地方議会では3月議会で予算案を審議し、9月議会で決算案を審議する。そして、年間を通して実行中の予算をチェックする。これは試みに「実算」と呼ぼう。即ち、“予算―実算―決算”のサイクルになる。
しかし、これは行政サイドから分け方によるサイクルになる。議会にすれば、行政側が策定して提案した予算案を審議し、基本的にはその案を可決する。例えば、修正があっても、一部だけであって、大勢には影響しないことが多いのではないか。そうでなければ、首長が選ばれた意味がなくなるはずだ。地方自治法の規定の考え方も、将に二元代表制の考え方沿っている。
そこで、議会の役割は条例を策定することを除けば、行政をチェックすることになる。そのチェックの仕上げが決算の認定になる。これも認定はするのだが、具体的な予算の使い方についての問題点をまとめる必要がある。そうでなければ、議員は仕事をしていないことに等しい。
そのまとめのツールとして「事業仕分け」が有力な方法だ。即ち、具体的な事業運営が有効に行われたのか、本来の趣旨を全うしているのか、行政の担当レベルから聴く必要があるからだ。
しかし、これは全体をまとめて、類似の問題がないのか、行政側にチェックさせる必要がある。そのチェック結果も含めて次年度の予算に反映するのが議会の仕事となるはずだ。そこでのサイクルは“決算―予算―実算”になる。
議会は決算から始まる。
それは、後を向きで前へ歩く、ことに準えることができる。既に終わった仕事を検証することで次年度の予算に対して、何らかの形において、変更を加えることだ。当然、行政側の協力が必要になるし、それ以上に、議会の位置づけに対する理解が大切だ。
それは「二元代表制」に対する理解と同じだ。先にも論じたように、予算案の承認的意思決定だけでは、「1.1元」にしかならない。これは両者の機能を考えたときに、理解できることだ。
『地方議員候補は予算案に対する意見表明を~統一地方選での課題』
それを少しでも「二元」に近づけるには、議会内活動として上記のサイクルを固める必要があるのだ。おそらく、それでも「二元」には到達できないであろうから、「住民への使者としての議員」を提案した。
『ヘルメスとしての地方議員~票と利益の交換を超えて』
さて、川崎市議会は今年度から決算委員会の形式を変えた。決算を重視する筆者の立場からは非常に大きなことになる…可能性がある。
『議会かわさき 第102号-平成26/11/1発行』には、決算審査特別委員会の審査方法が変わったことが書かれている。
「決算審査が来年度予算により的確に反映されるよう、今回の決算審査特別委員会から、常任委員会単位の分科会で決算議案を審査し、分科会での審査を踏まえ市長と総括質疑を行うという運営方法に見直しました。」
「また決算審査の見直しに伴い、9月4日に都井清史氏(公認会計士)を講師に迎え、特別会計や企業会計の見方などについて「決算審査に当たっての着眼点と議会に求められるチェック機能」をテーマに議員研修会を開催しました。」
しかし、変えたことによって、前年度までと比較して、厳しい審査をできたのか?何も答は書かれていない。議会として市民への報告義務があるのではないか。尤も事業仕分けによる評価はなされておらず、極めて不十分であることは想定できるのだが。
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