議会改革の本気度を疑う光景だった。
8月25日、仙台市議会の議会運営委員会。傍聴環境の改善をめぐる協議で、「会派で検討中」と繰り返す委員がいた。
議運委の任期は、その時点で残り11日。6月に始まった議論はスピードが求められたが、会議のたびに、一部会派の消極的な姿勢が目に付いた。
終了間際、当時の委員長は業を煮やし、いら立った口調で訴えた。「検討の『結果』を持ってきてほしい。合意できれば、9月定例会に間に合う」
結局、具体的な結論はまとまらず、一部項目を引き続き検討するよう、次期の議運委に申し送るのが精いっぱいだった。
西沢啓文議長は2013年9月の就任後、議会改革に着手。各会派からテーマを募集し、設置した議会活性化会議などに割り振った。
現時点で活性化会議のめぼしい成果は、党派を超えた条例制定を目的とした政策担当者会議の設置にとどまる。
各地の地方議会で導入が相次ぐ議会基本条例や通年議会は、時間切れで手付かずのまま断念。議会改革の「本丸」になかなかたどり着けない状態が続く。
11年8月の市議選で河北新報社が実施したアンケートで、訴えたい政策に議会改革を挙げた議員は12人いた。大きく前進することなく、任期を終えそうだ。
議員定数(55人)に関しては16人が「多い」と回答したが、削減を目指す動きは見えない。ベテラン議員は「今後は来年8月の市議選がちらつき、落選が怖い議員が強く反対する。時間切れだ」と言い切る。
メンバーが交代した議運委は11月下旬、傍聴する障害者への配慮について話し合いを再開した。アクセルを踏んだのは、議長経験のある新委員長だった。
またも「検討中」を口にした委員に対し「もう十分に時間をかけたはずだ。しっかり意見を述べてほしい」。3週間後、手話通訳導入の可能性を探るなど一定の結論を出した。要した会議はたった3回だった。
重鎮の一声だけで、前に進んだ議運委。その様子からは、議会改革の議論の重みも議員の危機感も伝わってこない。
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201412/20141221_11027.html
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