日本最大の政策コンテスト、マニフェスト大賞の授賞式が11月9日に開催され、2018年グランプリは愛知県犬山市議会が受賞した。同議会で行われている「市民フリースピーチ制度」には学ぶべきことがたくさんある。
■フリースピーチ制度
マニフェスト大賞の頂点となるグランプリを受賞した愛知県犬山市議会の議会改革には参考になる事例が他にもたくさんあるが、「市民フリースピーチ制度」には特に注目したい。
この制度は、市民の議会への関心を高め、より身近で開かれた議会を実現することを目的に市民が議場で5分間発言できるものだ。
平成30年の第一回定例会から始まり、定例会ごとに7名が発言できる。発言内容は、市政に関することで国政など市政に関係のないことは発言できない。また、多数の希望者がある場合は抽選。発言内容によっては許可されない場合もあるとしている。
特に発言するだけでなく、議員との意見交換が行われ、内容によっては議会が担当課と協議した結果を公表していることがマニフェスト大賞審査委員会からは評価されていた。
このような制度をはじめたのは、議長がニューヨーク出身のアンソニー・ビアンキさんであることが大きい。アメリカでは同様の制度が地方議会に取り入れられているからだというからだ。
アメリカの自治体議会は、自治体によって制度が異なるので一概には言えないが、市民からの意見を聞く時間が最も多く、その次に多いのが議員間の議論だという。執行部への質疑の時間がほとんどの日本の自治体議会とは違うので、余計にこの制度の新鮮さが評価されたのではないだろうか。
■議会、議員のそもそもの仕事
議会が誰のためにあるかといえば、住民のためにある。その住民の意見を聞くことが議員の何よりの仕事と考えれば、議場で聞く分かりやすい制度は、住民が意見を言える場のハードルを下げる意味において、他の議会でも参考になるだろう。
議会報告会を行い、住民から意見を聞くことを行う議会は増えているが、犬山市議会のように分かりやすい制度を取り入れて、市民意見をさらに聞くことも大きな議会改革のツールとなりそうだ。
どの議会でも、参考人として議会で発言することや請願、陳情などで住民が議会で意見を言える制度をもともと持っている。しかし、どこまで知られているか、住民が使っているか、使いやすい制度となっているかと考えてみると、使われている数を考えれば課題は多いと言える。これらの制度を再考する必要もありそうだ。
■武蔵野市議会では
武蔵野市議会では、陳情を提出した市民が委員会で発言できる制度を持っている(議事録には残らない)。委員会と住民団体との意見交換や懇談会も頻繁に行われている。しかし、多くの市民がこの制度を知らないのではないだろうか。また、委員会の開催は、平日の昼間となるので、発言したくてもできないことも考えられる。周知の手法、時間など、工夫が必要だろう。
フリースピーチ制度を取り入れるかは別としても、さらに市民意見を聞ける、そして、政策へと結びつける制度は今後考えてみたい。
※犬山市議会の改革の内容は、「トークショーに終わらせないための議会改革」(2018年02月19日)にまとめているのでご参照ください。
【参考】
犬山市議会 市民フリースピーチ制度
マニフェスト大賞 第13回マニフェスト大賞グランプリを発表しました
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