2018年10月5日金曜日

決算審査特別委員会〜「水害対策」「複合災害対策」を質問

<江東区議のブログより>

本日は、朝豊洲駅でのご挨拶を行った後、決算審査特別委員会に出席しました。
2日目の審査は総務費について。
 私は防災対策について質問いたしました。

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(写真は今年の「江東区総合防災訓練」)

 大規模水害が発生し、江東区が浸水した際、ハザードマップで浸水域とならない南部地区(豊洲・有明地区)への避難をどう考えるか、地震と水害などが同時に発生する「複合災害」について江東区ではどう考えるか、などを質問しました。
質問にあたっては先月の区政報告座談会「あやこcafe」で頂いたご意見も活かしました。
私が作成したメモに基づいて内容をご紹介します。

総務費「防災について」

 まず、防災に関して質問をするに当たり、西日本の豪雨水害や北海道胆振東部地震等最近発生している自然災害で被害にあわれた方に対してお見舞いを申し上げるとともに、被災地の一刻も早い復興を祈念いたします。
昨日の台風24号については、まだ全国的な被害の全容は明らかになっておりませんが、本区においても、地震や水害などの災害の発生に備え、区民の安全を守るためには防災対策の一層の強化が必要である、という観点から質問を行います。

1.水害対策について
水害対策については、2年前の決算審査特別委員会においても、江東5区の水害対策について「江東5区大規模水害対策協議会における広域避難」や「ハザードマップ」、「情報発信の徹底」について質問しました。
その際に要望した防災アプリについて、帰宅困難者向けの地図による情報提供や、洪水対応のハザードマップを平成30年度予算で機能追加していただけることになったことについて、感謝とともに、期待しているところです。

水害対策については、先月発表された江東5区大規模水害対策協議会において、新たな被害想定による「江東5区大規模水害ハザードマップ」と「江東5区大規模水害計画」が発表されたことにより本定例会においても多くの質問がありましたが、私からもお伺いします。

まず、大規模水害発生時の避難方針について伺います。
江東5区の浸水ハザードマップが8月に公表されたことを受け、江東区においても独自のハザードマップを作成することとしています。
ハザードマップを見ると、江東5区においては、南部地区は浸水域にかかっておらず、豊洲・有明地区等は避難エリアにはなっておりません。
今月開催された江東5区(江東・墨田・足立・江戸川・葛飾区)の議員対象の大規模水害広域避難計画の研修会では、浸水域となる江東5区の住民は全員区外へ避難するとの説明があったが、江東区は全域が浸水域ではないため、広域避難の方針も江東区の実情にあった形で定めて周知を図る必要があると考えています。

当該地域(浸水域とならない豊洲・有明など南部地区)の避難方針についてどう考えるか、伺います。

【答弁】
洪水に関しては、豊洲や有明をはじめ、近年埋めたてられた地域は地盤高が高くなっており、大きな浸水はしない想定となっている。
そのため、洪水に関しては、豊洲・有明については基本的には避難の必要はなく、地下などへの水の浸入や、豪雨の際の雨水の浸水に注意をすることが基本となる。
ただし、本年3月の東京都より出された想定最大規模の高潮の場合には、豊洲なども一部浸水するため、避難方針については、来年度、高潮ハザードマップ作成の検討の際に、あわせて避難の考え方の整理が必要であると考える。

江東5区の他区では、区外避難を推奨しているが、江東区においては、南部地域への避難(学校や公共施設、東京ビックサイトなどの民間施設、将来的には東京2020会場となる有明アリーナや辰巳国際水泳場など大規模競技場など)もあると考えるか、区における避難の考え方については。

【答弁】
現在配布している荒川の洪水を想定した江東区洪水ハザードマップでは、南部の非浸水地域への避難を第一とし、その時間が確保できないときには3階以上への垂直避難というように整理している。
一方、江東5区広域避難では、5区の置かれた地理的状況に相違があるため、基本は浸水域外の親戚・知人宅、宿泊施設等を利用した自主避難、避難する時間がない場合、垂直避難としている。
荒川の洪水の場合、本区南部地域は避難先として依然、有効であると考える。
 南部地域については、仮に江東区の浸水域内の人全員が避難した場合、すべて屋内施設への避難を確保することは不可能であるため、優先順位としては、浸水域外の親戚・知人宅等、次に南部地域、最後に垂直避難というのが現在の本区における避難の順序となる。
江東5区の検討の中でも、避難先については各区の地理的事情により自区内避難の場合もあることを確認している。
南部の学校やビッグサイトなどは避難先として有力であり、ビッグサイトなどは地震時の帰宅困難者の一時滞在施設にもなっていることから、一定数の避難者の受入をお願いすることになると考える。
ただし、現状では、南部地域の施設内に浸水域内の江東区民すべてを受け入れることは困難であり、区民には広域避難もあわせて周知していく必要があるものと考える。


広域避難の考え方などを含め周知はどのように行っていくのか?

