熊本勉強会・被災地視察
〜災害時における議会の役割と、自助・共助・公助を学ぶ〜
熊本地震で甚大な被害を受けた被災地の現場を訪ね、「熊本の現状」を知り「熊本にできること」をみんなで考え、議論する場。
大西一史熊本市長の「熊本地震から、自助・共助・公助のありかたを考える」講演からは、改めて熊本地震の被災について知ると共に、教訓として、全国の自治体・議会がどうやって災害に対応し、防災・減災に取り組むのか改めて考えさせられます。
全国の地方議員も大勢集まっており、熊本応援という意味でもできることをしていきたいと思います。
勉強会の内容について、特に大西市長のお話は大変貴重でしたので、メモをもとに紹介します。
☆北川先生のお話
まずは、早稲田大学マニフェスト研究所顧問の北川正恭教授からの挨拶。
災害時における自治のありかたと議員の役割についてのお話でした。
法律や条例に基づき執行するのが執行部や首長で真の改革はできない。
議会こそが改革をすべきだ。昨今の問題で今以上に議会が活動しないと不要と言われる。
今こそ、議員がしっかりと活動し、改革に取り組んでいくべきだ。
☆熊本市 大西市長のお話
水やお湯がなく、3週間くらいお風呂に入れなかった。
市民の生命、財産を守ることをマニフェストに掲げており、全力で取り組んでいたが、尊い人命や財産が失われた。
私が経験したことを全国の自治体議員の方にぜひ持ち帰って欲しい。
■地震の概要
震度7の地震が立て続けに2回発生(観測市場初)
一連の地震で震度6弱の地震が7回発生
余震の発生回数 累計は4000回を超えた。
執務室は旧貴賓室で、天井にシャンデリアがついていた。
常に激しい揺れで落ちて破片が刺さったら死ぬと思ったので、激しい揺れの中職員と一緒に早めに外した。
災害対策にあたる部屋が、危機管理に適しているか、他の自治体も考える必要がある。
■被災状況
宇土櫓続櫓崩壊、飯田丸五階櫓の崩壊。
石垣が崩壊し、観光客が下敷きになったら、、、救出難しい。
熊本城はバリアだらけ。
文化財の震災対策について、事前に考えておくことが課題である。
■被災状況
●住宅
全壊 5508
大規模半壊 8474
半壊 31225
一部損壊 61215
四段階のレベルが違う。判定には時間を要する。
全国の自治体から派遣されたが、まだ調査は続いている。
■被害額
1兆6362億9千万円
ほぼ住宅被害
■避難者・避難所数の推移
最大避難所数 267箇所
最大避難者数 110,750人
全避難所閉鎖 9月25日
ありとあらゆる公園や広場に市民が避難。
屋内にいると怖い。
怖いから外に逃げ、車に避難。どの地域でも車中泊になるのではないか。
学校が再開されると、復興に向かうための大きな節目。発災から1週間。
学校が再開すると、子供たちはダメージを受けているが、お友達と遊びたいという気持ちで元気になる。
子供たちの元気な声が聞こえると、大人も元気になる。
被災者も、子供達がいるから場所をあけよう、協力し合うようになる。
追い出すようなことはしていないが、市民が協力してくれた。
■進みゆく、復興
・ロアッソ熊本ホームゲーム開催 7月3日
震災から気分転換して頑張るぞ、と元気を出す効果になる。
・火の国まつり 8月6日
実行委員会から声が上がってやることになった。色々何事だとの声もあったが、
復興に向けて元気になるためには大事、やろうということになった。
規模縮小したら、と大西市長は言ったが、おてもやん総踊りには13万人参加。
益城町からも参加者し、たくさんの方が集まった。
色々あったがやって良かった。
震災後に祭りをやることで、人々は元気になる。
■熊本市震災復興計画
大西市長が昨年度マニフェストに基づいた第7次総合計画を生かして震災復興計画を策定し、議決。
5つのプロジェクトがある。
1 ひとりひとりの暮らしを支えるプロジェクト
2 熊本市民病院再生プロジェクト
→移転して再生。
3 熊本城の復旧
→石垣を作るだけで相当かかる。20年くらい。天守閣は三年で直したい。
4 新たな熊本の経済成長を牽引するプロジェクト
→熊本城ホール
5 震災の記憶を次世代につなぐ
→JR九州が駅ビル、マンションをつくる。
再開発があることで、街の再興引っ張っていく。
日仏自治体交流会議。
イベントの予定があると、それを目標に頑張る。
元に戻す、もとよりいい状態にしていく、ということで団結する。
今回の熊本地震に関する課題も大西市長からお話がありました。
■災害に対する危機意識の低さ
水の備蓄 34.2パーセントが日頃からしていた。63.3パーセントがしていなかった。
自助 行政の支援が届くまで最低3日分の食糧の備蓄。
全国の自治体の首長にメールや電話をしまくった。
支援物資の準備するために自治体もある程度時間かかる
■迅速な情報の発信
61.5%がTV、携帯やインターネット48.6 ラジオ 17.5%
圧倒的にインターネット。避難所では携帯キャリアが充電機を配備。
充電できる状況やwifiが必要。
新聞各社に避難所に新聞を配布するように市長から依頼。紙メディアは大事で、新聞紙も活用できる。
市長自ら、SNSの情報発信を続け、支援物資の呼びかけや避難情報の提供などを行った。
トップの情報発信は役に立つ。
■防災時の地域のつながり
自主防災クラブを知らない市民が76.4%。課題である。
■指定避難所の認知度の低さ
知っていた 60%、知らなかった37.2%
知らなかった 18-34歳は54.8%
若い世代の避難所の認知度向上のため、ホームページや携帯メールによる情報提供を積極的に進め、これらの世代を取り込む仕組みが必要。
11万人が避難。
■指定避難所以外に避難した方への対応
指定避難所34.1%
指定以外 36.6%
車中泊
■市民による避難所運営
全く関わらなかった市民が半数。
共助になると、受け身になる市民が多い。
避難所運営マニュアルが課題。
■災害に対する危機管理意識の変化
■全国からの支援の輪が広がる。
全国からトラックが押し寄せる。夜中に運転手さんが多数。
全国からの支援体制のあり方
■地域や校区で支え合い、助け合い
地域にいる地震体験、教訓の継承
避難所運営ゲーム 体験イベントを開催
■九州市長会 防災部会の設置
プッシュ型支援、自己解決型支援が重要。
地震振り返ると、多くの人命や財産が失われ、責任を感じている。
一方で、人々が優しくなり、みんなで挨拶をしあうようになるようになった。
「これまで以上に元気を出して生きることが、心の傷跡を癒し、熊本を発展させる。復旧を遂げた熊本の街の姿を、魂となった方々に、皆様と共に報告したい。」
(慰霊祭での市民の言葉)
熊本市の大西市長からは、 復興に向けて大変ご苦労をされている中で、熊本地震の発災からの被災状況、復興に取り組む姿や思いなど大変貴重なお話をいただきました。
全国の自治体の防災対策にもつながるお話でしたので、江東区政に生かしたいと思います。
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