<日経新聞より>
日本経済新聞社が全国815市区の議会を対象に議会改革や住民の参加状況などを聞いた「議会活力度」調査で、兵庫県西脇市が首位となった。審議充実や「開かれた議会」などが進んでいる。政務活動費の不正使用などで地方議会に対する住民の厳しい視線があるだけに、さらなる改革が急務だ。(「日経グローカル」350号に詳報)
調査は7月下旬から9月初めにインターネットで実施。813市区から回答を得た。情報公開、住民参加、議会運営のほか、女性議員比率や平均年齢、投票率などの基本的事項を加えた4分野を聞き、回答を得点化して順位をつけた。
西脇市議会が最も力を入れるのは、執行部が提出する予算や条例など議案審議の充実だ。決算審査では執行部との質疑を活発にするため、事前に質問内容や論点を議員全員で議論し調整する。予算案審議時の指摘がどの程度生かされたかも検証。審査結果は翌年度の予算編成に反映させる。
住民と議員が直接意見交換する議会報告会は、市内に80ある自治会単位で開催。1班3人の議員で5つの班を作り、各班が1年に8自治会ずつ回るようにしている。ワークショップ形式にし、議論しやすいよう配慮している。報告会で出た重要な意見は担当の常任委員会で議論し、政策提言につなげている。林晴信議長は「一番の広報の場になっている」と話す。
2位の那覇市について、翁長俊英議長は「常任委員会の自主的、積極的な活動が強み」と強調する。市民からの陳情書の審査では、陳情者が希望すれば常任委員会で直接説明してもらう。現地視察や執行部を交えない議員間の討議も盛んだ。
同市議会は市が2017年12月に提出した18年度から10年間の総合計画を、修正した上で可決した。審議の1年前から前の総合計画を検証し、計画期間中の中間検証実施などが必要だと判断した。総合計画以外でも議案に対する修正可決や否決をしており、議会が独自性を発揮している。
各定例会の前に市民に議案への意見を募集している三重県四日市市が3位になった。募集は珍しく、全国でも注目されている。さらに今回の決算審査から委員会での議員間討議を本格導入。委員会の意見としてまとまったもののうち、可能なものは19年度予算案に反映される運びだ。政策関連の条例の議員提案にも積極的に取り組んでいる。
3市以外でも議会改革に取り組むところが広がっている。改革の象徴である議会の役割を体系的に定めた議会基本条例を制定したのは502市区と、6割を超えた。住民向けの議会報告会を過去1年間にしたのも、約半数の410市区に上る。
不正防止などでの政務活動費の領収書公開(複数回答)は、庁舎内での閲覧が506市区で最も多かった。ホームページでの公開は275市区。領収書公開はここ2、3年で広がっており、非公開は120市区だった。
議員の平均年齢は60歳と、5年前に比べ1歳高くなった。女性、50歳未満の議員の比率はそれぞれ14%、17%にわずかだが上昇した。議員への多機能携帯端末(タブレット)の貸与が全体の18%に当たる144市区になるなど、議会でも情報通信技術(ICT)化が進んでいる。
車いす対応のエレベーターや車いす用傍聴席の設置、必要に応じた手話通訳の配置など障害者への配慮も広がっている。
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