二元代表制における基礎自治体・川崎市における議会の業務内容の試案だ。これをざっくりと割合で表示すれば以下の様になる。
予算等の意思決定;0.1
行政の施策を評価;0.4
住民への情報提示;0.4
住民の提案を発掘;0.1
これに対して首長の仕事は行政に関する一連の計画・実施・評価だ。
これは、やや極端な形で示している。恐らく、市長も住民との対話を通して、情報提示、提案発掘をする必要がある。しかし、140万市民をひとりの首長が対応することは困難だ。
また、二元代表制とは云っても、首長の守備範囲は行政にほとんど限られる。一方、議会は意思決定といっても、提案は基本的に行政側から出される。従って、筆者の言葉では、承認型意思決定が主になる。これに関しては、選挙の時期になるとマスメディアの批判の種になる。それは当たっているのだが、しかし、機能の違いを区別する必要もあるのだ。
議会の役割を二つに分けて考えている。
1)首長・行政への対応(予算等の意思決定;0.1 行政の施策を評価;0.4)
2)住民への対応 (住民への情報提示;0.4 住民の提案を発掘;0.1)
特に2)は基礎自治体として“住民自治”に関わる部分だ。現在でも、請願・陳情の審査を通して議会は強く住民と結びついている。しかし、住民への情報提示、住民の提案を発掘することについては全くのところ不十分だ。これを埋めるのが、議会報告・意見交換・自由討論を組み合わせた住民と議員との交流会議だ。
以上のことは何を意味するのかと云えば、「議会―住民」の関係を密にし、住民の市政に対する意思をまとめる機能を議会が積極的に果たすように、姿勢を転換することだ。それは間接的に行政に対する議会の統治を強めること、即ち、住民自治を確立していくことになる。
住民が「自治」という政治的方法を身につけていくには、住民の意思を統合するすべを知らなくてはいけない。それには中心となる「場」を必要とする。それを議会に与えるのだ。そのために、議会は今までの様に、行政を直接的に動かすことから、住民がより良い判断を行うように、住民への情報の提示と意見交換を直接的な対話を核にして、調査機能も充実させ、飛躍的に増加させる必要がある。
そこから行政に対して意見を提起する機能へ結びつけ、首長の機能をサポートしていく。その過程において、議会の中にも新たなリーダーが必要になってくる。政治家が育つ基盤にもなる。
これがマックス・ウェーバーの云う意味での「行動する議会」(『新秩序ドイツの議会と政府』(「政治・社会論集」所収(河出書房新社)1965)への道であろう。
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