<政治山より>
2016年12月「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」いわゆるIR推進法が成立し、今年4月27日にはIR実施法案と呼ばれる「特定複合観光施設区域整備法案」が閣議決定されました。
IR実施法案はその目的を「観光及び地域経済の振興」と「財政の改善」と定めており、カジノ開設によるギャンブル依存症の増加・拡大を懸念する議員や関連団体は危機感を強めています。
自国民の利用を厳しく制限、韓国視察報告
そんな中、超党派の地方議員からなる「ギャンブル依存症対策地方議員連盟」(代表 岡高志大田区議会議員)は8日、東京・永田町で「IR整備法案、このままで本当に大丈夫ですか?韓国視察報告会」を開催しました。4月11日から13日にかけてカジノやIRの整備が進んでいる韓国を視察したのは、岡代表、川名雄児 武蔵野市議、小林伸行 横須賀市議、鈴木綾子 江東区議、田中優子 世田谷区議ら7人の地方議員。
韓国ではギャンブル業界への規制や監視は厳しく、ギャンブル業界の産業規模を対GDP比で総量規制するとともに、15カ所あるカジノのうち自国民が利用できるのは1カ所のみとするなど、自国民の利用に神経をとがらせています。
収益の一部をギャンブル依存症対策に充てる
また、ギャンブル問題の予防や啓発、相談や回復サポートを行っているKCGP(Korea Center on Gambling Problems)は、ギャンブル事業者から業務粗利益の0.5%の拠出を受けており、ギャンブル事業者の依存症に対する責任を明確にしています。そのKCGPが発表している「賭博種別ごとの依存症者の状況」によると、カジノは他の賭博と比べて依存症者が多いこと、そしてオンラインギャンブルが圧倒的多数を占めていることがうかがえます。
今般閣議決定されたわが国のIR実施法案では、国や自治体の収益をギャンブル依存症対策に充てることが想定されていないのではないかと危惧する岡代表は、昨年の特別国会から継続審議となっている「ギャンブル等依存症対策基本法案」が定める「ギャンブル」にオンラインカジノが含まれていない点を問題視し、スマホゲームも含めたオンラインゲームやカジノへの依存の実態調査の重要性を説きました。
ギャンブル依存症から経済的困窮に追い込まれる人が増え、治安が悪化したり生活保護等の負担が増せば、「財政の改善」どころか自治体の経営を揺るがすことにもなりかねません。法案審議は国会で行われますが、現場となる地方自治体でも議論を深める必要があるのではないでしょうか。
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