2015年2月27日金曜日

社説:地方議会選挙 政党は女性候補増やせ

<毎日新聞より>

 春の統一地方選が近づいてきた。地方議会は41道府県議選をはじめ、全国約750の自治体で議員選挙が予定されている。

 安倍内閣は女性の進出推進を掲げているが、地方議会で女性議員が占める比率はいまだに低い。政党こそ先頭に立ち、女性候補の擁立に全力を尽くすべきだ。

 地方議会でも女性議員の活躍は次第に浸透している。神奈川県大磯町議会は2007年以来、女性議員が過半数を占める。現在は議員13人(定数14)のうち女性が8人と全体の約6割だ。再生可能エネルギー推進条例を議員提案で制定するなどの政策活動や、情報公開による議会改革に積極的に取り組んでいる。

 他の議会でも、地域の保育所問題に関心を持った母親が待機児童に関するサイトを設け、その活動の延長として地方議会に進出したようなケースが目立つ。分権が進む中で自治体は超高齢化や子育て支援など多くの生活に密着した課題に直面している。女性が地方議会で多様に活躍していく機運の高まりを歓迎したい。

 だが、地方議会全体でみれば女性の占める比率はまだまだ低い。政府の集計によると13年末時点で都道府県議の8.8%、市区町村議で11.8%と1割前後にとどまる。12年末時点で全国の市議会の8%、町村議会で4割近くが「女性議員ゼロ」という現実は壁の高さを物語る。

 女性議員の動向に詳しい「市川房枝記念会女性と政治センター」によると、統一選における市区議選挙当選者で女性が占める比率は1983年に3.5%だったのが99年に11.2%となり、前回11年は16%と約30年がかりで2割が射程に入った。このペースでは政府が社会の指導的な地位に女性が就く比率として目標に掲げる「20年に3割」の水準はとてもおぼつかない。

 昨年、東京都議会で女性議員に対する議場でのセクハラやじが批判を浴び、他の議会でも女性議員に対する非常識な言動が絶えない実態が指摘された。地方議会の古い体質も進出を阻んでいるのではないか。

 だからこそ、政党の責任は大きい。女性の地方議員を党派別に見た場合、無所属を除き公明、共産両党が目立つ。その一方で、多くの政党は候補擁立の段階で立ち遅れている。

 今統一選は自民、民主両党も道府県議選などでの女性候補の積極擁立を強調する。候補者数が前回を大きく上回らないようでは本気度が疑われる。道府県議、政令市議選などは候補者に占める比率で数値目標を示すくらいの姿勢を示すべきだった。

 女性議員を増やしていくことは地方議会改革そのものだ。政党は意を決して現状を変えてほしい。

 

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