議員活動は何か、その活動に相応しい報酬はいくらか? とかく、不用、高すぎると批判されがちな自治体議員の活動と報酬について考えることが、議会の意義について再考する良いきっかけになりそうだ。
4月26日に北海道帯広市で『地方議会研修会 in 北海道・十勝「十勝発の議会活動を展望する」』(主催:ローカルマニフェスト推進地方議員連盟)が開催された。
満員となった会場では、議会の本来の意義、議員の活動の意味について議会改革を進めている十勝地方の議会、吉田敏男北海道十勝町村議会議長会会長(足寄町議会議長)、田村寛邦浦幌町議会議長、広瀬重雄芽室町議会議長、埴渕賢治鹿追町議会議長、堀田成郎広尾町議会議長などから報告があり、進行役の川上文浩岐阜県可児市議会議長、コメンテーターの北川正恭早稲田大学名誉教授からの意見なども交えながら、議会の意義について会場参加者との議論が行われた。
これだけ多くの議会、それも議長から報告を聞ける機会はほとんどない貴重な機会と考え参加した。
■理論的に報酬を考える
十勝町村議会からは、平成29年2月にまとめられた『議員報酬(月額)「十勝標準」の試算について』の報告が行われた。
報告は、議会を改革し活性化を行っているが議員のなり手不足に危機感をいだき、その原因は議員報酬の低さではないか。削減ありきで検討が進められることが多いことから、理論的に考え、客観的な指標で調査した結果だ。
概要は、A.本会議・委員会等の議会活動。B.協議調整の場の議会活動。C.その他議会活動(意見交換会・研修会等)。D.議員個人としての日常活動の4つに大別し(図参照)、それぞれの年間活動時間を計算。その結果、年間で100日が議員としての活動になる(議長は137日)が、活動時間以外にも拘束時間があり、個別の相談に応じることや地域を歩いて状況を確認するなど、「毎日何らかの形で議員活動を行っているのが、多くの議員の実感であり、実態である」(報告書より)として、十勝地方の町村議員の平均報酬を月額18万6000円から十勝標準として22万2000円に上げるべきではないかとしている。
満員となった会場では、議会の本来の意義、議員の活動の意味について議会改革を進めている十勝地方の議会、吉田敏男北海道十勝町村議会議長会会長(足寄町議会議長)、田村寛邦浦幌町議会議長、広瀬重雄芽室町議会議長、埴渕賢治鹿追町議会議長、堀田成郎広尾町議会議長などから報告があり、進行役の川上文浩岐阜県可児市議会議長、コメンテーターの北川正恭早稲田大学名誉教授からの意見なども交えながら、議会の意義について会場参加者との議論が行われた。
これだけ多くの議会、それも議長から報告を聞ける機会はほとんどない貴重な機会と考え参加した。
■理論的に報酬を考える
十勝町村議会からは、平成29年2月にまとめられた『議員報酬(月額)「十勝標準」の試算について』の報告が行われた。
報告は、議会を改革し活性化を行っているが議員のなり手不足に危機感をいだき、その原因は議員報酬の低さではないか。削減ありきで検討が進められることが多いことから、理論的に考え、客観的な指標で調査した結果だ。
概要は、A.本会議・委員会等の議会活動。B.協議調整の場の議会活動。C.その他議会活動(意見交換会・研修会等)。D.議員個人としての日常活動の4つに大別し(図参照)、それぞれの年間活動時間を計算。その結果、年間で100日が議員としての活動になる(議長は137日)が、活動時間以外にも拘束時間があり、個別の相談に応じることや地域を歩いて状況を確認するなど、「毎日何らかの形で議員活動を行っているのが、多くの議員の実感であり、実態である」(報告書より)として、十勝地方の町村議員の平均報酬を月額18万6000円から十勝標準として22万2000円に上げるべきではないかとしている。
ただし、あくまでも「議員報酬の議論を進める際の材料」というものでこの額にすることは求めていない。住民がどれだけ納得できるか。そのために議会、議員の活動が理解されることが必要と報告されていた。
■住民から遠い議会
