2015年8月3日月曜日

選挙カーの走行と警察の許可―複数の法律にまたがる規制

<政治山より>

24日に告示された仙台市議会議員選挙(82日投票)において、ある候補者の選挙カーが警察のミスで許可を得られず、選挙期間中に使用できない事態が生じました。これを受けて宮城県警は候補者の陣営に謝罪し許可を出したとのことですが、なぜミスを犯してしまったのでしょうか。公職選挙法だけでなく道路交通法などの関連法規にも詳しい、選挙カープランナーの若狭侍郎氏に聞きました。

◆警察の判断ミスが選挙の公正性を損なう恐れも

 本件は、結果的に用意していた選挙カーは2日間使用できず、選挙期間にもかかわらず看板の作り直しや日程の組み直しに追われ、他の候補者と公正な選挙活動がスタートできなかったことになる。陣営にとって大きなマイナスであることは間違いない。

 報道によると今回のミスは、担当した署員が条文の解釈を誤ったことが原因とのこと。宮城県警に限らず、ここまでに至る一連の流れに問題があるのではないだろうか。政党本部が集中する東京・永田町近辺の警視庁管轄下では選挙カーの運行申請台数も多く、公職選挙法(以下、公選法)を熟知した担当者が多い一方、地方では年に一度あるかないかの選挙で、その場で六法全書のような公選法の本を広げ調べ始める警察官も少なくない。

 また本件とは逆に、公選法の規定に適合しないと思われる選挙カー、俗に言う8ナンバー車を候補者用選挙カーとして使用している例もある(福祉車両等一部を除く)。これでは、公正な選挙の実施を損なう恐れがあると言われても仕方のないことだ。

◆公選法に道交法、道路運送車両法も関係

 専門の業者が製作した選挙カーを除き、ほとんどの選挙カーは、設備外積載という特定の期間のみ運行できる許可を取得して走行させているため、半分違法改造車を走らせていると言っても過言ではない。

 特に選挙カーは選挙に関する公選法と、車両の運行に関する道路交通法、さらには陸運局での車検などに用いられる車両に関する法律=道路運送車両法にも関係しており、その内容を全国の警察署で検査するというのは限界がある。他の県の選挙では許可が出たのに、ここの県では許可がでないといった事態が発生してしまう可能性も高い。

 今後、警察の負担も考えると、やぐらを車両の上に載せるような選挙カーは、まず一般の車両と同様、車検場で構造的な検査を行い、その上で、実際選挙で使用する際に決められた看板や写真などの検査を、警察と選挙管理委員会で検査するような新しい仕組みを検討する必要があるのではないだろうか。


 

 

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