2015年12月14日月曜日

政治の常識は、世間の非常識【地方議会ニュース解説委員 山本洋一】

<ガジェット通信より>

■ 議員、第三の報酬≒費用弁償が大部分の地方議会で存続
全国47都道府県議会のうち、37議会で「費用弁償」が存続――。朝日新聞が4日の朝刊で、こんな驚くべき調査結果を紹介している。費用弁償とは議会出席にかかる経費を一律支給するもの。「第三の報酬」との批判も多いが、改善の動きは遅々として進んでいない。
費用弁償は、議員が本会議や委員会などに出席する際の交通費や宿泊費などを公費で支給する制度。「議員は、職務を行うため要する費用の弁償を受けることができる」という地方自治法の規定が根拠で、実費ではなく、出席日数に応じて1日あたりの一律支給金を支払うのが一般的だ。
例えば東京都議会では23区と島しょ部の議員が1日あたり1万円で、それ以外の地域の議員は1万2000円。23区内の議員であれば議会のある新宿に通うのに往復1000円もかからないから、残りの9000千円ちょっとは議員の懐に入っている。
あまりに高額なため「日本一高い交通費」とも揶揄される東京都議会の費用弁償。共産党などは今春、廃止条例を提出したが、自民会派などの反対で採決すらされなかった。
民間の企業であれば、領収書を提出して実費の支給を受けるか、もしくはPASMOなどの交通ICカードのチャージ代を受け取り、後から履歴明細を提出するというのが常識。領収書をなくせば自腹を余儀なくされるし、やむなくタクシーを使った場合には理由を書かせる企業も珍しくないだろう。
月に数万円から十数万円も支給し、余った額の返還どころか、領収書の提出も求めないというのは極めて非常識。しかも、民間企業と違ってお金の出どころが税金だから、なおさら問題である。
■ 交通費のみならず宿泊費も一律支給金
朝日新聞の調査では、全国の37議会で1日ごとの一律支給金を支給している。さらに21議会では宿泊費すら定額で支給しているという。このうち16議会では領収書や宿泊証明書の提出が必要なく、口頭での申告でいいというから開いた口が塞がらない。
http://www.asahi.com/articles/ASHCQ65WXHCQPIHB019.html
費用弁償を巡っては市民団体による返還訴訟を受け、千葉や神奈川など6議会が実費支給に変更。大阪では08年に廃止した。最近はあまり注目されなくなったが、その他の議会では見直しがほとんど進んでいなかったわけだ。横浜市のように、いったん廃止されたものの、こっそり復活させた議会もある。
それにしても、議員に良心はないのだろうか。いい年の大人が交通費の差額をポケットに入れるなど、恥ずかしくないのだろうか。本当に必要だというのなら、堂々と報酬や政務活動費として受け取ればいい。議員の良識が問われている。
(地方議会ニュース解説委員 山本洋一)
http://getnews.jp/archives/1295888

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