2018年4月14日土曜日

議会改革や条例づくりは、パフォーマンスではなく、住民のために

<武蔵野市議のブログより>

2月7日に開催されたローカルマニフェスト推進地方議員連盟主催の「地方創生時代の政策と議会のあり方を学ぶ in 岡山研修会」に参加してきた。

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 冒頭の基調講演では、北川正恭早稲田大学院名誉教授(元三重県知事)が、議員のためではなく、地域社会をよくすることが議会改革だ。地方議会が活性化すれば日本を活性化できる。国から成をやれと上から目線で言われるのではなく、地方からやらなければならない。執行部は決められたことを執行する機関。民意を反映する機関である議会こそが改革し活性化することで地方からの地方創成になる。課題は、そのことを理解している議員が多くないことだ、と議員の意識変革の重要性を説いた。
 
  続いて、議会改革の先進事例の報告があった。

■アンケートで実像を知る/公明党岡山市議団

 公明党岡山市議会議員団は、これまでに地方議員や地方自治体の政策コンテスト、マニフェスト大賞を3回受賞しているが、その内容は、会派で市民アンケートを実施、その回答を元に政策や政策提案をおこなっていることだ。

IMG_0925 アンケートは、無作為抽出で1万人を対象に実施、36%の回答率だったという。この結果から、岡山市の特徴が分かり、会派の8人で担当を分担して 政策リストを作成し議会活動に反映。同様の取組は他の会派でもおこなわれるようになり議会の活性化にもなったと話されていた。
 政務活動費を使ったアンケートだが、政令指定都市の議会で、月額13万5000円(武蔵野市議会は月額4万円)が使える前提があるとは思うが、このような手法は参考になる。自らの支援者からの話では、一定のバイアスがかかることやある程度の数がないと平均的なデータを取れないからだ。

 費用は別の課題としても、手間と時間をかけて調査し、分析したことで政策の重みが増し、執行部への説得材料となったのは確かだろう。どこかで聞いただけの話や自分で感じただけのことではなく、定量的なファクト(事実)を元に政策をつくることの重みを知った報告だった。

■条例づくりはパフォーマンスではなく時間と成果が重要/横浜市会自民党

 次に黒川勝横浜市会議員から、選挙時での会派マニフェストで8本の条例を策定することを示し、選挙後に実現につなげてきた横浜市会自民党のその後の活動について報告があった。
IMG_0924 横浜市会自民党のこの活動もマニフェスト大賞を受賞しており、議会改革に熱心な人は必ず知る事例となっている。条例は制定することが目的ではなく、条例によりどのように市民生活が変わるかが本来問われるので、その後についての報告は興味深く聞くことができた。

 黒川議員は、議員提出の条例は、執行部よりも迅速で組織の縦割りを超えて作成できる特徴がある。策定過程市民と意見交換を重ねれば、信頼関係も気づいていけるとした上で、やはり、制定後が重要と話されていた。条例制定はゴールではなく成果を出すことにある。そのため、マニフェストで示した条例を制定した後は、ブラッシュアップする作業をしており必要に応じて改正することを現在はしていると話されていた。

 会場から自民党が多数を持っているからできることか? との質問があったが、横浜自民は三分の一の勢力なので他との連携が必要になる。他の会派の参加を認めて自由参加のプロジェクトチームを作り、ヒアリングを重ねて成立を常にめざしている。がん撲滅推進条例のときは、議員の全員提案で成立し、それまでなかった予算が付くようになった。中身があり成立する、それも全議員が提案者になるような条例であれば、執行部も無視できなくなるとの話は参考になる。

 今では、執行部から次はどのような条例を考えているか聞かれるようになり、執行部も含めて条例をつくる、進めることができるようになった。条例制定はパフォーマンスではない。時間が必要とのコメントは、どの議会でも参考になることだ。

■小さくでも改革が必要/なり手不足の大川村議会

 報告者には、議会を廃止して住民総会を考えたことで全国的に有名になった高知県大川村議会から川上文人議会運営委員長も参加していた。
 議会改革の先進例とは経路が異なるように思えたが、話を聴いていくと根本は同じであることに気づかされた。それは、住民にとって議会は必要と思われているか。思われていないから不用、あるいは経費の削減、さらには住民総会でもいいと住民に思われてしまうからだ。今回の改革先進例にも、当初は議会不用論がありその打破として政策を中心に住民に役立つことができる議会への改革してきた背景があるからだろう。

IMG_0922 大川さんは、民間で働いていたが51歳のときに奥さんの里である大川村に転居。57歳の時になり手がいないとの理由で議員になってほしいと頼まれて議員になったのだそうだ。
 議員になり、なぜなり手不足になるのかと考えていくと、なり手不足は議会の努力不足だったのかもと思うようになったと話されていたのは印象深い。

 小さな議会でもやることは同じ。住民に役立っていることが分かればなり手不足にはならないと思うようになった。住民と対話し改革することが必要だ。国や県任せではなく地方議会から変わること。議員ひとりひとりの意識を変えることが必要と話されていた。このことは、多くの議会でも同じことだろう。
 住民総会は、結果的に集まれる場所は時間がないことから現実的に難しくなったこともあり、現在では香味印との兼職や報酬増を検討してほしいと国へ意見を上げている。議員が働きやすい環境づくりも必要と話されていた。
 都市部ではなり手不足は顕著ではないか、地方へ行くと聞くことが多い。議会は民主主義の場でもあり、議会がなくなることは村がなくなること、とコーディネーターを務めていた林紀行環太平洋大学准教授のコメントが印象に残る報告だった。

 武蔵野市議会でも議会改革は常に話し合われ進められている。議員のために、自分たちのために、ではなく、住民のために意味があることか? をポイントに検証しながら、さらに進めたい。そう思わざるをえなかった研修会だった。
 
http://blog.livedoor.jp/go_wild/archives/52516203.html

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