しかし、きのう公表された報告書には首をかしげざるを得ない。理由は三つある。
ひとつは議会の機能が低下しかねないことだ。
報告書は、二つの類型の議会像を初めて掲げ、現状のままを含めた3パターンから、一つを選ぶよう提唱している。
「多数参画型」は、集落単位などで兼業議員中心に選ぶ。報酬水準は下げ、夜間や休日に議会を開く。仕事量や権限を減らし、県職員ら他の自治体の公務員の兼職も認める。
だが「集中専門型」では少ない議員数で、「多数参画型」では兼業議員らで、執行部への監視機能が弱まらないか。
どちらも議会と首長の二元代表制を崩す恐れがある。
二つめは、2類型について、自治体に原則としてパッケージで選ばせる姿勢が、地域の自主性を尊重する分権改革に逆行している点だ。
議員の報酬や定数の増減などは、現行制度のもとで、それぞれの議会が決めればできる。それをあえて新たな2類型に盛り込み、一括採用を促すのは、お仕着せが過ぎる。
まるで、自治体議会を信用していないかのようだ。
三つめの理由は、研究会が大学教授らだけで構成され、議論が非公開ですすんだことだ。
議会を改革する方策は、もっと幅広く現場の意見を聴きながら作り上げるべきだった。
議員確保の試みは、すでに各地で始まっている。議会の夜間開催に踏み切った長野県喬木村(たかぎむら)、住民による政策サポーター制度を導入した同県飯綱町(いいづなまち)、50歳以下の議員報酬を高くした長崎県小値賀町(おぢかちょう)などだ。
兼職禁止規定の緩和だけでなく、公営選挙の拡充、休職や復職がしやすい制度など多様な選択肢を示すことの方が、なり手不足対策に役立つに違いない。
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