2014年8月25日月曜日

鳥羽市議会視察レポ

<大府市議のfacebookより>

【鳥羽市議会視察レポ その1 視察内容メモ】

【視察内容】
1 ICTを活用した議会改革について
● iPadの活用
議会全員の共有として平成23年に2台を試験導入。その後活用したいとの意見が相次ぎ、政務活動費での購入が進み全議員が活用するように。通信費月額6000円も政務活動費で支払っているが、政務活動以外にも使えるため、按分精算を検討中。資料の閲覧、グループウェアの利用以外に、危機管理の面でも有効。(登庁ルートが阻まれる事態には、インターネットを経由してカメラを使って会議に参加したなどの活用事例がある)
● グループウェアの活用
平成24年から会議の開催通知、会議資料はメール配布に切り替えた。スケジュールも事務局と議員が同じグループウェアで共有し、HP掲載も連動。災害時の通信手段としてFacetimeアプリを導入している。官庁からの速報(iJAMP)も議員に配信。
● 外部SNSなどの活用
議会のユーストリーム配信、ユーチューブ配信については、議会中継コストの面から有効との判断で進めた。
議会情報を提供するため、ツイッター、LINEも活用している。
●使いこなせるかどうかの個人差については、できることから始める一方で、使わざるを得ない環境も作り慣れていく仕掛けが必要。また、ICTはあくまでもツールであり、目的のために活用する、目的と手段を混同しないことが大切との体験談であった
2、 会派制の廃止について
現在の任期より定数が2減で14になった。それに伴い会派制を廃止。廃止すべきかどうか議論はあったが異論はそれほどなかった。議員同士横のつながりは持ちつつ、会派という単位には至らず、会派制に戻したいとの意見も現在のところない。全員で共有できることは良い。デメリットを敢えて挙げるなら、まとめるのに時間がかかる点である。なお定数削減については、立候補者が少ないとの情報があり、それでは信を問えないと
改選直前に削減したという背景がある。
3、 通年議会について
本年5月より開始。通年議会でなく「通年会期」で、51日から430日までを会期とした。招集は任期の始めに市長が招集するが、以降の毎年は自動的に招集されたとみなす。定例として集中審議するのはこれまでどおりの年4回とする。
緊急で会議を開催する場合や、継続審議、所管事務調査などの対応がしやすくなる。
定例会単位で会期が閉じないことによる「一時不再議」の取扱いは、事情変更があった場合は同一会期(=同一年内)でも採り上げることができる運用で対応。発言の取り消し等は20日以内と別途規程した。
4、 議会基本条例について
平成21年の議長が就任あいさつで制定を表明。大きな異論はなく同7月から任意の策定委員会で協議し、2212月定例会で全会一致可決、234月施行。25年見直し改正。特徴をいくつか以下に記す。
反問権は53項に規程、逆質問あり。市長だけでなく「長及びその職員」も可能としている。
11条、適正な議会費の確立=議会は自ら予算要望書を作成し市長に提出することができる(予算編成権は長の専権事項であるが議会予算は自らが確保するためのアクションを取ることができるとした)
132項、事務局人事に関して議長は市長と予め協議できるとした。
5、 議会報告会、意見交換会について
議会基本条例を検討している時期に先行して開始した。47町内会を複数年のうちに全て回ることとし、平成25年度は27箇所で開催。市民来場者数は約500名。約1ヶ月ほどの間に議員を3チームに分けて分担して回る。議員は期数と所属委員会からムラのないようチーム編成。離島まで全てまわる。広報手段は市広報に折込、回覧板、議会だよりと議会HPに掲載など。
自分の支持者支援者でない人からも意見を聞くこと、様々な角度から問われることから議員の力が試されるし磨かれる。会場で出された質問、意見は回答を作りHPに掲載する、議会だよりに掲載するほか、町内会長さんへ届けるなどしている。会場で出された意見を委員会で抽出し議論し政策提言していく仕組は現在はまだなく、今後の課題とのことであった。


【鳥羽市議会視察レポ その2 所感および大府市議会に思うこと】

鳥羽市は市域が広く、離島もあれば陸路も交通が限られるために、市民が傍聴に来ることや有事に議員が参集することが困難な地理的な背景と、市の経営自体が厳しく予算を割けないという課題が背景にあり、その中で合理性と正当性が認められて実のある改革が進んできた。

