執行機関が議会活動まで決めるのは、おかしい。出すぎたことをしているとの批判を受けて、武蔵野市自治基本条例(仮称)骨子案が修正された。
■自治基本条例の骨子が固まる
武蔵野市は、自治基本条例(仮称)に関する懇談会を設置し、自治基本条例の骨子について平成28年11月に第1回目を開催してから22回の会議を開催し検討を続けてきた。
9月11日には、懇談会の最終日が開かれ、これまでに市民意見や議会との意見交換を通じで修正や加筆などが行われ、この日の会議で確認されて10月には市長に報告される予定となった。
骨子案(報告)については、市のサイトで確認していただきたいが、このなかで課題となっていたのは、市長と議会との関係を執行機関(市長、行政側)が決めるのか、議事機関である議会が決めるのか、だった。
■議会基本条例と自治基本条例
武蔵野市では、自治基本条例の検討を続けていきているが、同時に議会では議会基本条例の検討が進められている。当初は、自治体運営の基本的なルールを検討するとして、議会も書き込む自治基本条例の検討が進められようとしていたが、なかなか進んでいなかった。
一方、議会は、議会活動を市民にたいして「見える化」する必要があることから、議会基本条例の検討を進めており、現在、条例文を協議している最中で、自治基本条例が骨子についてやっとまとめた段階に比べると、制定にかなり近い状況となっている。
自治基本条例、議会基本条例とも「市民」、「市長(執行機関)」、「議会」の3つが大きな構成要素となるが、「市長」と「議会」の関係を、どちらの条例にどのように規定するかは、どちらの条例にもポイントとなっていたのだが、自治基本条例の骨子の姿が見えてきたところで、議会側からすれば、議会への書き方が出すぎた内容になっているとの問題が出てきていた。
■出すぎた書き方
左は平成30年2月に公表された骨子素案の「議会と市長との関係」部分の記述だ。
議会と市長とが役割をしっかり担いつつ、お互いに協力し合って市政運営を行っていく、との記述は正しいとしても、「議会単独にかかわることは議会基本条例で規定し、議会と市長との関係など、議会が、議会以外の主体と関係してくる部分については自治基本条例の中に入れることとします」と書かれていたことが問題となってしまった。
議会基本条例での、議会と市長との関係の条文を協議するさい、執行部と意見交換をしたのだが、その時には、素案に自治基本条例の中にいれると懇談会で考えているので、執行部として返答ができない旨の内容となり、協議ができない状況となってしまった。
執行部は、自治基本条例(仮称)に関する懇談会の事務局もかねているので、自ら判断できないと考えたようだが、それでば、議会基本条例の協議が進められないではないか。議会と市民の関係も含めて、市長に委嘱された懇談会が決めるべきものなのか。出すぎたことをしていないかとの疑問となり、議会基本条例の検討が進められない状態となってしまった・
その後、議会各会派と懇談会との意見交換が行われ、私からは、懇談会が議会基本条例検討の足を引っ張っている。執行部は執行部としての意見を述べてもいいのではないか。全員協議会や反問権のことも骨子素案に書かれていたが、自治基本条例で規定するのは、あくまでも理念的なものであり、議会運営など技術的なことまで書くべきことではないと意見を伝えていた。
■通年議会で議員が多様化するか?
他にも、年に四回開会する現状の議会を一年間通じて開催できる通年議会にすることを自治基本条例で制定したい。そのことで、議員のなり手が多様化するなど意味が分からない記述もあった。
武蔵野市議会では、本会議は年に四回の定例会で開催するが、通年にわたって委員会を開会できるようにしており、実質的には通年議会としている。議員のなり手不足は、地方の町村の課題であり、そこには報酬が少ないことがある。通年議会にして土日開催にしても議員の仕事は本会議だけではなく調査活動もあり、開催日だけで判断すべきものではなく、サラリーマンから議員になることはよほどのことがないとできない。なり手不足とは関係しない。事実、選挙になれば定員以上の多くの人が立候補しているなども「反論」も行った。
■議会の意見を反映
11日の骨子案には、他の会派からも同様に意見があったようで、「市政運営全般に関わる部分については、自治基本条例で規定します」と、言ってみれば、議会側からの指摘どおりの表現となっていた。
通年議会については、現状の年四回とするものの、自治基本条例に書き込みたいとの記述へ変わっていた。開会についての条例は単独であるので、それをわざわざ廃止して、自治基本条例にいれる必要があるのか疑問は残る。
いずれにせよ、議会側からの意見を理解していただいたようだ。今後、市長へ報告を提出し、執行部で条例内容を検討、来年には、もう少し形となっていきそうだ。
自治基本条例は、最後には議会が決める。議会としての考え方をまとめていくことも求められてくるのだろう。修正が必要であれば行うことになるからだ。
■これから
議会基本条例の制定も急ピッチで進んでいる。
私は住民を代表し、議論しながら市政の最善策を決めていくのが議会であり、自治の要であり、市民自治の場である。機能できる議会基本条例があれば、それが自治基本条例ともなると考えている。
今後、議会基本条例と自治基本条例の検討がより進むことで、武蔵野市政をどのように運営していくのが良いのか。そのルールと姿が見えてくるのだろう。市民の皆さんにも関心を持っていただけばと思う。
自治基本条例のひとつのステップが終わり、次のステップへ進む。議会基本条例の次のステップもさらに進めたい。
【参考】武蔵野市自治基本条例(仮称)骨子案素案 (平成30年2月)