他の議会からも、議員が住民から遠い。議員と話す場がないなどの意見が住民アンケートで明らかになったことから、議会、議員としての改善策を話し合い、本会議の内容について反省会を行うことや喫茶店のような雰囲気にした意見交換会を行うこと。議員評価を議員自ら行うこと。住民福祉の向上のために議会活動を行うことの再認識と政策を議会としてつくる議会改革を始めている。
それでも議員のなり手不足は深刻で、その原因には政治への無関心があることから議会側から積極的な情報提供が今後は必要。そのうえで、議員を選ぶのは住民であることから住民自治のあり方、今回の報酬のあり方を含めて住民に考えもらえるようなきっかけを作っていきたいなどの意見も示されていた。
■自由討議と質問の精査
政策をどのように作っていくかについては、可児市議会の事例も報告された。
概要は、説明責任であり政策形成過程が明確になるために議員間討議が重要になる。だたし、議員間討議は対話であってディベートではない。相手の立場も考えながら住民のために最善を議員全員で考えていくことが重要で全会一致になることが議会としての力になり、そのためには粘り強さも必要になる。
また、予算や決算の質問は事前通告制にした。これは、電話で聞けるような質問をさせないためで、質問作成には4週間ほどかかってしまうが議論を深めるためには必要との事例も紹介されていた。
さらに、議会改革は第二ステージになっている。議会基本条例のあるなしにかかわらず、どのように議会が政策に着手するかが問われている。執行部は、決められたことを執行する機関であって、決めるのは議会であることを再認識すべきだ。よく首長に要望しますという議員がいるが、この機関の違いを分かっていない象徴だ。せめて提言にしておくべきだ、との指摘もあり、議会活動の意義、議員の意味を議員も住民も再認識することが必要との認識となっていた。
■都市部では
議員のなり手不足は、武蔵野市議会など都市部では問題とはなっていない。定数よりも10名以上も多くの立候補があり現職でも落選するなど激戦となっている自治体が多いからだ。
しかし、一方で住民の多様な意見を反映できるか、幅広く住民から意見を聞いているか(公聴)と問われると、議員個人では行っているだろうが、議会として公の情報として入手することは多くの議会で、できていないのではないだろうか。
十勝地方の議会は、町村が多く人口が少ないため住民と密接な関係がつくりやすいとも言える。それでもこのような報告があったことは、人口の多い都市部の議会では、より深刻に考えなくてはならない。
議会からの情報発信、公聴、そして、政策づくりとその過程を明らかにすること。議会基本条例の制定は今や条例に書き込むだけでなく、実態として行えるかが問われている
議会基本条例は、797議会で制定され全自治体の44.6%となっている(2017年7月現在/自治体議会改革フォーラム調べ)。武蔵野市議会でも議会基本条例の検討が進められているが、実態をどのようにしていくかも問われていると痛感した報告だった。
■チーム議会
そして、議会改革はチーム議会として活動することが必要。議会が変わればまちも変わるとの意見が出されていたが、このことはとても重要な意味を持っている。
とかく個人商店と揶揄されるのが議員だ。自分だけが目立てば良い。自分だけが正義と思い込むのではなく、議会全体として意思を決め、活動し住民福祉を向上させることが結果として議会が重要であり議員の報酬は適正にすべきとの住民意見につながると思えてならない。議会に大きな権限があるが、それは議員個人にあるのではなく議会としてある。議会がチームとして意思決定し活動するから権限がある。
議会として活動するという当たり前のことを再認識した研修会だった。各議会からの報告は、この点に集約されていたからだった。
十勝地方で議会改革を進めている先進議会からの報告は、多くの議会の参考になるに違いない。実り多い研修会だった。
【参考】議員報酬(月額)「十勝標準」の試算について (上士幌町議会のサイトより)
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