<月刊ガバナンス4月号より>
月刊ガバナンス4月号のトップを飾ったのは、前長野県飯綱町議会議長の「寺島渉」さんでした。インタビュー記事を抜粋してお届けします。
◆飯綱町議会が議会改革に取り組み始めたのは2008年1月、それまでの議会はいわば首長の追認機関だった。追認機関でいる間、議会は住民から信頼されない。そこで新しい地方議会像として3点を提起した。一つは、首長の追認機関から脱皮して監視・批判機能をきちんと発揮できる議会。二つ目は、政策に強い議会に生まれ変わっていくこと。そのことで議会は首長と善政競争ができる。三つ目は、住民参加型の議会にしていくこと。この三つを柱に飯綱町議会は10年間にわたって議員同士で議論しながら一丸となって改革に取り組んできた。
◆役場職員は前年度踏襲主義、予算消化主義の風潮が根強く残っている。職員のほとんどは人事異動で3から4年で部署を替わり、その間は前任者の仕事をなぞれば済む。職員も時代認識を持って、住民の生活実態や願い、要望に分け入って新しい地域政策をつくっていくべきだが、議会がちゃらんぽらんなことをやっていると職員も安住してしまう。
◆議員の意識を変える手法は二つあると思っている。一つは学習。あらゆる点で学び合える議会にしていく。人間は、学ぶ中で自分の認識を変えたり、他の人の意見で自分の考えを変えたりできる。この学び合いをいかに効率的に行うかがポイントになる。二つ目は議員間で率直に議論し合うこと。私は会議のときは必ず、全員に発言してもらった。全員の発言を聞いていると、テーマに対する認識、深まり具合がよく分かる。発言が終わったら論点整理をして、さらに議論を深める。このように学習をリードできる、議員間の自由討議をうまく議論できる議長や常任委員長がいれば、年配の議員の認識も変わらざるを得なくなる。
◆飯綱町議会では20数年前から、正副議長の立候補者は全員協議会で所信表明する。しかも質疑まで行う。4年前からは議長選でマニフェストを発表するようになった。水面下での多数派工作で議長を決める議会が多いが、オープンな場で所信表明をして質疑を堂々と行い、選挙で決めると、議長という職が、議員個人の出世欲を満たすようなものでなく、議長とはどうあるべきかが議論になる。私も議長選挙を4回経験したが、いずれも激しくやりあった。そういう意味では議長選挙から議会改革が始まる。
【月刊ガバナンス4月号】
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