2018年9月19日水曜日

加賀市、議会改革で高評価 条例づくり、住民目線で 林直史議長に聞く

<日経新聞より>

議会改革の取り組みが全国的に評価を得ている石川県加賀市。これまでの施策や成果、今後の展開などを、同市議会議長の林直史氏に聞いた。

 ――早稲田大学マニフェスト研究所の2017年議会改革度調査で全国4位になりました。

 「11年4月に議会基本条例を施行し、議会改革に着手した。当時は政治や議員に対する不信感が強かったが、『どうせやるなら日本一を』という意気込みで取り組んできた。昨年に続き全国4位という評価はありがたいが、議会があるべき本来の姿に近づいているだけだとの見方もできる」

 ――議会改革の具体的な取り組みは。

 「早大マニフェスト研の評価での特徴は『情報共有』『住民参加』『機能強化』という3項目でいずれも全国1桁の順位になっているバランスの良さだ。これは『開かれた議会』『監視する議会』『審議する議会』『政策提案する議会』『市民が参加する議会』という5つのポイントを掲げ、それぞれ改革目標を置いていることが反映しているのだと思う」

 「一連の改革で力を入れてきたのは政策条例だ。北陸有数の温泉地を抱えるなど観光都市であることを念頭に置いて市民からの提案があった『ポイ捨て等防止条例』など、これまで5つの条例が策定された」

 「従来の議会は市長の政策を審議するだけの場だったが、これを住民の要望に基づく身近なテーマに議会が率先して対処するよう改めた。推進役である総務、教育民生、産業建設の各常設委員会は課題を明確にし、『言うだけ』『聞くだけ』ではなく、政策提言や条例の策定まで踏み込んでいる。条例は事後に各委員会が検証することで、実効性を高めている」

 ――情報公開にも積極的です。

 「すべて公開するというのが基本姿勢だ。11年から政務調査費(現政務活動費)の支出状況を全面公開しており、誰でも自由に見ることができる。本会議はケーブルテレビやインターネット動画を通じリアルタイムで見ることができるようにした。かつては議会の傍聴者を増やそうと日曜日や夜間に会議を開く試みもしたが、関心のある市民が必要に応じて見られる方が効果的なようだ」

 ――今後の取り組みは。

 「市民を対象にしたアンケートの結果によると、『(議会に)関心がある』『少しある』と回答した割合は13年の55%から16年には65%に上がった。議会の活動に対しても『大いに評価』と『ある程度評価』の合計が29%から42%に高まった。さらに信頼・評価されるよう改革を推進したい。大規模災害を想定した議会としてのBCP(事業継続計画)も、全国の先進事例などを参考に急いで策定する必要があると考えている」

(聞き手は

金沢支局長 沢田勝)

=3日発行の日経グローカルに掲載

 はやし・なおふみ 1964年石川県加賀市山中温泉生まれ。54歳。大阪工業技術専門学校卒、民間企業勤務を経て、機械設計事務所を設立。2005年加賀市議に初当選し、現在4期目。議会運営委員会委員長を経て、15年から副議長、17年10月から議長。趣味はスポーツ観戦。


https://www.nikkei.com/article/DGKKZO3507446006092018LB0000/

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