統一地方選挙を目前に控え、朝日新聞の自治体議会に対する評価が,好意的な方向に変わったことを昨日の記事で述べた。変わったという意味は、これまで朝日恒例の全国自治体議会調査に関する評価結果を覚えていたからだ。
『住民の声を聴く、自ら条例を作成150309』
勿論、うろ覚えになってきたので、感覚として頭に残っていることと比較し、変わったのは、議会なのか?それともマスメディアの眼なのか?と考えてみた。
議会基本条例及び議会報告会は共にファッションとなって、自治体議会に装備されるようになってきたことは「自治体議会改革フォーラム」の報告から明らかであった。しかし、これが良い方向とは必ずしも云えないとも感じていたし、今でもその気持ちは残っている。
その違和感を抱きながら、朝日新聞の記事に接したもので、疑問が自らの中で表面化したものと考えている。そこで、市民として川崎市議会活動の検証を試みようとした頃のことを想い起こして、朝日新聞の論調を調べてみた。
『「当たり前の議会 道半ば」~列島発!全国議会アンケート』(2008/6/8)
・任期は本来4年-2年内で議長交代6割強
・役所の「追認機関」-議員提案で立法1割弱
・採決時、どんな判断-議員個人の賛否公開5.4%
・夜間、休日開催は-「定期的」わずか29議会
・コメント「市民と直接向き合うのが責務」廣瀬克哉・法大教授
以上が2008/6/8の紙面に掲載されているが、調査そのものは3月までのことだ。
タイトルは「当たり前になっていない」ことを強調しており、厳しい批判が全編を貫いている。廣瀬教授のコメントが全体の状況の中で何が欠落しているのかを一言で言い表している。続いて、2011年…
『「3ない議会」なんて、いらない~全地方議会を調査』(2011/2/25)
全国の地方議会のうち、首長が提出した議案をこの4年間で一本も修正や否決していない「丸のみ」議会は50%、議員提案の政策条例が一つもない「無提案」議会が91%、議員個人の議案への賛否を明らかにしない「非公開」議会が84%。全国アンケートで、こんな体たらくがはっきりした。いずれにも当てはまる「3ない議会」は全体の3分の1に及ぶ。
これは新書にされていて、目次を読めば、好意的評価はどこにもない。
◇市長提案、全715議案修正なし
◇地方議員、8年で39%減/一人当たりの報酬は微減
◇財政悪化で首長も圧力
◇適正規模、住民と探る/意見募り合意づくり
◇議員の政策条例、道険し/目立つ「コピー」「宣言」
◇丸のみをやめ、居眠りから脱皮できるか
◇いつでも住民投票、難問/「常設型」条例、設置わずか
◇「自治の主役」議会は自覚を
こんな感じだ。勿論、新たな試みも含めて記載されているが、トーンしては厳しい批判が続く。
『議員の議案賛否、公開議会は52%~全国自治体議会アンケート』2015/2/26
「地方議会で、住民の声を聴く機会を設け、議員が自ら政策をつくる改革の動きが広がっている。全国1788議会へのアンケートで、その実態が浮かんできた」。
但し、中味を読んでいくと、「あれがナイ、これもナイ」の議会もあることが報告され、批判的側面が多いことが判る。その中で、変わりつつあることをできるだけ肯定的に評価し、その部分を伸ばしてゆく姿勢が感じられる。
これが8年に亘る地方自治体議会の変遷を表している。廣瀬教授の「当たり前の議会 道半ば」は、「当たり前の議会 見通しを得る」までには変わってきたと、朝日新聞は評価していると筆者は感じる。
しかし、その内容を問えば、まだ、形式だけが整ってきたとも云える。中身が揃うのはこれからの努力に依る。更に、それは議員だけで達成されるものではない。市民の質も問われているのだ。その点、議会改革を試みる市民のあり方も批評の対象になる、いや、その前に自らが省みることが必須と考える。
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