2015年2月14日土曜日

女性の声を政治に!女性ゼロ議会の撲滅と女性議員比率50%を目指して

<政治山より>

政治山では、政策立案を行う「政策型議員」を目指す地方議員らで構成される「ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟」(略称:LM推進地議連)と連携し、連載・コラムを掲載します。地域主権、地方分権時代をリードし、真の地方自治を確立し実践するために設立された団体のメンバーが、それぞれの実践や自らの考えを毎週発信していきます。現在は、全国47都道府県の議員にご登場いただき、地域の特色や問題点などを語っていただく「リレーコラム47~地方議員は今~」を連載しています。第122回は、埼玉県八潮市議会議員の矢澤江美子氏による「女性の声を政治に!女性ゼロ議会の撲滅と女性議員比率50%を目指して」をお届けします。

八潮市は、埼玉県南東部の人口約85,000人、四方を中川、綾瀬川、垳川、大場川等に囲まれた南北に長い18.03平方キロメートルのまちです。2005824日につくばエクスプレス(通称TX)が開業するまでは「陸の孤島」と言われていた地域でした。

しかし、TX開業後は、秋葉原まで最速17分というアクセスの良さで、首都圏のベットタウンとして変貌を遂げつつあり、子育て世代を中心に人口が増えています。その結果、保育所、学童保育所はもちろん児童数の大幅増のため教室の増築などが喫緊の課題となっています。また、駅前を含めて市内5カ所の区画整理事業が進行中ですが、長期にわたる景気の低迷の影響で、保留地売却が予定通り進まず事業期間が長期化しています。

◆女性の声を市政へ届けるために

私は19979月に議員になりましたが、立候補前の八潮市議会は定数28のうち女性議員は1人(共産党)のみで、TX絡みの開発もあり、男性議員(特に自民党系会派)の中には、不動産業や建設業の方が多かったことが印象的でした。

私は、PTA活動や地域のボランティア活動の中で、市の福祉施策に触れる機会が増えるにつれ、「このまちで安心して老いることができるだろうか」と思うようになりました。「私たち女性の声を市政に反映させたい」と、是々非々で活動できる「無所属の女性議員」を出そうとなりました。

候補者の公募に失敗し、結局、私が出ることになり、地盤・看板・カバンもない中、初の市内全域候補*「八潮発!新しい風」を掲げ、多くのボランティアスタッフに支えられながら戦いました。選挙直近の6月議会で定数が2人削減される厳しい選挙でしたが、12位で当選できました。

*)特定の町会推薦ではなく、市内の様々な地域から少しずつ票をいただく候補

私は、生活に身近な地方議会には「政党や会派はいらない。議員個人が『是々非々』で活動すべき」と考えていたことと、当時は自民党系、公明党、共産党の3つの会派しかなかったため、新たに「市民と市政をつなぐ会」を作り、1人会派で活動を始めました。2期目、3期目は2人会派となったこともありましたが、2009年からは、再び1人会派で活動しています。

◆世間と議会の常識の差を実感

議員になる前から耳にしていたものの、世間と議会の常識の差を実感し、「まずは議会の実態を市民の皆様に知っていただこう」と、議会報告「やざわえみこ通信」の発行を始めました。

当初は、手刷りの3000部をボランティアスタッフと一緒にポスティングしていましたが、多くの方に読んでいただくために1期目の途中から、パソコンで作成した原稿を印刷してもらい、新聞折込みでの全戸配布(28,000部)に変えました。昨年、政務活動費の不正使用が話題になりましたが、八潮市議会の政務活動費は年額10万円なので、通信の発行は全額自己資金です。

当時の八潮では、個人で議会報告を出している議員は皆無で、町会推薦のような形で出ている方が多かったこともあり、他の議員から「何でおれの支持者のところまで・・・」と、笑えないクレームもたくさんいただきました。

その後、新人議員の中にも、ごくごく少数ですが継続的に個人通信を出す人も出て、「えみこ通信」に対する議員からのバッシングはかなり減りました。ただ、今でも私の通信の熱心な読者は議会の同僚議員であり、隅から隅まで目を通して「何かおれたちのことが書かれていないか」と、目を光らせているようです。

◆議会改革までの道のり遠く

八潮市議会では議会改革はほとんど進んでいません。むしろ、議案質疑回数を減らすなど後退している感があります。既に全国では、500を超える自治体議会で作られている議会基本条例もなく、議会報告会も未実施。議会の中継も、録画のインターネット配信も実施していません。本会議の議事録は公開されていますが、委員会の議事録は未公開で、市民からの「委員会議事録公開の請願」も意味不明の「趣旨採択」としています。

