6月22日、福岡市議会6月定例会の開会に合わせてスタートした新企画「地方議会『見える化』計画」には、最終日の30日まで多くの反響が寄せられた。
メーン記事「議場から街へ」。教職員が敷地内禁煙の学校前で喫煙する問題を取り上げた記事はニュースサイトに転載され、非難や同情の書き込みが3千件を超えた。地方議会への不満を反映する声が目立つ一方で、奮起を促す激励も少なくなかった。「議会が身近に感じられる。議員への刺激にもなりそうだ」との声もいただいた。
本会議や委員会を傍聴した7人の学生に「私の傍聴日記」も書いてもらった。傍聴は初めての学生がほとんど。彼らが議場で感じた素朴な疑問は、新たな気付きを与えてくれた。
ある学生に尋ねられた。「議場で発言するのは議案に反対の議員ばかり。賛成の与党議員はなぜ発言しないのか」。議会改革のヒントになる指摘だと思った。
市長が議会に提案する議案は、議会開会前に与党会派への「勉強会」という形で、丁寧な事前説明がされる。与党議員は疑問や異論があれば、修正を求めるのが慣習だ。議場や委員会で質問する必要はなく、与党議員の多くは沈黙を守る。
大過なく議会をこなしたい市側に都合がよくても、傍聴した市民には政策決定の過程が「見える化」されていない。傍聴する気にならないのも当然だろう。
開かれた議会へ一歩踏み出すには、改善点は多い。改選前の4年間、計100件を超す市民からの請願のほとんどに賛否を示さず、「たなざらし」にしていた問題がある。常任委員会の採決時に傍聴人を閉め出す慣習も残っている。
議会にも危機感はある。学生コラムを読んだ与党のベテランは「一生懸命やってるつもりだけど、若者からはそう見られてない。しっかり受け止めなければ」と話した。「議会も改革を通じ、市民に近づく。市民も議会に近づいてほしい」と小畠久弥議長は語った。
市議会は、議会改革を目指す検討組織を立ち上げるという。議会の「見える化」に向けた小さな改革の積み重ねが、住民との距離を近づける。取材班も橋渡しとなる情報発信を続けたい。(地方議会「見える化」計画取材班)
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