2018年12月25日火曜日

上富田町の日曜議会/議会改革のきっかけに

<紀伊民報より>

上富田町議会は9日、初めての日曜議会を開いた。一般質問に8議員が登壇し、防災や教育の充実、産業の振興などまちづくりの課題を町に聞いた。
 開会した午前9時半には傍聴席が満席になり、別室のテレビで傍聴する人も出るほど関心が高く計77人が傍聴した。議員と町当局のやりとりには緊張感があり、傍聴した人からは「知らないことがよく分かった」「また日曜に開いてほしい」などの声が出ていた。
 「休日議会」は、議会の傍聴者を増やし、議員活動に関心を持ってもらうため、県内では紀の川市が6月に開催。傍聴者へのアンケートでは継続を希望する声が多かったという。
 一方、過去に開いた経験のある御坊市では傍聴人が少なく、職員の手当などの費用もかかるため現在は中断している。
 上富田町では今回、平日に議会を傍聴できない住民の関心がどれだけあるかを確かめ、議会や町政を身近に感じてもらうためのテストを兼ねて取り組んだ。今後も続けるかどうかは未定だが、大石哲雄議長は「開かれた議会に向けて手応えはあった」と話した。
 同町では今年4月に町議選があり、定数は12。そのうち6人が4月の町議選で初当選している。日曜議会は、投票した有権者に自分たちの活躍を知ってもらういい機会になったのではないか。
 議会は、予算を執行する行政と十分な議論を交わしながら政策をチェックし、最終決定する機関である。議員は住民の代表であり、住民の声に耳を傾け、行政に反映させる役割も担っている。
 しかし近年、全国の地方議会で政務活動費の不正受給が相次いで発覚しており、使途の公開状況も自治体によって異なる事態が相次いでいる。住民の政治に対する関心や議会への期待が年々低くなっている状況もある。上富田町でも4月にあった町議選の投票率は63・61%と、過去最低を更新している。
 そうした状況に一石を投じるのが議会改革。中でも定例会の休日・夜間開催は、各自治体に共通する課題である。限られた予算を適切に使って地域の課題解消につなげ、議会の機能強化や活性化に取り組むためには、本気で開催を研究する価値があるはずだ。
 早稲田大学マニフェスト研究所の「議会改革度調査」では、北海道芽室町議会が2017年度まで4年連続で1位となった。「徹底した情報公開」が評価されたという。例えば、町議会の会期は1年。必要に応じて本会議を開催できる「通年議会」を取り入れ、委員会を年に30〜40回開催。即座に会議録を公開し、各種媒体でも議会の情報を公開しているという。
 しかし県内では橋本市議会の110位が最高で、2位以下はトップ300にも入っていない。これで住民の声が十分に反映されるのか。上富田町の日曜議会をきっかけに各自治体が改革を進め、議会と行政、住民の距離がより縮まることを期待したい。 (H)


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