正式会派は2人以上で、代表者会議、議会運営委員会には、1人会派でもオブザーバーとして出席できるようになりましたが、発言は原則できないことになっています。最近では、1人会派でも正式会派として認めたり、会派制そのものを廃止する議会も出ているので、何度も改善を要求していますが、いまだ実現されていません。

こんな状況なので、早稲田大学マニフェスト研究所が毎年、全国規模で行う調査「議会改革度調査2013ランキング」でも821位と、恥ずかしい状況です。

何度も議会改革の必要性を訴え、ようやく協議の場を設けても、「(あり得ない)全会派一致でないと変えない」ため、また改革する必要性を認識していない議員もかなりいるため、「すべて現状通り」と、何一つ改革せずに終わったこともありました。

今年度も、同様の場を設けていますが、どんなふうに議論されていくのか注視しています。

私は八潮市議会では1人会派ですが、近隣の議員たちとの情報交換や、全国フェミニスト議員連盟、自治体議員政策情報センター「虹とみどり」の仲間たち、全国市町村国際文化研修所(JIAM)の研修仲間たちと常に連絡を取り合い、一緒に学んでいます。最近では、ローカルマニフェスト推進地方議員連盟にも再入会し、同じ志のある仲間たちとも交流を始めました。

常に、「アンテナを高くして、新しい情報を手に入れ、それを自分のまちにあった形で提案していく」、これが私の基本的な活動スタイルです。

◆クオータ制の実現へ向けて

今、一番関心があるのは「クオータ制の実現」です。

政府は、男女共同参画社会基本法に基づき「2020年までにあらゆる分野において指導的地位の女性比率を最低でも30%にする」としています。世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数では、日本は2014年度は142カ国中104位。政治分野では129位と先進国の中では最下位のグループに位置しています。

一方、地方議会では女性議員は微増していますが、前回の統一地方選の結果、県議会では女性議員ゼロの議会はなくなったものの、市町村議会では女性議員ゼロの議会が約25%もあり、特に町村議会では「女性ゼロ議会」が40%もあります。

人口の半分は女性なのに、これでは女性の声が政治に届かないと、「まずは国の政策決定に大きな役割を果たす国会議員に女性を増やす」ことを目的に、2011年秋、女性政治家、女性候補者を支援する超党派のネットワーク「WINWIN」の呼びかけに応じた国内の代表的な9の女性団体(WIN WIN・クオータ制の実現をめざす会・高齢社会をよくする女性の会・国際女性の地位協会・全国フェミニスト議員連盟・大学女性協会・日本女性科学者の会・日本BPW連合会・日本婦人有権者同盟)が集まり、「クオータ制を推進する会(通称Qの会 会長は元文部大臣の赤松良子)」(賛同団体数は現在47)を発足させ、クオータ制導入に向けて活動を始めました。

各国のクオータ制の導入状況や比較等の勉強会、ニューズレターの発行、国会議員へのロビー活動等を行っています。昨年夏にはヌエック(国立女性会館)でシンポジウムを開催したところ、多くの方の参加があり、関心の高さが窺われました。

201536日には、国際女性デ―(8日)行事として「国際女性デー2015『戦後70年、前へ!Time to Get Ahead』」を参議院会館で開催しようと目下準備中です。議連役員の国会議員のご挨拶を始め、一橋大教授中北浩爾さんの基調講演、琵琶湖成蹊スポーツ大学学長で元滋賀県知事の嘉田由紀子さん、法政大学教授の山口二郎さん等の豪華メンバーによるパネルディスカッションも予定しており、クオータ制導入に向けて大きな後押しとなるよう、多くの方々に参加していただければと思っています。念願だった超党派の(仮称)『政治分野における女性の参画と活躍を推進する議員連盟』も226日に設立される予定です。

通常の議会活動をきちんとこなしながら、こういった活動を続けるのは、正直言ってかなり負担があります。しかし、本当の意味で「女性が輝く社会」の実現は、政策決定の場に多くの女性の声が反映されなければ不可能です。(私の娘たちを含む)後に続く多くの女性たちのために、そして今後、高齢社会に生きる私自身にとっても「安心して老いることのできる社会」をつくることは喫緊の課題となっています。

今年は戦後70年、女性が参政権を得てから70年、そして北京会議から20年です。その節目の年の統一地方選で、多くの志ある女性たちに当選していただき、女性ゼロ議会を減らし、女性や子どものための政策が議会の大きなテーマとなるよう、私も微力ながら応援していきたいと考えています。これからもHPやブログ、facebookなどを活用し、いろいろな方とつながりながら情報発信もしていくつもりです。

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