2015年6月23日火曜日

地方議員にできることは首長にお願いをすることだけ?

<三鷹市議のブログより>

何度かに分けて政治の現実について書いてきました。税を取る側と取られる側には大きな溝があり決して埋められないこと、いわば政治業の寡占化が待っていることなど、読まれていた方にはショックだったかもしれませんが、私なりの現場経験を積んだ感想を率直に書いてきたつもりです。

税を取られる側と別世界に住んでいる税を取り使う側…庄屋意識についても書きましたが、実際のところ地方議員に何ができるのか?権限の範囲を今回は考えてみましょう。今回からは、地方議会の現実という新連載となります。

まず、先に結論を書いておきましょう。

地方議員は、選挙の際に主張した政策を実現することはできません。

え?と半田を批判する前に、次の一言をみてください。

「地方議員にできることは、首長にお願いをすることだけである」

そんなバカな?とお怒りの方、ぐっと気持ちをこらえて、実際のところを見てみましょう。

まず、地方議会側に予算を編成する権限はありません。予算編成できるのは首長なのです。

首長は編成した予算案を議案として議会に提出します。地方議会はこれを審査します。審査した結果、この予算案に賛成か反対かを多数決で決めます。

政策実現にお金を伴うことは多いですね。もちろんお金を伴わない政策実現というのも考えられるわけですが、こういうのはあくまで例外ですね。基本は、予算を伴う政策の実現を議会独自に実現することはあり得ません。

予算を増額修正すればできるじゃないか!という反論は確かに考えられますね。しかし、この増額修正は、実は新たな項目を設定することはできないと解されているのです。首長が甲という政策を出してきた、それに1000万の予算がついたと仮定します。これを1200万に増額して修正可決というのはあり得ますが、ポイントなのはあくまで「修正」に過ぎないという点です。つまり、あくまでイニシアチブは首長にあるのです。

では、各議員が選挙の際に主張した政策は嘘だったのか?となります。ここで選挙公報をご覧ください。注意深く見ると、断定的に◯◯します!と言ってる方は実は少ないことに気づくでしょう。◯◯のまちづくりを!という「を型」で終わらせたり、◯◯を実現すべく努力しますという形だったり…

ここをもう少し分析してみましょう。地方議会では、年に4回の定例会を開くところがほとんどです。この定例会で議員は質問をするわけです。例えば、三鷹市議会の場合、「市政に関する一般質問」という形になります。

この場で、各議員思うところを首長側に様々提案するのです。ここのポイントは「提案」というところにあります。提案を受けた首長側は「検討します」とかそんな答弁をするのです。

もうお分かりですね。やはり地方議員は中継ぎ機能に代表される庄屋なのです。予算編成の権限を持つ首長にお願いするという構造なのです。

ここからわかることは、例えば住民からお願いされたことを、議員が議会の場で質問という形でお願いをし、首長がそれを取り入れて予算化したら、実はこれは見事なまでのピラミッド構造であるという現実です。


 

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