2014年7月26日土曜日

議会改革「運動論」

<会津若松市議のブログより>

「政治山」という政治情報のポータルサイトがある。
そこから、コラム(主に地方議員が執筆)の依頼が来て、以下のような文を書いた。

タイトル ~  議会改革「運動論」
本文  ~以下
会津という地名は、民謡の「会津磐梯山」や1864年の戊辰戦争における「会津白虎隊」で、福島県より全国的に有名だった。この会津の中心都市が会津若松市であり、昨年のNHK大河ドラマ「八重の桜」の舞台にもなった。
さて、会津若松市議会だが、早稲田大学マニフェスト研究会や日本経済新聞の議会改革度調査で毎回上位にランキングされる。こうして、議会改革がすすむと視察に来られる議会が増えたり、あちこちから講師で呼ばれたりして全国に知り合いができ、さまざまな議会事情が分かってくる。
私も、年間20回以上は視察に対応するが、最近の傾向は、市民対話集会の意見をどのように政策形成するのか、議員間の自由討議のやり方とその成果、予算決算審議をどう政策サイクル化しているのかなど、議会改革をどう成果に結びつけていくかの具体的課題を持って視察に来られる議会が目立ってきた。
会津若松議会基本条例作成は、検討委員会に議員の他に市民委員と学識経験者が加わり論議した。そこで集約されたのは、議会は多様な市民意見を背景とした議員が集まる合議体である。従って、良く市民意見を聴きながらそれを背景とした議員同士の議論が必要。出された結果については議決責任=自分の言葉での説明責任がある。など条文化された。
この基本条例を有効に回す主要な3ツールは、①市民との意見交換会(問題発見の場=政策形成の起点)②広報広聴委員会(意見交換会の運営、問題の整理)③政策討論会(テーマの設定とその解決のための政策形成)である。この3つが機能しなければ成果に結びつくことは難しい。さらに、予算決算常任委員会化に向けて、同時に決算と予算の政策サイクルを研究した。多くの先進議会を調査し試行し独自のものを作った。
また、政策委員会がテーマごとに学識経験者を招き研究している。それは、地方分権という自立と自律が求められる時代、住民の付託に応え住民自治の実現のために議会がその責任と役割を発揮するためである。

東京都議会のヤジ問題、兵庫県議会における政務調査費の不正問題など、残念だがこういう体質の議会は、まだ1700余ある地方議会の半分以上あるのではと推定される。
どこの議会にも、従来の「悪弊」を何とかしなくてはという問題意識をもった議員はいると思うが、「孤高の人」になってはいけないと強く思う。議会運営はその議会の慣習というのが多いので、そこの「長老議員」が言っても絶対ではない。その都度、関係法や議会規則を勉強し(時によっては、全国議長会事務局に問合せ)理論武装しながら、他会派も含め“同憂の士”を固めることだと思う。決して自分一人ではない。
「運動」が上手くいくか否かは、2割(先進層):6割(中間層):2割(無関心層)と色分けすると、6割の中間層をどちらの2割が引っ張るかで決まる、というのが私の考える運動論だ。先進層のベクトルを合わせ固め、あとは中間層をどう取り込むかの“仕掛け方”だ。これで、改革が進んだ議会がいくつか出てきて、議会改革度ランキングでも大きく躍進した。

最後に少し余談を。
議会の招集権は首長にあるが、執行部が議場にいるのは“説明員”としてである。それなのに、議長、副具超選挙にも、臨時会で提案とは直接関係ない部局の長も全員議場に参集する議会が多いのには驚く。議員と執行部側が全員揃うのが議会、という固定観念があるからだろう。説明の必要のない当局者を“はべら”しておくと同じで、税金の無駄使いの最たるものだろう。(議会改革度ランキング調査も、こんな初歩的なことも聞いて啓発する必要があるのではと、思う)
またある議会では、議長選挙の時に所信を書いたペーパーを配布しようとしたら、そんな前例はなく配布したら「怪文書」扱いにするとされ、断念したところもあったと聞く。怪文書というのは、出所不明の特定の相手攻撃が目的であって、用語として正しくない。また、日本国憲法で保障されている「表現の自由」は当然の権利である。その議会の前例は、日本国憲法の上位法とでもいうのだろうか。

少し考えれば、おかしいことがまかり通っている日本の地方議会の現状もある。
「地方自治は民主主義の学校」という言い方もあるそうだが、この実現のため、われわれ地方議員の役割は大きい。
議会改革で知り合った、全国の多くの気づき始めた仲間とこれからも頑張っていきたい。

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