古くからの慣習が色濃く残る東京都議会では、議会公務のために登庁するとかかった交通費の多寡に関わらず、一律で1万円(市部は12,000円)のお金がもらえる「費用弁償」が存在することについては、過去に何度か取り上げて問題提起をして参りました。
ご存知ですか?1日1万円、都議会議員の「費用弁償」
http://otokitashun.com/blog/togikai/1882/
1日1万円、都議会議員の「費用弁償」は供託(≒受け取り拒否)しております
http://otokitashun.com/blog/togikai/3680/
現金の手渡しでもらえて、使用用途の報告義務もなく、非課税。議員の政治活動に莫大なお金がかかることは実感しているところでありますが、それでもこんな根拠不透明な「議員特権」とも誤解されるお金は疑問視をせざる得ません。
私は最寄駅から都庁までの交通費は往復340円ですから、9,660円は懐に入ってしまいます。都に返還することは制度上できないため、供託と呼ばれる事実上の受け取り拒否をしていることは上記の過去記事の中で述べた通りです。
ことあるごとに議会や委員会答弁・討論でも問題提起をしてきたこの費用弁償ですが、この度私の所属しております「かがやけTokyo」は、共産党・生活者ネット・みんなの改革・維新の党と共に費用弁償の廃止を定める議員条例案を提出する運びとなりました。
都議会では、11名以上の議員が集まらなければ議員から条例案を提出することはできません。これまで、費用弁償について意見を共にする維新の党・みんなの改革(塩村都議)らと議員条例案の提出を模索してきましたが、合計8名のため提出には至りませんでした。
ところが今回は、共産党さんが費用弁償廃止を含む条例案の提出を持ちかけてきました。共産党議員は17名。単独でも提出はできますが、数を集めて「共同提出」した方が影響力が強いため、単に「賛成してくれ」と根回しするだけでなく、「共同提案者にならないか?」と交渉してくるわけですね。
「費用弁償の廃止」という方向性では一致していたものの、共産党さんが草案した条例案は我々からみると不十分なものでした。
・議員が都外に出張したときに費用弁償がもらえる条項が残っている
・なぜか島しょ部から登庁する議員の費用弁償も残っている
(=第八条の項目がそのまま残っている)
私たちの志向する改善案は、どこに行くにもどこから来るにしても、根拠不明瞭な1万円と言う金額ではなく、「交通費の実費」のみが支払われる状態にすることです。
そこで今回、我々は初めて独自の条例案の作成に着手し、共産党さんに「対案」としてぶつけることにしました。「これなら、共同提案者として乗ってもいいよ」ということですね。
法律的な言い回しなどは最終的に議会局が整えてくれるのですが、私たちの案では綺麗に「費用弁償」が消えて交通費の実費精算になっています。
「おそらく、日の目を見ることはないんだろうな…」
と思いながら策定した条例案ですが、なにせ初めて出したアウトプットですので、出来上がったときはなかなかに感無量でした。
共産党さんは良くも悪くも「頑固」なところがありますので、正直なところおそらく歩み寄ってくることはないだろうと予測していました。共産党案なら共同提案者にはならず、現状よりは一歩前進なので賛成だけするか…。
なんてことを考えていた矢先、なんと先方から「かがやけTokyo案」の通りに訂正して提出するという合意をみたため、今回は我々も共同提案者となり、記者会見まで開いたというわけですね。
この経緯につきましては、両角幹事長のブログもご参照ください↓
http://morozumi.cocolog-nifty.com/blog/2015/03/post-4229.html
原理主義的に自分たちの案にこだわらず、より良い案があればそちらに賛同する。こんなところでも共産党さんが以前とは変化しているように感じられますし、その懐の広さには一目を置かざる得ません。
我々の会派や私自身も、共産党だから、与党・野党だからというポジションに囚われず、政策や提案を吟味して都民や社会のためになる最善の選択肢であれば柔軟な対応をするという姿勢を貫いていきたいと思います。
さて、本定例会で採決される本条例案。
「都庁に来るときに、電車で来るとは限らない」
「費用弁償の性格は、交通費だけではない(←この理屈は本当に意味不明)」
などと言って今まで費用弁償を懐に入れてきた議員たち・大会派たちは、今回のこの合理的でシンプルな改善案について、どのような賛否を表明するのでしょうか?
議員なって初めて作成・提出した、費用弁償に係る「議員条例案」。この議決の結果が出るのは今月末の定例会最終日ですが、また追ってご報告させていただきます。
それでは、また明日。
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