【答弁】
江東5区の広域避難については、共通で作成したリーフレットを江東情報ステーションと防災課窓口で配布しており、その旨を区報等でも周知する予定である。
あわせて、来年度作成する洪水のハザードマップは、江東5区のハザードマップもあわせた形で作成する予定であり、その周知とあわせて、住民には周知していく。
また、防災訓練や防災講話の際にも周知を行っている。


2.複合災害への対応について

地震や水害は別々に起こるとは限らず、「地震の後に台風や集中豪雨」、「大雨による洪水の中、巨大地震が発生」という複合災害の危険性も報道などで指摘されている。2016年の熊本地震においても、地震後に余震だけでなく大雨やそれに伴う土砂崩れが発生し、被害が拡大したという事例もありました。
複合災害の発生の場合、すでに交通やライフラインに影響が出て、混乱をきたしている時に新たな災害に見舞われるので、地震・水害に別々に備えていた場合、適切に避難指示や救助できなかったり、想定外の被害が発生したりしてしまうこともあると考えられる。
複合災害の対策を進めている自治体はまだ少数派であるが、23区では江戸川区の事例がある。海抜ゼロメートル地帯で水害リスクの高い江戸川区では、東京大学の片田教授の協力の下、地震+洪水+高潮の複合災害発生に備えて20138月にシナリオを制定。
地域防災計画にも複合災害を位置付け、「複合災害犠牲者をゼロにするための対策」に取り組み始めています。複合災害対策について「正しく恐れ」、区民自らが自分の命を守るための主体性を持ってもらうため、ホームページやパンフレットの配布などの啓発を行っています。

複合災害に取り組む江戸川区の先進事例について江東区ではどのように評価しているか。江東区において、複合災害に対する地域防災計画の策定に取り組むつもりはあるか、考えを伺います。

【答弁】
防災対策は、まず被害想定があり、その被害をどれだけ減らすか、あるいはその被害が生じることを前提にどのような対策をとるべきかから構築していくものであると考える。
複合災害については、発生確率の低さもさることながら、被害想定がない点が一番の問題であると考える。
また、本区の場合、大規模洪水や高潮のみの場合でも、対策に絶対的な解がないケースもある。それを複合災害を想定することで、被害規模をいたずらに大きくしてしまい、本来やるべき対策まで想定できなくなる恐れもある。
複合災害を想定した計画を策定している自治体があることは認識しているが、けして自治体の防災対策として多数派ではなく、メリット以外も大きいと考えている。
また、災害対策や避難行動は、ただでさえ地震の場合、水害の場合を混同されることが多い。首都直下の対策、大規模水害の対策とわけて、わかりやすく周知することが肝要であると考えている。
ただし、現在出されている想定最大規模の洪水や高潮のケースでは、東京湾を台風が襲来した際に、上流は前線が刺激され洪水が生じているようなケースは、シミュレーションの中に取り込んでいる。このようなある程度現実性の高い複合については、これまでも被害想定の前提となっているし、そういう意味では地域防災計画の対象となっているが、地震と台風の同時またはあわさっての複合災害については、取り入れることは難しいと考えている。


(意見)
ただ今の答弁では、複合災害は発生確率が低く、被害想定がないため、防災対策として取り入れることはないという趣旨であった。
区民への啓発についても、首都直下型地震、大規模水害の対策と分けてわかりやすく周知する、という考え方であるということは理解できた。
答弁を聞いて、「わかりやすい周知」「地震、水害対策を分けて確実に対策を行っていく」ということで、区民を混乱させることなく、着実な防災・減災行動ができるようにしていくことが大切だと思います。

地震対策だけでなく、水害対策についても更に区民への啓発を図っていく必要があると考える。
本区では「江東区総合防災訓練」を毎年実施し、木場公園のほか、小中学校など4箇所で地域防災訓練を行っている。
木場公園の総合防災訓練の目的は、「首都圏直下型地震に備えた地域防災力の強化」であるため、展示やシナリオも、首都圏直下型地震を意識したものが殆どとなっている。(江東区土木部の地震による液状化対策などはあるが、水害対策の啓発は少ない)総合訓練が行われる時期は地震だけでなく、毎年夏に必ず発生する台風のシーズンとも重なるため、総合防災訓練で地震のほか、台風などによる水害対策も知りたいという声が、地域の災害協力隊の隊員からも寄せられている。

総合防災訓練に出展している災害対応機関の中には、地震のほか水害対策に積極的に取り組んでいる団体もあるため、それらの機関の協力を得て、江東区防災訓練において、区民の水害に関する防災意識を向上させるため、水害対策の啓発も増やしていくべきであるが、区としてどのように考えるか、伺います。

【答弁】
地震を主とした総合防災訓練の会場でも水害やミサイルについての啓発も行っている。
特に地域訓練においては、71日に南陽小学校で行った首都直下を想定した防災訓練では、竹中工務店の協力による水害のVRのコーナーも設置し、訓練参加者に浸水の早さなども体感してもらうことで、あわせて水害の啓発も行ったところである。
訓練のシナリオとしての複合災害はデメリットのほうが大きいと考えるが、啓発等の形で水害も取り入れ、防災訓練の場を活用して水害に対する住民の意識醸成を図っていくことは大切であると考えている。
災害協力隊に対しては、災害対策連絡協議会や災害協力隊リーダー講習会の際に、毎年テーマを設定した講演会を行っており、その対象として水害対策を取り上げた年もある。
今後も、こういった災害協力隊に向けた知識普及や啓発の機会に、地震対策とあわせて水害対策についても普及啓発を行っていく。

(鈴木あやこまとめ)
区民に対するテロやミサイルの啓発については、昨年一般質問を行ったものですが、ご対応ありがとうございました。
毎年起こる台風や豪雨、津波や高潮などへの備えなど、水害対策については、地震に比べて正確な知識を持っている区民も少ないため、防災訓練や災害協力隊が集まるイベントでの講演などの啓発の強化をぜひお願いいたします。
災害についての正しい知識を区民が身につけ、災害時に主体的に備え、命を守る行動ができるよう、引き続き防災対策の強化に努めていただくよう要望し質問を終わります。

http://www.suzukiayako.com/archives/52321865.html

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