<信毎WEBより>
15日告示の伊那市議選と中野市議選が無投票となった。町村に比べて人口が比較的多い市でも、なり手不足から議員の立候補者が現れない現状が浮き彫りになった。議員からは、有権者に議会の活動が見えにくく、議員を目指す人が出てこないのではないか―との指摘が出ている。選挙戦を経て有権者の信任を得ることができなかったことも踏まえ、当選者は首長側と向き合う姿勢などを明確にし、議員活動をしていく必要がある。
1954(昭和29)年に発足した旧伊那市を含めると、伊那市議選が無投票となったのは58(同33)年にあった補選以来。今回は立候補手続き説明会に22派が出席したが、新人1人が「健康上の問題で見送る」と出馬を断念した。
議長の黒河内浩氏は無投票の結果に「市民が『自分の意見を議員が代弁している』と思えるように議員、議会ともに存在感を示していく必要がある」と話す。「市民と議会の距離が遠い。市民にもっと必要とされる議会にしていかないといけない」とも。定数や議員報酬について議論する必要があるとの考えも示した。
なり手不足は深刻で、市北東部の手良地区では改選前まで1人いた地区在住の議員が引退。住民は告示前、市とのパイプ役がいなくなることに危機感を持ち、候補擁立に動いたが実現せず、地区在住の議員がゼロになった。
市によると、今月1日現在の手良地区の人口は市内9地区で2番目に少なく、高齢化率は市全体よりも高い。区の役員男性は「議員が担ってきた市とのパイプ役を、地区の区長会長や市の支所長、公民館長らで担わないといけない」と話した。
中野市議選も引退する議員の後継者が見つからないなどの事情があった。旧市時代を含めると、1998年の市議選(定数23)以来の無投票。合併による在任特例の任期満了に伴う初の選挙となった2006年には定数を22に、10年の選挙からは20とするなど、議会改革の一環で定数を減らしてきた。今回当選した議員の一部からは早くも「無投票では市民の理解は得られない」「さらなる定数減を検討するべきだ」などの声が出ている。
15日に市議選のポスターの掲示板を見ていた市内の自営業男性(46)は「選挙になっても関心は低いままだったのではないか」と話した。23人が立候補し選挙戦となった14年市議選の投票率は、補選を除き合併前の旧市時代を含めて過去最低の64・27%。男性は「地区の代表を選挙に出すといった慣習も若い人を議会から遠ざけている」とし、議会への関心が低いと議員のなり手は増えないとみる。
16年の前回市長選も無投票だった。市内の農業女性(70)は「環太平洋連携協定(TPP)の問題など、市の基幹産業である農業をどう振興していくのか、議論してほしかった」と残念がった。
(4月16日)
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20180416/KT180415ATI090026000.php
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