<多摩市議のブログより>
政務調査費改め政務活動費(=政活費)の使い方がクローズアップされ・・・・「とんでもない!」とマスコミなどでたたかれているこの時期に、いろはの会で北海道への視察でした。今年は多摩市で自治基本条例が10周年を迎えたわけですが、自治基本条例と言えばニセコ町であり、「ニセコ町のその後」をヒアリングしてみてはどうか?・・・・という提案があったことが発端で、道内でその他学べる事例をいくつか探した結果、石狩市民図書館、ニセコ町まちづくり基本条例、札幌市子ども権利条例の3つについて調査することとなりました。まずは石狩市民図書館の視察をちょっとだけレポートしておきます。
石狩市は札幌市のベッドタウンにもなっている街です。人口は約6万人程度とのことです。もともと図書館がなかった時代から、市民の皆さんの文庫活動などもさかんだったそう。「図書館が欲しい」という市民みなさんからの要望がやっと実現して、念願の図書館建設となったそうです。伺った石狩市民図書館がオープンしたのは平成12年のこと。図書館計画そのものは市民の参加も含めて、平成4年ごろから始まっていて、足掛け8年ほどでようやく完成した図書館です。市民の図書館への思いが凝縮されているのは「石狩『市民』図書館」となっていることからも伝わってきます。一般的に言えば・・・・「多摩『市立』図書館」となりますね。
石狩市民図書館の視察は、そもそも「名称」のつけ方もユニークであること、そしてまた「学校図書館等整備方針」があることを事前に調べていたことから、多摩市の参考になるのではないか?と思って選んだわけですが、やっぱり百聞は一見に如かず、実際に足を運びヒアリングをさせていただくと違いが見え、そしてまた取り組み方のヒントをいただくことができますね。
何と言っても「図書館の中に街をつくる」をコンセプトにしていること。そのために館内エントランスを入ったところには、喫茶スペースがあり、
地産地消・・・・地元の食材まで販売するスペースも。石狩港からの「ほっき貝」が550円もありました!イメージとしては永山図書館を出たところに喫茶コーナーやフリースペースがありますが、そんな感じですね。ただ、このスペースを活用して図書館がイベントを実施するとのことです。図書館が音楽のイベントまでやるというのがびっくり。石狩市には公民館と言っても学校跡地を活用していて、貸会議室を中心に事業展開されているようで、図書館が公民館の機能の一部まで担っているような感じでした。
ということなんですが、いわゆる私たちのイメージする図書館というよりは、「市民が出会い、交流を深め、新しい文化をつくっていく」場としての図書館であり、そんな位置づけがしっかりと意識され運営されているような気がしました。やっぱり、これは図書館のビジョンと言うかコンセプトがはっきりと明示されているからですね。単に図書館法に基づいて、図書館を建設しただけでは、こうした取組みまでできていかないんだろうなあと。そして、多摩市でも暫定利用している旧西落合中学校跡地の図書館本館の今後をどうするかが課題になっていますが、やはり、図書館+公民館=市民の学習支援をしていく(社会教育)という要素を織り交ぜた施設づくりをしていかねばならないと思うものです。今の多摩市の図書館は本を貸し出ししているだけで終わっていて、その先、市民の交流を進めたり、市民が図書館での学びを活かし、まちづくり活動につなげていったり・・・・というところまで結びついていないのが実情。石狩市民図書館は市民ボランティアの方もとても活発で、学校図書館の老朽化した図書までの修理なども担っていたり、各小中学校などででも「図書修理ボランティア育成」の出前講座なども行っているのだそう。
そして、この秘訣と言うか・・・・今、最も力を入れているのが「学校図書館の充実」で、小規模校以外には学校図書館司書を随時配置する計画があるのですが、これまた小中学校全校に学校図書館司書を配置している多摩市のやり方とは異なり・・・・・・。学校図書館司書さんは「市民図書館での勤務経験」が一つの要件としており、まずは市民図書館で1年は業務経験をしてから、学校図書館に配置するという仕組みにしています。いわゆる図書館のオンラインシステム含めて、学校図書館司書も理解することが必要ですが、市民図書館で勤務しながら知識を習得してもらい、市民図書館との連携もより円滑に進めていくためにもまずは信頼関係をつくることが大切との話を伺いました。
ここも多摩市とは大違いですね。多摩市の場合は公立図書館の司書は公立図書館で、学校図書館の司書は教育指導課で・・・となっているので一応の連携はしているというものの、言葉だけに終わっているかなとも感じるからです。石狩市の場合には学校図書館司書経験者が公立図書館に人事異動なり・・・という人事交流を進めながら、街全体で図書館を動かしています。図書館が各地域にあるわけではないので、図書館に気軽に行けない人のために学校図書館を充実していくことも一つの方針になっていて、学校図書館でも地域への貸出を始めていますが、そのことも含めて、司書資格のある非常勤職員の方をとてもうまく活用していると感じました。
あとは、やっぱり無人の貸出システムかな・・・・。これは人件費削減にも大きく貢献するものですね。ただし、もちろん導入費用、その他維持費用含めたコスト計算をする必要がありますが、有人の案内カウンターもありながら、自分で貸出手続ができる。ここもまた、新たな施設づくりでは検討事項になりそうです。
図書館・・・・民間委託やら指定管理者やら・・・・という議論は?
と尋ねてみましたが、もともと市長自身が「図書館をまちづくりの核とし、郷土愛や人との交流を育んでいく場所」にしていきたいという強い思いがあり、「公立」で存続させていくことに疑問の声はないということでした。
さて、多摩市の図書館政策他どう取り組んでいけばいいのか。特に施設的には旧西落合小学校をいつまで「暫定的」に使い続けるのか?・・・・このあたりはもっと議論を深めなければならない点ですね。一朝一夕には行かず、やっぱり時間をかけてじっくりと取り組んでいかなければならないこと。いつまでも中央図書館どうするかの入り口論ばかり議論して、本当はもっと図書館の運営をどうやって発展させていくのか、市民の利便性を向上させていくのか、街の中に図書館をどう位置づけいくのか等など考えることがあるはずなのに・・・なかなかそこまで議論が及んでいないのが実情。少し、発想を変えたところで、「社会教育」の大切さにどう向き合い、どう取り組んでいくかを議論し、その延長線上に図書館や公民館の在り方を0から議論したら?とも思えてきました。
ニセコ町、札幌市の視察レポートはまた明日以降に。
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