2015年3月20日金曜日

地方議員は予算案に対する意見表明を~統一地方選での課題

<川崎市民のブログより>

地方自治体の政治制度は二元代表制と云われる。これは首長と議会の構成員である議員をそれぞれ別の選挙で選ぶことによる。国政のように、国会議員から首相を選出する様に、その地方議会の議員から首長を選ぶシステムではないからだ。そこで、「議会―議員―住民」の構造において、議会と住民を繋ぐ「使者としての議員」を議員像として提案した。

 『ヘルメスとしての地方議員150303

一方、議会の構成員としてみた議員の役割は、例えば、川崎市議会基本条例によれば、1)意思決定、2)事務執行の監視・評価、になる。従って、先ずは「意思決定」だ。その中でも、毎年必ず議決すべきことは年度予算案だ。更に、事務執行は予算案に従って行われる。

上記のことから、首長が提出する予算案に対して各議員は必ず、賛否と共に意見を述べる必要がある。それをベースに、その一年の事務執行の監視・評価が成り立つはずである。

別の言葉で云えば、議員の仕事は、予算案に反映される一連の「首長の政策群」を理解することから始まるのだ。更に、予算案は、総合計画・財政計画を基盤とした政策を具体的な施策へ落とし込んで成り立っている。そこで、基盤となる長期計画を首長と共有することが、議員の先ずの任務となる。

即ち、議員の仕事は、その時の首長の政策の下に自らの考え方を重ね合わせて成立するものだ。勿論、その究極として議会が予算案を否決することはできる。しかし、それは例外的なはずだ。何故なら、首長は選挙で選出されたからだ。住民は、執行機関を統轄し、事務を管理・執行する唯一の存在として首長を選出している。予算案も首長が編成して提案するものだと、住民も心得ている。

議事機関としての議会での議員の役割は事務の課題、論点、争点を提起することだ。従って、多くの事務に関する一般会計としての予算が、議決という形で承認されるのは必然である。議会は、更に個々の議員は、ある意味で無力な存在なのだ。筆者はこの「首長―議会」構造を「1.1次元」代表制と呼んでいる。

これを実質的に、「二次元」へと近づけるのが、先に提案した、ヘルメスとしての議員像なのだ。

話を間近の統一地方選挙に移そう。

地方議員選挙においても首長選挙と同じ様に公約あるいはマニフェストが掲げられる。しかし、それが何を意味するのか不明である。議会は政策の執行機関ではない。議決機関であり、議事を通して事務の監視、評価を行う機関なのだ。従って、「基本計画を議決事項にする」ことは、議会の中での説得になるから、公約として掲げるのはあるだろう。

しかし、一般的な政策については、現状の事務を前提にして提案しなければ、空疎なものになる。即ち、予算案に対する意見として表明することが判り易く、行政の枠組のなかでの議論となり、位置づけも明確にできる。新規事業を提案するにも「予算ゼロ」事業と云えばよくなる。

そうすると、立候補者は来年度予算案を統一的ベースにして、自らの考え方を明らかにすれば良い。それに将来の姿、例えば、人口減時代、を描いて長期展望を述べることも可能だ。また、首長の政策を評価する立場から原案を効率的に運営する立場(首長支持派)がいても良いはずだ。

一票を投じる住民にも判り易くなる。

以上に述べた様に、地方議員(候補)の仕事は、その地方の予算案を中心に回転することを、議員自らが改めて自覚し、様々な局面で表現することだ。これが説得力を持てば、優れた仕事になるはずだ。また、地域住民としても予算案の議論に注目することが良い議員を選ぶコツになると考える。


 

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