熊谷俊人千葉市長、福田紀彦川崎市長、北川正恭早大名誉教授、新日本有限責任監査法人の黒石匡昭がパネラーとなり官民連携についてディスカッションが行われ、議会の責任を自覚していないとの指摘が多くあった。
■ご意見番ではない
ディスカッションのなかで、子ども議会で議会は何をするところと議員が聞かれて、市政のご意見番だと答えていたが、議会は意識決定機関であることを意識していない象徴。ご意見番ではなく、経営の責任を持つ取締役であることを自覚していないとの指摘があった。
確かに執行部にお願いをすることは多い。予算や決算を決めることは執行部(市長)にはできないことであり議会にしかできないこと。条例も含めてだが、意思決定機関が議会であることを理解していないと思う得ることは少なくない。
また、市民の意見を聞く広聴(パブリックコメントや意見交換会)を執行部が行うべきかとの指摘もあった。
いわば、予算をつくり執行する当事者が意見を聞いても、その後の事業や計画に反映されるか分からない。聞いたというアリバイづくりになり都合のいい意見は取り入れいるがその他は聞いただけとなってしまう可能性は否定できないだろう。
だからこそ、議会こそが広聴を行い、予算や審議に反映すれば聞いただけとはならないのではないか。議会が市民代表であれば、最も必要なことではないか。二元代表制となると思った。当然だが、議員の支援者だけではなく幅広い多くの市民からだ。
■本会議のムダ
本会議で答弁をしない部長が出席すべきか、との疑問の投げかけもあった。行政のムダをなくせ、ワークライフバランスを向上すべきと質問する議員は多いが、本来すべき仕事をしないで本会議で拘束していることこそムダではないか。職員のワークライフバランスを悪化させているのは議員の質問ではないかということだ。
このことも今後、考えなくてはならないことだろう。確かに常任委員会も含めて出席が必要なのかは私も疑問に思ってきたことだ。
地方自治法第121条には、「議会の審議に必要な説明のため議長から出席を求められたときは、議場に出席しなければならない」とあるように、あくまでも議会から求められて出席しているのであって、必要がない場合は出席する必要はないからだ。
このことを考え議会基本条例に書き込む議会もある。例えば、下記のように書き込んでいる。
●伊賀市議会基本条例第11条(議会の合意形成)
議会は、言論の府であることを十分に認識し、議長は、市長等に対する会議等への出席要請を必要最小限にとどめ、議員相互間の自由討議を中心に運営しなければならない」
●所沢市議会基本条例第12条(議員間の自由討議)
議員は、議会の機能を発揮するため、積極的に議員相互間の自由討議に努め、議論を尽くしていかなければならない。
2 議長は、市長等に対する本会議等への出席要求を必要最小限にとどめるものとする。
●栗山町議会基本条例第9条(自由討議による合意形成)
議会は、議員による討論の広場であることを十分に認識し、議長は、町長等に対する本会議等への出席要請を必要最小限にとどめ、議員相互間の討議を中心に運営しなければならない。
主に常任委員会を想定しているが、本会議でも同じではないだろうか。
執行部への質問や要望をする場でなく、議論し決定するのが議会の役目であるはずだからだ。
■常任委員会の仕事
また、議会の常任委員会の仕事は、議案審議だけではなく所管事務調査ではないか。調査した結果で予算が必要と委員会から提言されれば、行政は対応せざるを得ないとの発言もあった。
委員会の本来の仕事は何か、という指摘だ。議案の問題点を指摘することや政策効果を確認することは当然やるべきことだとして、委員会全体として何のために設置されて、何をするのかという"そもそも論"ということ。
平成18年の地方自治法の改正で、委員会は議会に議案(予算を除く)を提出できることになった。予算という現実的な数値ではなく、方向性や理念、対応すべき手法を条例や提言書に委員会としてまとめて執行部に対して示せば、執行部は対応せざるをえないとの指摘だ。たんなる要望ではなく、委員会としてまとめることの重みということだ。提言が反映されていなければ、それこそ、次の予算の修正をすることにもなり、議会としての権限を使うことにもなる。
予算に議会の意志をどのように反映するかは、多くの議会で課題だろう。水面下で市長に擦り寄り反映させる方法もあるだろうが、委員会として調査し、公の場で議論し、まとめた結果として反映することこそ、これからの委員会のありかとして考えるべきだ。
熊谷市長と福田市長からの刺激的なお話は、これまでにも伺っているが、今回も新鮮な発想を得られた。福田市長とは議員時代から交友があり、いろいろな面で驚かされることが多々あった。今後とも、これらの発想を活かしていきたい。
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