2016年9月20日火曜日

自治体経営はグローカリゼーションで

<武蔵野市議のブログより>


池上彰さんの著書「世界を救う7人の日本人」でも紹介されている元商社マンで、今は北海道当別町の宮司正毅町長に自治体経営について伺った。いわく、グローカリゼーションが必要だという。
 
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■アフリカの経験を活かす

 宮司町長は、元三菱商事の執行役員。海外に17年間駐在し、80を超える国を訪れているという。特に政府顧問をしたこともあるなどアフリカには長く駐在。退職後に先の紹介したスウェーデンヒルズに移り住み老後を送ろうとしていたところ、経歴が注目され、町議、そして町長となっている。

 グローカリゼーションとは、『国際化社会において「全世界」と「地域」とを同時に見据えたあり方、を指す語。「世界的な・地球規模の」(globalization)と「地域的な・地域レベルの」(localization)を合わせた造語』(Weblio 辞書)だ。

 当別町のまちづくりを考えたときにアフリカで何をすれば発展していくかで仕事をしていた経験から、「視点を変えれば未来が変わる」と考え、選挙のスローガンに使い当選したのだそうだ。
IMG_3440 アフリカでは世界銀行に反抗している国が伸びていること。競争原理が働いていないと発展しないことを体験。また、グローバリズムで生み出された貧困層や中間層が薄くなっている世相を考えると、何もかも一緒にしていこうというグローバリゼーションが壁に当たっていると考え、世界情勢とともに地域を熟知し、地域の宝物を活かすことが必要と考えた。

 「視点を変えれば未来が変わる」が選挙のスローガンだそうで、札幌の通期圏なのに潜在的な魅力が分かっていないと移住者だから分かる魅力も話されています。
なにごとも視点を変えてみることは大切ですね。

 具体的には、札幌近隣で町なのは当別だけ。なぜ市になっていないかを考えたところ、農業に特化していたことで産業化に遅れていた。だから、税収が少なくインフラに投資ができていなかった。


■町の強みを活かす

 一方で札幌に隣接することや土地価格が安い強みがあるので、このメリットを活かし、経済の回復基調がから攻めの経済ができる時代背景も考え、産業力をあげて税収をあげられる。具体的には、ROYCE'(ロイズ)の工場が町内にあるように工場の誘致、それも農業産品を加工し価値を生み出すものだという。

 また、森林が多いので木質バイオマスの活用も行う。農業では温度管理に膨大なエネルギーを使うので地中熱活用を進め、化石燃料が不要になることを目指す。

 そして、町内に北海道医療大学があるので、この人材を地域医療、福祉に活かしたい。人材活用が儲ける町には必要で教育にも力を入れたいと話されていた。

 町長に就任して今年で3年目。産業構造が大きく変わるほどとはなっていないようだが、先に紹介した「ぺこぺこのはたけ」を経営する社会福祉法人「ゆうゆう」など東京の就職フェアでも人気の高い事業者があることを考えると、人材を活かすことは実現しているように思えた。


■町政運営

さて、ビジョンは分かったが実際の町政運営はどのようにしているのだろうか。

・出来ない理由でなく、できる理由を考える
・慣例にとらわれず住民が何を望んでいるか見極める
・視点を変えることが進化につながる
・失敗を恐れない。進歩は失敗から生まれるものだ

 このように伝え、職員の意識改革を始め、手ごたえを感じているという。職員だけでなく、私も含めて多くの人に通じる考え方だろう。


■外部からの視点
 
 正直なところ、北海道には何回も行っているが、当別町の名前は知らなかった。初めて訪れてみると、大都市に隣接し交通の便が良いのにもかかわらず田園風景が広がり自然が多く残されている。さらに再生可能エネルギーに有利な町でもある。大きな可能性を感じてしまう。

 それなのに、なぜ今までできなかったのか。町の財政を別として考えると、外部からの視点がなかったからでは、と思えてならない。移住者だから分かる魅力、強みを活かそうとしているのが今なのだろう。

 武蔵野市でも同様だが、市内の関係者で課題解決をしようと会議を持つことが多いが、どうしても内側からの視点になりがちだ。結果的に課題化イケルのヒントや処方箋が得られないことにもなる。例えばある商品の売り上げを増やそうとメーカーだけで考えていても、消費者からの視点がないと自己満足だけで終わり、売り上げが増えないばかりか在庫の山になってしまうのと同じだ。武蔵野市の観光に置き換えてみると、海外からアニメファンが訪れているのに、その魅力を市で十分に把握できておらず、対応はまだまだという現状もある。まちの魅力アップを住民だけで考えていても、見えないことはたくさんあるのだ。

 まちの活性化には、「わかもの」「ばかもの」「よそもの」が重要とも言われている。外からの視点をいろいろな場面で活かすことは、町長いわく、「視点を変えることが進化につながる」ことなのだろう。視点の重要性、それも、「全世界」と「地域」から考えてみる重要性を改めて実感した。


【参考】
景観の力  スウェーデンヒルズを訪れて


http://blog.livedoor.jp/go_wild/archives/52471962.html

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