2018年1月26日金曜日

なるほど、「対案」と修正案は違う

<松坂市議のブログより>

少し前、三重県議会が、議会事務局研修という場を設けていた。県議会事務局をはじめ、県内の市町議会の事務局から多数の参加があった。わたしも参加を申し込んだところ、快く応じていただいた。

講師は衆議院法制局第一部長の塩田智明氏。「立法に関する国会と内閣の関わり方~最近の事例から~」という題で、内閣立法と議員立法の違いなどを踏まえ、議会の専門職としての法制局が果たしている役割などについて語られた。

国会は立法機関。行政府である内閣が法案を提出する際には内閣法制局の審査を経るが、議員立法の場合は議院法制局が議員の立案にかかわるほか審査を行うことで議員をサポートする体制となっているという。その役割が、地方自治体の議会の場合は議会事務局が担うことになっている。

ところが、実際は、議会事務局の現在の組織、人員では議員立法(条例案作成)に欠かせない専門職は配置されていないのが現状。そのためか、議員の側がそれを必要とする仕事をしてこなかったか、議員による条例提案はきわめて少なく、立法基幹としての体をなしていないとの批判を甘んじて受け入れなければならない。そこで、近年は、自治体の議会も立法機関としての機能を発揮できるよう、議会事務局の政策法務サポート機能の充実が言われている。

一般論から言えばそんなところであるが、塩田氏のお話はそんなレベルを超えて面白かった。

国会と地方議会は審議機能の流れでは同じようなところが多いが違いもある。違うが参考になることもある。うかつにもいままで単純にして初歩的な部分で見落としていた部分を発見することがあった。

それは、「対案」という概念の存在である。
実は、わたしたちも「対案」という言葉は用いるが、修正案と混合して使っていた。国会においては、対案と修正案は明確に違っているのである。
議員からの提出の際も、対案の場合は提出者以外に所定の数の賛成者を必要とするが、修正案なら提出者一人でもよいという違いがあるということだ。

一方、わたしたちは、修正案を出す場合も、議員定数の12分の1の賛同者を必要としている。国会並みの基準なら一人でも可能ということになり、わたしたちは修正案というより対案を出しているということになる。
そのあたりの違いを明確にしなければいけない。

おそらく、この理屈からすると、対案は原案とは別ものの法案であるが、修正案はあくまでももとの法案の枠の中の修正という意味だろう。法案の議員提案の場合、衆議院で20人(予算法案は50人)以上、参議院で10人(同20人)以上の議員が必要であるのと同じ条件なのだから。

地方の議会においては、条例案の議員提案(予算案の提出権は首長に専属)による議案提出と同じ高さのハードルで修正案を出してしまっていることになる。

国会並みの取り扱いを考えるなら、修正案の場合は議院一人からでも提出が可能という道が開ける。

地方議会には、さまざまな部分で概念のとらえ方を間違ったまま、長年の慣行に基づいて運用されている事例は多数あり、気づいたところから指摘をして直してきている。
修正案についても、議案提出と同等の扱いをしていることを是正すべきかどうか、検討してみる必要がありそうだ。
http://blog.livedoor.jp/kaiju_matsusaka/archives/52282907.html

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