財政難や人口減などを背景に、県内地方議会の議員定数削減が進んでいる。前回の統一地方選の後に定数削減を決めたり、実施したりしたのは県内34議会のうち15議会に上る。ただ、「もう限界」「多様な意見が反映されない」といった声も根強く、今後も削減傾向が続くかどうかは不透明だ。
適正規模については明確な基準がなく、専門家でも見解が分かれているのが実情である。議会は効果的に民意を吸い上げ、行政の監視や政策立案などを行う緊張感ある運営を実現させていかなければならない。議会を十分に機能させ、市民の信頼を得る努力を重ねる過程で、おのずと適正規模は浮かび上がってくるのではないだろうか。
鳥取県知事を経験した片山善博元総務相がかつて発言し、物議を醸した言葉を思い出したい。「ほとんどの自治体の議会は八百長と学芸会」-。八百長とは結論が決まった議会運営を行い、学芸会とはシナリオを決めて議場では首長や議員がそれを忠実に読むだけ、という趣旨だ。
厳しい指摘に反発する向きも多かろうが、行政職員らの間で、まさにその通りと共感が広がったのも事実である。
そうした厳しい批判にさらされる中で、近年は議会改革が活発に進められてきた。象徴的な動きが、「議会基本条例」の制定だ。
同条例は議会の最高規範とされる。例えば、本会議での一問一答方式の導入や議員の質問に対し首長が趣旨をただす反問権を認めるなど、傍聴者に分かりやすい議論が行われるよう定められている。
また、議員自らが政策的な条例案を提出、可決させるなど存在感を発揮する議会も出始めている。
一方で、政務活動費の不正支出やセクハラやじなど全国各地で地方議員の不祥事が相次いだ。議員活動に対する市民の不信感は増幅しており、無駄に人数が多いと思われるような働きぶりでは、削減圧力が強まるのもやむを得ないだろう。
来春の統一地方選まで半年を切った。地方自治において必要な議員の数や役割、資質とは何か。あらためて最も身近であるはずの地方議員の活動に注意を払いたい。
議員の質を高め、議会を精鋭集団として育てていくためには、有権者の関心と厳しい目が何よりも重要である。
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