2014年8月22日金曜日

四日市市議会、市民意見も審議の場に HPで異例の募集

<朝日新聞(三重)より>

 三重県四日市市議会は27日開会の8月定例会から、市提出の議案について事前に市民にインターネットで情報を提供して意見を募る。行政にはパブリックコメントの制度があるが、議会の取り組みは異例。専門家は市民の政治参加を後押しするとして評価する。

■四日市市議長「意見の固定化防ぐ」 HP募集の狙い聞く

 四日市市では年4回の定例議会に先立ち、市当局が予算や条例について市議に説明する。市議会は今回、その際に示される資料を議会開会の約1週間前にホームページに載せ、メールやファクスで市民から意見を募ることにした。集まった意見は関係の委員会が始まる前日に全議員に配り、審議の参考にする。
 中森慎二議長が5月の議長選で提案したのがきっかけだ。議会が定例会が終わるごとに開いている市民への報告会や意見交換会の参加者が減り、特に若者や女性の参加者が少ないことに危機感を持っていた。
 インターネットなら意見交換で時間や場所を選ばない。2010年から本会議や委員会のネット中継を順次始めるなど、ほかの議員も議会改革に理解があった。議長になってすぐ呼びかけると話は順調に進んだ。「いろいろな年齢層の意見を把握し、議会活動に反映したい」と語る。
 行政の側のパブリックコメントは1999年に導入が閣議決定され、国から地方自治体へ広まった。法令や政策を決める過程で、案をホームページなどで公開して意見を募り、最終案に反映したかどうかも公表。四日市市も議会提出前の条例案などで実施している。
 市議会による今回の取り組みについて、早大マニフェスト研究所の中村健事務局長は「議案をチェックする議会が意見を募る点で従来のパブコメと本質的に異なる。市民が政治参加できる機会が増える」と評価。ただ、「意見をどんな位置づけで扱うか明確にする必要がある」とも指摘する。
 対象議案の選び方も課題だ。定例議会のたびに広報広聴委員会で「市民の関心が高そうなもの」(中森議長)を4、5件選ぶ。数十件に及ぶ全議案では多すぎるので確実に処理できる数から始め、様子を見ながら増やすことを検討する。
 中森議長は「議員があまり接していない層の意見を知り、議論の参考にする。集まった意見を議会の意思にするものではない」とも説明。市民が、自分が送ったメールと同じ主張の議員にネット中継で気づくなどして「市政への関心が高まる」と述べ、市民との距離が縮まることを期待する。
 8月定例会で意見募集する議案は20日、市議会ホームページ(http://www.city.yokkaichi.mie.jp/gikai/)に公開する予定だ。

■四日市市議会の改革、高い評価

 四日市市議会の議会改革に対する評価は高い。日本経済新聞社産業地域研究所の今春のアンケートでは、全国790市と東京23区で改革度1位。全国1444の地方議会を調べた早大マニフェスト研究所の議会改革ランキングでは、三重県議会に次ぎ2位だった。
 「情報を積極的に公開し市民参加も進んでいる」(同研究所)とされる。市議会のネット中継に加え、06年に市民とのテーマごとの意見交換会(シティーミーティング)を全国に先駆け実施。11年からは各常任委員会ごとの議会報告会の実施を条例で義務づけた。
 ただ、市自治会連合会が議員定数削減の請願を12年に議会に提出し、同年に採択されたが、来春の市議選での対応は未定だ。小川泰雪会長は「自分たちの身を切ることになると改革できない」と話す。
 それでも中森議長は、できるところから始める議会改革の大切さを強調する。「(地方)議会が一つ一つ積み上げてきた評価は、東京都議会のセクハラヤジや兵庫県議の号泣会見で一瞬にして崩れた。つらいが、これからも地道に取り組んでいきたい」

◇ホームページ http://gikaikaikaku.web.fc2.com/


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