「身を切る改革は先延ばしか」-。統一地方選後半戦の4月19日告示、同26日投開票の日程で行われる人吉市議会(定数18、欠員1)の議会改革をめぐり、市内の町内会長たちから厳しい声が上がっている。議員報酬見直しや政務活動費廃止などを求めた町内会長側の要望に対し、議会が改選前などを理由に結論を出さなかったからだ。議会側は各議員の意見を列挙して回答したが、町内会側は「納得いかない」として、27日に議会の統一見解をまとめるようあらためて要望した。
昨年12月、市内92の町内会でつくる市町内会長嘱託員連合会(神瀬文夫会長)などが永山芳宏議長宛てに要望書を提出。「人口減少や財政難など課題が山積している」と指摘し、(1)議員報酬(一般議員で月34万7千円)見直し(2)政務活動費(月2万円)廃止(3)委員会活動や視察研修の目的、内容などの情報公開-など5項目を求めた。
議会側は議会制度研究会で3回協議したが結論が出なかった。このため全議員の項目ごとの意見を実名でまとめ今月20日、回答書として連合会側に手渡した。
回答は議員ごとに、まさにさまざま。議員報酬では「月額40万円ぐらいにするべきだ」「減額は若い方の参政が不可能になる恐れがあり現状維持」「特別職報酬等審議会にゆだねたい」。政務活動費も「半額」「廃止でよい」「先進地視察や政策研修などのため必要」などだった。
これに対し町内会長の1人は「(身を切るという)都合の悪いことの先延ばしだ。議会活動の質が上がらん」と厳しく批判。神瀬会長も「議会としての回答を求めており、的外れで満足できない」と話す。
議会側はホームページにも回答書を公開している。永山議長は「私たち議員の任期満了が近いという面も勘案し、結論を出すには至らなかった。(改選後に)議員定数も含め、議論されていくのではないか」と話した。
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有馬晋作宮崎公立大教授(地方自治論)の話 町内会長は一面では地域の代表であり、議会側は住民の意見として真摯(しんし)に受け止める必要がある。一方で、議会が全議員の多様な意見を実名で公開したのは先進的な取り組みだ。有権者は、議会改革に対するそれぞれの考えを基に、市議選の投票の判断材料にできる。
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