このように事務局体制が貧弱である以上、地方議員の調査力は限られたものになります。もちろん調査係を置いている事務局の場合、個々の職員さんは頑張っていらっしゃるでしょうが、いかんせん人数で限界があるわけです。
となると、自分で調べるしかないとなりますが、これはまず無理と見て良いでしょう。秘書がいるわけではありません。無所属の場合は、国会議員とのパイプが普通はありません。
さて、そもそも論で、地方議員の政策立案についてどう捉えるべきかについて、考えてみましょう。先に書きましたように、地方議会側は予算編成権はありません。首長の出してきた予算案につき、賛否を示すか、もしくは一部修正ができるだけです。つまり、一般質問の場で政策を提案しても、所詮は「予算編成で考えてみてください。頼みますよ」の域を出ないわけです。
立場を変えて首長の側に立って考えてみましょう。
首長には多くの部下がいます。先のエントリーで三鷹市のケースを書きましたが、議会事務局体制とは比較になりません。それぞれの部下が様々なチャネルを持っています。当然ながらそれらは政策として立案されるケースもあるでしょうし、検証もなされるでしょう。予算化もあり得ますね。一方、議会の場で質問されたことはどうでしょうか。入口の部分で不完全さは否めないわけです。さらに、首長側からすると、数多くある政策提案のひとつと考えることすら可能なのです。予算編成権を持つ以上、当然の結論ですね。
片や議会側としては、実現して欲しいという気持ちからの政策提案、片や予算編成権を持つ立場から「予算として考える前にまずは部下に検討させよう」という受け止め側、この両者の差はあまりに大きいのです。
だからこそ、多くの議会で、議会側の政策提案に対し、首長側は「検討する」と、まずは言うのです。また、先に書いた庄屋根性文化から解きほぐすと、一番最初に首長に提案したのは我が会派だ!と胸を張る議員が出没するというわけのわからん現象が発生したりするわけです。
もうおわかりでしょう。要するに、首長を頂点とした権力ピラミッド構造の中間層に、やはり地方議会は存在するのです。これは先にも書いたことで、政策立案の側面からも実証できるというわけです。また、政治としては、首長側は、支えてくれる与党側の提案で動き出すしかないのです。いくら野党が素晴らしい提案しても、ここには政治上の限界があるのです。これはしょうがないですね。選挙を考えたら、首長は与党側にご褒美をあげるという構造は否定できませんよね。
このように、二元代表制と言いながら、議会側の政策立案にはそもそも限界があるわけです。議会事務局体制や、予算編成権などを考えると、所詮は地方議会というところは、首長を頂点とした権力ピラミッド構造の中間に位置して、首長の行為に寄与するための機関でしかないと私は考えるようになりました。
住民としたらどうでしょうか。答えは簡単で、最初から権力ピラミッド構造の頂点にいる首長に近い部下を探すのが一番ですね。行政は協働を謳いたがりますので、それをうまく利用して一気に権力者との距離を縮小することは十分に可能ですよね。
近時の私は、政策提案につき住民から相談がある場合には、「少なくとも与党議員に相談しましょう。できれば行政に直接相談した方が良いですよ。私はただの無所属おじさんで何の力もありません」とはっきり言うようになりました。
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