松山市議選が投開票され、現職36、新人7の新議員43人が決まった。20代、30代の若手新人が上位当選し、地縁、血縁頼みとされてきた市議選でも、若年層や無党派層の獲得を中心とした都市型選挙へ移行が進んでいると印象づけた。
一方、投票率は43.87%と戦後最低を更新。本来なら市民に最も身近な存在である市議を選ぶ重要な選挙にもかかわらず、3回連続で50%を下回った。投票日が3連休の中日であった影響もあろうが、正副議長人事を巡り毎年のように繰り返される混乱が、有権者からの信頼や関心を損なった結果であることは間違いない。新議員は、生活に身近な行政をチェックし、政策の優先順位を判断するという地方議員の本分を胸に刻み、任期を務めなければならない。
今回は、投票年齢が18歳以上に引き下げられてから初の市議選で、多くの新人が出馬する激戦でもあったが、終始盛り上がりを欠いた。
市民の市政への関心低下は危機的状況にあると言える。しかし、正副議長人事であれほどの醜態を見せられては、それも仕方ないだろう。野志克仁市長の市政与党の松山維新の会と、前回市長選で対立候補を支援した自民党、公明党などの各会派による駆け引きや多数派工作で長時間空転。2016年は日付が変わった午前2時23分、17年も午後11時58分に閉会した。どんな理由があろうとも市民不在の政争としか映らない。議会としてあるべき姿なのか、自ら問い直すべきだ。
昨年の議長選の後、正副議長の申し合わせ任期を協議。従来の慣例1年を改め、今回の改選以降、議長2年とした。リーダーシップ発揮や円滑な選出のための前進と言えるが、地方自治法では議員任期と同じ4年とされており、議長就任の機会を少しでも確保する目的との疑念が残る。よもや毎年の混乱が、2年に1回となるだけの改革でないことを信じたい。
主要な争点はなかったと言われた選挙であるが、市政には重要課題が山積する。1994年の大渇水から根本的な解決がないままの水問題。まちづくりでは松山市中心部に脚光が集まる一方で、島しょ部や山間部の過疎化は著しく進行している。生活保護費などの民生費は依然高水準で、財政の硬直化も懸念されている。市議は、市民の声を聞く存在として、積極的に地域に足を運び、打開策を探らねばならない。議員同士活発に意見を出し合い、解決に取り組んでもらいたい。
松山市議会は、議会基本条例を制定し、市民に議案審査の経緯などを説明する報告会を開催するなど、議会改革も進めている。また政策立案能力向上のため、条例提案にも取り組んでいる。こうした地に足のついた取り組みを新議会でも積み重ねなければならない。当選を、市民からの信頼を取り戻す4年間の始まりとしてほしい。
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