ICT化については、操作や活用の習熟に議員間の差が大きいことがいずこの議会でも検討課題に挙げられる。しかし、鳥羽市議会も平均年齢が決して若い議会ではなく、私見導入して触れてみて有効性が認められたとのことである。実際、ノートPCよりタッチパネル式のほうが、視力に課題を持ち始める年齢にも有効であることは各地で耳にする。大府市議会でもかつては議員控室にPCがなかったものが今や必需品となっていることから、必要性と合理性を踏まえ積極的に導入を考えるべきである。個々の電子機器の活用ど同時に、特にグループウェアの活用は切望するところである。議会内の情報共有や、有事への対応としても有効であることが、鳥羽市議会の実用の事例から確認できた。議会中継について、ユーストリームやユーチューブの活用についても、現在の大府市議会の形態とコストと運用面での比較検証をしてはどうだろうか。

会派制について、当市議会においても定数削減が進み、次の任期から20名を切ることとなった。現在の大府市議会の会派制の運用は、会派に所属しない議員に対して、共有することや意見を汲み取ることについて欠けていることは否めない。個人的には、20名を下回った時点で会派制が必要な定数ではないと考えるが、会派制の廃止に異論が大きいのであれば、会派に所属しない議員にも情報が伝わり意見を汲み取るしくみ=会派代表者会議と議会運営委員会へのオブザーバー参加=は最低限認められるべきである。会派を組むかどうかは議員個々の考え方として認められねばならず、会派に所属しないことを理由に他の会派所属議員と情報格差があってはならない。

通年会期について、大府市議会でも現状では休会中の付託などの手続きで所管調査などを展開しており、臨時会についても極力専決せず随時招集しており、通年制を導入することで現在の活動状況と格段に変わり活発になるかというとそうでなない。しかし、休会中の付託や急な招集などの手続きが簡明になることは違いなく、そのため後々に活性化につながる可能性は大いにある。大府市議会の現在のやり方と、改めて法令で定め都度の扱いを簡便にすることと、どちらがいいかという比較ではないか。それ以上の部分は、有事に発揮されるのかもしれない。

議会基本条例については、特別委員会でも言及したとおり、大府市議会なりに活性化を進めてきたとの自己評価であるなら、余計に後戻りしないための明文化をし、定めるべきは定めていかねばならないとの考えである。また、執行部への政索提案としての条例づくりも前向きに考えるべきではあろうが、議会内は議員みんなで自治をするものであり、自らの法務、法制を一度冷静に考えてみるべきだ。議会基本条例はランキングや競い合うためのツールではないことは言うまでもなく、議会内を自らの自治として法制を見直し明文化して定めていくべきで、そのための準備や力をつけるステップは、大府市議会では進めてきていると考える。

議会報告会・意見交換会について、市民の代表や団体などから意見を聞くことを始めたのは大府市議会でも一歩進んだところではあるが、市民との対話は自分の支援者や特定の選び出した団体のみからでは不十分である。議会としての報告は、個々の主張が聞けないなら無意味との見解もあろうが、あくまでも議会として伝えるべきことはあるし、市民も、どのような見解や議論をもとに条例や予算を決定しているのか、個々の見解でなく議会としての説明をもらってしかるべきだ。議会として、どのような発言があり経緯をもって決定したのかを伝える習慣をつけ、加えて意見をいただくことが、まさに市民との顔の見える双方向であり信頼づくりである。鳥羽市議会における報告会からの市民意見は、政策形成に繋げる仕組は今後の課題とのことであるが、先日の飯田市議会しかり、委員会視察した会津若松市議会しかり、議員個々の研鑽と関心を起点とした事務事業調査や提言ばかりでなく、意見交換会で広く市民からいただく意見の中から課題抽出する仕組も、市民のための議会として将来的に持つべき仕組と考える。

大府市議会は自分たちなりに進めてきた、との自己評価を否定はしないが、そう思うことが時に先進事例に学ぶ謙虚さを損なうことにもなりかねない。当市議会はまだ後進であるとの自覚を持ち、やらねばならないことは山積である。それに取り組むだけの力は事務局とともにつけてきたのがこの任期であるため、改選を経てこれからの大府市議会が一層の改革・活性化を果たしていくよう今後とも提言してまいりたい。

最後に、鳥羽市議会において、議会基本条例や議会報告会の開催を強く押し出した当時の議長(第56代)・中村欣一郎氏(現県議)にも駆けつけていただき、鳥羽市議会の本会議場で現議長 野村氏ともども大府市議会に力強いエールをいただいたことを記し、感謝とともに報告の結びとしたい。

◇ホームページ http://gikaikaikaku.web.fc2.com/


※当会は「不偏不党」です。

※当会のメールマガジン登録(毎月1回の発行予定)及びお問い合わせはこちらへ

0 件のコメント:

コメントを投稿