<信毎webより>
人口減少と高齢化で議員のなり手不足が深刻化している町村議会をどう維持するか―。
総務省の有識者研究会が地方議会の新制度を提言する方向になった。政府は早ければ来年の通常国会での地方自治法改正を目指す。
県内を含め、町村議会は住民の関心を高め、議員のなり手を増やす方策をさまざま試行している。地方自治の趣旨からして、国が改革を主導するのではなく、地方から声を上げていきたい。
研究会が新制度として提言するのは二つある。
一つは兼業の議員が多く加わる「多数参画型」。今は自治体と取引のある法人の役員との兼業、他の自治体職員などとの兼職が禁止されている。この制限を緩めて議員になりやすくする。その代わり報酬は下げ、議会は平日夜や土日に開く。
取引先法人の役員が議員になった場合を想定し、契約の一部は議会の議決対象から外し、情報公開を徹底する。ただ、町村予算で大きな比重を占める公共事業が執行部の専権事項になり、議会の監視機能が低下する恐れがある。
もう一つは少数の専業議員による「集中専門型」。兼業・兼職制限は維持し、報酬を生活可能な水準に引き上げる。
立候補意欲を刺激するのが狙いだ。少数で多様な民意をどう反映させるかが課題になる。
現行制度か新たな制度かは自治体が選べるようにするという。だが、議会の改革を国の制度改正に委ねれば、かえって活力が失われるのではないか。
そもそも議員の報酬や定数を決めるのは自治体や議会である。
県内では昨年までの4年間に行われた町村議選で34%が無投票になった。連続で無投票の町村も少なくない。議会の担い手確保が厳しいのは確かだ。
だからこそ、それぞれの議会が独自に模索を始めている。
例えば飯綱町議会。町民と一緒に町に政策提言する「政策サポーター制度」や議会報に住民の意見を反映させる「議会だよりモニター」の増員に取り組んできた。昨年の町議選ではサポーターやモニター経験者5人が当選している。
最近では喬木村議会が「夜間・休日議会」を導入し、傍聴者が大幅に増えた。住民が議員になろうとする機運が盛り上がることが期待される。
法律を変えても、住民の関心が高まらなければ絵に描いた餅だ。まずは自治の裾野を広げることを進めたい。
(3月8日)
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20180308/KT180307ETI090007000.php
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