2014年12月27日土曜日

<根掘り葉掘り仙台市議会>改革の実情(上) 一問一答、物足りぬ議論

<河北新報より>

 全国の地方議会で改革の必要性が叫ばれて久しい。仙台市議会も2011年8月の市議選後に部会を設け、議会の活性化や機能強化の方策を検討してきた。何がどう変わったのか、変わらなかったのか。さまざまな取り組みの実情を追った。

 仙台市議会の一般質問は改革によって、テンポが随分良くなった。質疑応答は緊張感が増したように見える。

 例えば、閉会したばかりの12月定例会。指定管理者の在り方をめぐるやりとりはこうだった。

 「指定管理者の雇用や労働環境も審査するべきだ」とA議員。総務局長が「事業者選定や毎年の調査時に報告させることも含めて検討したい」と答えると、A議員は「非正規雇用が拡大しているかもしれない。チェックは第三者に委託してはどうか」と提案した。

 議員と当局が交互に発言する。質問が長々と続くことはない。13年の6月定例会から導入された一問一答方式の成果だ。

 テンポの良さには訳がある。議員は質問項目を通告し、当局はそれに応じて答弁を作る。事前に完成した「シナリオ」に沿っているにすぎない。一括して質問する従来の方式と変わらない。

 一問一答には傍聴者が議論の進行を把握しやすくなるという狙いがある。議員が何を問題にし、当局がどう答えたのかが分かりやすい。

 仙台市議会は年4回の定例会のうち6、12月に採用している。一括質問も選べるが、質問に立つ議員の約3割が使うなど定着してきた。

 ただ、質問内容や議論が深まっているかどうかとなると疑わしい。一つの質問項目について、当局の答弁を、自由に追及できる再質問は原則禁止されている。

 「アドリブを許せば面白いだろうが、議事運営が混乱する」とベテラン議員。「当局にとっても答弁の整合性が必要で、ある程度の縛りはやむを得ない」と解説するが、議論の「迫真さ」は後退したと言えなくもない。

 当局側は率直だ。ある市職員は「イレギュラーな再質問に備えた想定問答が必要ないため、答弁準備での負担が軽くなる」と明かす。

 
 市議会も現状に満足してはいない。今後は一問一答の運用上の問題点を検証する予定だ。質問の通告後に一括質問に変更できるようにする改善案が挙がっている。

 ただ、それも「形式」の変更にとどまる。政策提言や市政のチェックにつながる質問力の強化など、一問一答の「中身」を問う声は聞こえてこない。
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201412/20141221_11042.html

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