると思われるのではないかと思えてならない。
今回の政務活動費の問題は、領収書を改ざんしたり、架空の領収書を作ったりなどは、そもそもで言えばモラルの問題だ。やっていること自体が信じられない内容で、やってはダメだと思わないことに問題の根源がある。
同じようなことは国会でも追及があり、白紙領収書でもらった議員が金額を書き込む手法は法的に問題がないとの答弁が飛び出してくるなど、領収書自体の意味も問い直す必要がありそうだ。
■改善策
武蔵野市議会の場合、記載されている金額や支出先が実際にあっているかを確認できる物かの視点で考えられている。問い合わせ先の電話番号や担当者の印鑑が押されているなどの条件が必要で、例えば、電話で問合せると実存する団体か、金額は公表されている金額と同じかが調べられるかがポイントとなっている。
他の議会では、研修会に参加した場合には、その研修会のチラシが必要な議会もあるなど再検証ができるか、否かがポイントだ。
再検証できない金額であれば、改ざんができることになるからだ。チラシでなくとも、ネットで公表されていれば、それで十分再検証はできるだろう。
また、数は少ないものの政務活動費を先払いするのではなく、領収書と報告書を提出した後に後払いする制度も有効だろう(東京新聞2016年10月6日 夕刊「政活費「後払い制」に注目 富山市議会不正受給受け」)。
先払いされてしまうと、あとから返金するのがもったいなくなり、いろいろと都合をつけて(あるいは改ざんして)使ったように装ってしまうことが考えられるからだ。
■一番の薬
とはいえ、冒頭にも書いたように最終的には議員のモラルの問題だ。ここを改善しないと、あれやこれや抜け道を探し、また見つかってのイタチゴッコになってしまう。そのためにはどうすべきか。
一番の薬は、有権者が常に議員の活動に関心を持っていることだろう。4年に一度投票しても、その活動に無関心な人は多い。当選した後にどのように活動しているか、時間が許せば議会での質問を見ることで、どのように活動しているか。議員としての資質も含めて分ることが多いからだ。
そこまで時間がないのであれば、ネットなどで議員がどのような情報を発信しているかを見ることだ。それも、複数の議員の情報を見ることが重要になる。議員の自己都合の良い情報だけを発信している可能性があることや一方的な解釈だけの場合もあるので、複数の情報から判断したほうが本質は分りやすいからだ。
そのうえで、分らないことがあれば、電話やメール、手紙でもかまわないので議員に直接コンタクトを取ることで議員の考えや活動が分ってくる。その場合に注意していただき来たいのは、私の意見に従え、なぜ反対するかと詰問することだ。実際に一方的な意見を言いたいだけのこともあるので、このあたりは"作法"として有権者の方にはお願いしたい。
話はそれたが、議員の日々の活動を知ってもらうためには、まずは議員からの情報発信が重要になる。ネットだけではなく、その手法には個性があっていいと思うが、まずは知ってもらうことから始まる。
しかし、複数の議員から意見を聞くのは手間がかかることが課題になる。であるなら、議会が自ら報告をして、意見を聞く場、「議会報告会」を主催することも求められてくる。
議会での議論も分りやすいようにすること。論点、争点が明らかになり、どのような調査をしてどのような理由で結論(賛否)となったかを説明できる、分ってもらえるような議会になっているかも問われている。問題の本質は、政務活動費の改ざんではなく、議会、議員がどのような活動をしているか、なのだ。
■議会、議員の仕事
議員の仕事は、数多くの宴席や行事に顔を出し、お金を払って支援を広げることではないだろう。これをやり続けるとお金が足りなくなり、政務活動費を使いたくなるに違いない。
顔を出すことを否定はしないが、税額を決め支出先を決めるのが議会、議員本来の仕事だ。そのために議会ができた経緯もある。議会は、何百億円もの税金の使い道を決め、税額も決めている。であるなら、議会での議論のために政務活動費を使い調査研究をしている、そのために必要不可欠な費用だと有権者に理解してもらえる努力が必要だ。
つまり、議会活動をしっかりしていくこと、政務活動費の重要性を議員も有権者も理解していくことで不正がなくなっていく。そうしなくてはならないのが、今回の問題だ。議会改革ができているかが、政務活動費の使途に密接に結びつくからだ。
多くの議会では、議会基本条例などを制定し上記の改革を行ってきている。今回の問題を契機に、さらに多くの議員が襟をただし、議会を改革することも求められている。そうとしか改善策が思い浮かばないのが今回の問題だ。
今回の政務活動費の問題を受けて、読売テレビ(日本テレビ系)の「ウェークアップ」から取材を受けた。8日の朝に放送予定。他に事件が起きれば放送はどうなるか分りませんし、どのような扱いになるか分りませんが、お時間あればご覧ください。
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