自治基本条例(仮称)に関する懇談会(第22回・平成30年9月11日)
武蔵野市は、自治基本条例(仮称)に関する懇談会を設置し、自治基本条例の骨子について平成28年11月に第1回目を開催してから22回の会議を開催し検討を続けてきた。
9月11日には、懇談会の最終日が開かれ、これまでに市民意見や議会との意見交換を通じで修正や加筆などが行われ、この日の会議で確認されて10月には市長に報告される予定となった。
骨子案(報告)については、市のサイトで確認していただきたいが、このなかで課題となっていたのは、市長と議会との関係を執行機関(市長、行政側)が決めるのか、議事機関である議会が決めるのか、だった。
■議会基本条例と自治基本条例
武蔵野市では、自治基本条例の検討を続けていきているが、同時に議会では議会基本条例の検討が進められている。当初は、自治体運営の基本的なルールを検討するとして、議会も書き込む自治基本条例の検討が進められようとしていたが、なかなか進んでいなかった。
一方、議会は、議会活動を市民にたいして「見える化」する必要があることから、議会基本条例の検討を進めており、現在、条例文を協議している最中で、自治基本条例が骨子についてやっとまとめた段階に比べると、制定にかなり近い状況となっている。
自治基本条例、議会基本条例とも「市民」、「市長(執行機関)」、「議会」の3つが大きな構成要素となるが、「市長」と「議会」の関係を、どちらの条例にどのように規定するかは、どちらの条例にもポイントとなっていたのだが、自治基本条例の骨子の姿が見えてきたところで、議会側からすれば、議会への書き方が出すぎた内容になっているとの問題が出てきていた。
■出すぎた書き方
左は平成30年2月に公表された骨子素案の「議会と市長との関係」部分の記述だ。
議会と市長とが役割をしっかり担いつつ、お互いに協力し合って市政運営を行っていく、との記述は正しいとしても、「議会単独にかかわることは議会基本条例で規定し、議会と市長との関係など、議会が、議会以外の主体と関係してくる部分については自治基本条例の中に入れることとします」と書かれていたことが問題となってしまった。
議会基本条例での、議会と市長との関係の条文を協議するさい、執行部と意見交換をしたのだが、その時には、素案に自治基本条例の中にいれると懇談会で考えているので、執行部として返答ができない旨の内容となり、協議ができない状況となってしまった。
執行部は、自治基本条例(仮称)に関する懇談会の事務局もかねているので、自ら判断できないと考えたようだが、それでば、議会基本条例の協議が進められないではないか。議会と市民の関係も含めて、市長に委嘱された懇談会が決めるべきものなのか。出すぎたことをしていないかとの疑問となり、議会基本条例の検討が進められない状態となってしまった・
その後、議会各会派と懇談会との意見交換が行われ、私からは、懇談会が議会基本条例検討の足を引っ張っている。執行部は執行部としての意見を述べてもいいのではないか。全員協議会や反問権のことも骨子素案に書かれていたが、自治基本条例で規定するのは、あくまでも理念的なものであり、議会運営など技術的なことまで書くべきことではないと意見を伝えていた。
■通年議会で議員が多様化するか?
他にも、年に四回開会する現状の議会を一年間通じて開催できる通年議会にすることを自治基本条例で制定したい。そのことで、議員のなり手が多様化するなど意味が分からない記述もあった。
武蔵野市議会では、本会議は年に四回の定例会で開催するが、通年にわたって委員会を開会できるようにしており、実質的には通年議会としている。議員のなり手不足は、地方の町村の課題であり、そこには報酬が少ないことがある。通年議会にして土日開催にしても議員の仕事は本会議だけではなく調査活動もあり、開催日だけで判断すべきものではなく、サラリーマンから議員になることはよほどのことがないとできない。なり手不足とは関係しない。事実、選挙になれば定員以上の多くの人が立候補しているなども「反論」も行った。
■議会の意見を反映
11日の骨子案には、他の会派からも同様に意見があったようで、「市政運営全般に関わる部分については、自治基本条例で規定します」と、言ってみれば、議会側からの指摘どおりの表現となっていた。
通年議会については、現状の年四回とするものの、自治基本条例に書き込みたいとの記述へ変わっていた。開会についての条例は単独であるので、それをわざわざ廃止して、自治基本条例にいれる必要があるのか疑問は残る。
いずれにせよ、議会側からの意見を理解していただいたようだ。今後、市長へ報告を提出し、執行部で条例内容を検討、来年には、もう少し形となっていきそうだ。
自治基本条例は、最後には議会が決める。議会としての考え方をまとめていくことも求められてくるのだろう。修正が必要であれば行うことになるからだ。
■これから
議会基本条例の制定も急ピッチで進んでいる。
私は住民を代表し、議論しながら市政の最善策を決めていくのが議会であり、自治の要であり、市民自治の場である。機能できる議会基本条例があれば、それが自治基本条例ともなると考えている。
今後、議会基本条例と自治基本条例の検討がより進むことで、武蔵野市政をどのように運営していくのが良いのか。そのルールと姿が見えてくるのだろう。市民の皆さんにも関心を持っていただけばと思う。
自治基本条例のひとつのステップが終わり、次のステップへ進む。議会基本条例の次のステップもさらに進めたい。
【参考】武蔵野市自治基本条例(仮称)骨子案素案 (平成30年2月)
自治基本条例(仮称)に関する懇談会(第22回・平成30年9月11日)