<福島民報より>
地方議員選挙の候補者について、県内五十九市町村議会議長の62%に当たる三十七人が、なり手不足を感じている。共同通信のアンケートで分かった。対応策として議員報酬の引き上げ、住民の関心喚起が必要とする回答が目立った。これらの課題解決に加え、若い世代が立候補しやすい環境づくりを目指す施策を検討するよう求めたい。
全国町村議会議長会が実施した昨年七月時点の調査によると、県内を含む全国九百二十七町村の議員のうち、六十歳以上は75%を占める。行政を監視し、適切に導く責務を考えれば、豊富な人生経験を持つ年代の役割は大きい。一方で、多様な声をすくい上げるには、幅広い年代による議会構成が望ましい。
例を挙げれば、各種選挙で出産や子育て分野の充実を政策に掲げる候補者は多い。現役の子育て世代の候補者や議員が増えれば、同じ悩み、要望を持つ人たちの声を議会や行政に伝えやすくなる。
選挙権年齢は二〇一六(平成二十八)年に二十歳以上から十八歳以上に引き下げられた。これに続き、選挙に立候補できる被選挙権年齢の引き下げが課題になっている。
現行の公選法は地方議会議員と市区町村長、衆院議員の被選挙権年齢を二十五歳以上、都道府県知事と参院議員は三十歳以上と規定する。政党間では「一律二十歳以上」「一律五歳引き下げ」といった案が出ている。
十八歳選挙権を導入しても若い世代の投票率は芳しくない。多くの同世代が立候補するようになれば選挙への関心や参加意識は高まる。被選挙権年齢の引き下げも本格的に議論するべきだ。
制度面で門戸を広げても、生活基盤が不安定では、立候補をためらうことにもなりかねない。若い世代であれば、なおさらだ。総務省の研究会は「多数参画型」と「集中専門型」の改革案をまとめた。多数型は兼業制限を緩和して報酬を抑える一方、選挙区を細分化して定数を増やす。専門型は定数を少なくして報酬を保証し、重要議案では住民参加を認めるとしている。
これに対して全国の議会団体は「国主導でまとめた」などと反発し、新たな担い手確保策として若者や子育て世代を対象にした議員手当の創設を提案している。
対立しているようでは、何も前に進まない。議会はもとより、若い世代が検討に参加できる仕組みをつくってほしい。若者が主体的に提言する動きも広めたい。議会改革に新しく柔軟な発想が加わると期待する。(五十嵐稔)
http://www.minpo.jp/news/detail/2018090655109
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