<三鷹市議のブログより>
地方議員にできることは何か?改めて考えてみますと、絶望的な現実を目の当たりにします。
まず、予算を編成できません。首長が予算を編成できます。予算は議案として議会に上程され、その予算で良いかどうか、賛否の手の上げ下げが全てと言っても言い過ぎではないでしょう。
政治家というものは、庄屋意識に満ちた人ですから、当然ながら地元の地域の住民の要望を議会の場で首長にお願いをするということになります。ここからも、首長をワントップ、すなわち唯一の権力者とした見事なまでのピラミッド構図が読み取れますね。議員は住民の要望を首長に届けるという次元では、権力者と納税者の中間に位置するわけです。まさに民主主義的観点の構造の賜物ですね。
議会で首長にお願いをする場は、本会議場での質問が多いでしょうね。「Aにつき、私はBを実施すべきと考えるが、首長の見解を問う」みたいな形が一般的でしょう。
さて、ここで改めて「質問」という文字を見てみましょう。「質」すなわち「ただす」わけです。お願いではないのです。平たく言えば、「この件はどうなってるんですか?」という、まさに「ただす」です。ここからは、ただす側とただされる側の力の均衡が読み取れますね。いわば自由主義的観点、力の均衡の構造です。
つまり、制度上のあるべき姿と、実際と異なっている現実があるのです。
議員には庄屋意識があります。「あれをつくったのは私だ!」というあれです。地方に行けば、なぜこんなところにこんな大きな道路があるの?という現実をよく目にしますよね。そういうのを見るたびに、私は政治家特有の庄屋意識に想いを馳せるのです。
この庄屋意識の昇華には、権力のワントップのピラミッド構造は実は親和的なのです。こういう要望が届いている、お館様なんとか!というわけです。下から吸い上げ、上にあげ、お裁きを施してもらうというわけです。どこかでみた時代劇となんだか似ていますね。
この流れだと、質問するとき、首長に理想の答弁を「求める」姿勢になるのは無理もないですね。「求める」答弁が権力者から返ってきたら、お館様に認めてもらえた!となるわけで、その政治家の評価は格段に上がります。
しかし、改めて考えてみますと、制度上はやはり「ただす」なわけで、諸問題につき行政側の考えを聞くというのが本来あるべき姿です。理想とする答弁を「求めたら」もらえた、お願いしていた事項が予算化されたなどなど、議員さんによって様々でしょうが、有権者の皆さんは是非一度、議会質問とは何か?について考えてみる機会を持っていただきたいと思います。
庄屋意識の当然の帰結として、政治家の実績を問う声がよく聞こえてきます。以上述べたように、実績とは、質問したことが増額にしろ減額にしろ予算化されたかとなるのでしょうが、権力のワントップ構造を考えるとき、地方議員レベルで実績と言えるものは何があるんだろうか?と近時の私は考えるようになってきました。
予算編成というのは大変なことです。この小さな三鷹市でさえ、約1000億円の予算が審議されるのです。要望した事実が予算化されたらそれで良し、予算議案が上程されたら賛成するというのは無理もない話です。予算編成権が議会側にあったら、と考えたくもなりますが、行政国家現象といわれて久しい現在では、非現実的と言わざるを得ません。
政治家特有の庄屋意識につき、時間があれば日本史を勉強しながら、政治意識論とでもいいましょうか、そういうものに手をつけたいと考えているところです。現状では、政治家に実績を求める声は確かにあり、制度上は力の均衡を示してはいるものの実際は権力ワントップ構造に親和的になっていること、また予算編成権を議会側に移すのは質量ともに限界があることなどを合わせ考慮しますと、いずれにせよ限界があることはまちがいないようです。
私個人としては、地方議員という制度はもう必要ないのではないか?とすら思い始めています。そもそも、住民要望と言っても、権力者側の窓口をきちんとしていれば良い話です。入り口の問題ですね。議員を介在させることなく予算化につなげることは現実に考えられます。その代わり、いわば地方行政監査士とでもいえばいいのでしょうか、監査専門の人たちで行政を監視する方が、より現実的だろうとすら思います。
しかし、いうまでもなく、このことが実施されたと仮定すると、では民主主義的観点はどうなっとるんだ?となりかねません。難しい問題ですね。
まとめに入りますが、地方議員がする「質問」とは本来は「ただす」ものであり、権力者に理想の答弁を求めるというものではないのです。お気に入りの議員さんの質問を目にする機会があれば、ぜひ一度じっくりとご覧になってください。質問に対し首長が認める姿勢を出したとします。当然あなたは喜ぶでしょう。
しかし、同時に気づいてください。
権力者に認めてもらえたことを喜ぶとは、いったいどういうことなのか?ということを。
http://ameblo.jp/handanobuaki/entry-12089157858.html
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